厭離庵連歌会    戻る

平成二十八年十月十五日
半世吉連歌「見渡せば」の巻
   於 厭離庵

表発句    見渡せば小倉の山も錦かな(晴之)
  脇       手にはひややか柳井の清水(葵)
 第三    中天に心見透かす月ありて(建夫)
 四句      中将姫は曼荼羅を織る(こん)
 五句    生きたまま極楽浄土の夢を見る(平)
 六句      ああ有難や宇治鳳凰堂(正子)
 七句    十七の世界遺産の一つなり(繁治)
 八句      作事奉行は小堀遠州(修三)
裏初句    任せれば切り土盛り土は抜かりなし(建夫)
 二句      稼ぎも恋も裏に技あり(平)
 三句    何よりもまめに尽くすがもてるなり(修三)
 四句      秀吉殿は文を欠かさず(純子)
 五句    返礼に贈らんとするたまり餅(千佳)
 六句      音聴坂に雪の降りしき(こん)
 七句    月の出るあたりに向けて石つぶて(由紀江)
 八句      三年前の意趣返しなり(勇二)
 九句    あのことを忘れたことが許せない(千佳)
 十句      金婚式のオーロラの旅(真理子)
 十一句  ヘルシンキ奥方様は宿酔(こん)
 十二句    冥途の土産誰に伝えん(葵)
 十三句  花いちめん朝日を浴びて咲にけり(七重)
 挙句     春の宴の思い出つきず(満里子)

 句上  中條晴之(客・1) 横山葵(茶事・2) 村上建夫(2) 今野和代(3) 石平(2) 前田正子(1) 杉田繁治(1) 高城修三(宗匠・2) 嶋岡純子(1) 松岡千佳(2) 小堀由紀江(1) 岩手勇二(1) 藤本真理子(1) 下石坂七重(1) 奥山満里子(執筆・1) 家村豊次 井下奈緒美 今枝清實 岡本勝昭 後藤朝子 飛田久子 友永和子 廣瀬春雄(世話人) 森幸一

藤原定家が百人一首を編んだと伝えられる厭離庵(山岡鉄舟の娘素心尼も住職をつとめた尼寺)で、御庵主様の御好意により、連歌会開催の運びとなりました。小倉山を間近に仰ぎ、楓の木漏れ日が心地よい秋さ中の本堂座敷での連歌会で、会に先立ち横山葵氏の茶事が時雨亭にて行われました。また、大阪のテレビに出演していた石平氏も番組が終わった後急遽駆け付けてくださり、にぎやかな連歌会となりました。竟宴は嵯峨の中川。