祇園鯉山連歌会                                    戻る



令和五年七月十七日
半歌仙連歌「青空に」の巻(高橋エル氏追善連歌)
 於 三木半


発句  青空に長刀凛と貫けり(春雄)
脇     逝きし女人なつかしむ夏(修三)
第三  荷風山人ちょっとそこまで傘入れて(鬼猿)
四句   声はすれども姿は見えず(文男)
五句  無月にて魑魅魍魎の戻橋(清實)
六句   二百二十日の風生ぬるし(由紀江)

初句  目配せにうなずくだけの床の入り(建夫)
二句   今日は男で明日は女(浩)
三句  この恋をチャットGPT何と解く(春雄)
四句   蓼食う虫も好き好きなれや(文男)
五句  爆発す入道雲に叫びたり(修三)
六句   我が信念を芸術にして(和子)
七句  どこまでも付いて離れぬ冬の月(貴代美)
八句   シベリア俘虜の夜の行進(こん)
九句  今はただ異国の丘を歌うなり(貴代美)
十句   父を亡くせし春の最中に(修三)
十一句 ふるさとの山崎川は花ざかり(千佳)
挙句   弥生の空はうららかにして(満里子)

句上 廣瀬春雄(客・2) 高城修三(宗匠・3) 山上鬼猿(1) 奥村文男(2) 今枝清實(1) 小堀由紀江(1) 村上建夫(1) 府川浩(1) 友永和子(1) 城貴代美(世話人・2) 今野和代(1) 松岡千佳(1) 奥山満里子(執筆・1)


令和四年七月十七日
半歌仙連歌「祇園会や」の巻
 於 三木半


発句   祇園会やここは日ノ本笛太鼓(鬼猿)
脇      青竹きしむ稚児の口紅(建夫)
第三   いやしきり不可解のこと起こり来て(修三)
四句     うらみつのりて手作りの銃(浩)
五句   月天心思い果てなし大和の夜(純子)
六句     妹恋おれば軽に雁いく(貴代美)

初句   鰯雲旅の男のやるせなさ(鬼猿)
二句     短冊一句ふところに入れ(純子)
三句   十三の年に覚えた酒の味(由紀江)
四句     男前なり安藤昇(満里子)
五句   昭和世のゴールデン街のなつかしき(修三)
六句     ジャズとブルース口ずさむ冬(貴代美)
七句   寒月が迷惑そうに雲隠れ(修三)
八句     通天閣は赤くかがやき(清實)
九句   ともかくもワクチン打つと決意せり(和子)
十句     八十歳を三つ越えた朝(繁治)
十一句  庭に咲く花の命を受け止めん(春雄)
挙句     声を合わせて鳴く遠蛙(満里子)

句上  山上鬼猿(客・2) 村上建夫(1) 高城修三(宗匠・3) 府川浩(1) 嶋岡純子(世話人・2) 城貴代美(2) 小堀由紀江(1) 奥山満里子(執筆・2) 今枝清實(1) 友永和子(1) 杉田繁治(1) 廣瀬春雄(1)

コロナ禍にあって三年ぶりの祇園鯉山連歌会となりました。当日は先祭り巡行の日で、それを見学した後、例年とは変って鯉山町より一キロほど東の三木半での連歌となりました。

令和元年七月十七日
半歌仙連歌「嘘でも蘇民」の巻
  於 風屋杉原


発句   祇園会や嘘でも蘇民の子孫なり(建夫)
脇      ちまき手にして拝むる媼(貴代美)
第三   こじゃれたるイタリアンカフェにやって来て(修三)
四句    太陽がいっぱい流れおり(春風)
五句   月白に我が遠き日の鎮魂歌(こん)
六句    地虫なく夜の五島列島(純子)
裏    
初句   イエス様貧しき民を救う秋(博)
二句    着の身着のまま二人だけの式(清實)
三句   どこからか恋より金とささやきぬ(修三)
四句    ロトシックスに有金賭けて(るみ子)
五句   雪はただ狂うがごとき降りしきり(貴代美)
六句    裸電球津軽三味線(純子)
七句   月の下水上勉涙して(修三)
八句    薄がなびく余呉湖のほとり(貴代美)
九句   羽衣を納戸の櫃に隠したり(建夫)
十句    春の匂いにむせたる孤独(修三)
十一句  これぞ夢吉野の山の花吹雪(宇山博)
挙句    弥生の宮に猫の声して(満里子)

句上  村上建夫(客・2) 城貴代美(3) 高城修三(宗匠・4) 春風富美子(1) 今野和代(1) 嶋岡純子(世話人・2) 石田博(1) 今枝清實(1) 中川るみ子(1) 宇山博(1) 奥山満里子(執筆・1) 飛田久子 田中哲哉 友永和子 廣瀬春雄 府川浩 森幸一 杉田繁治



平成三十年七月十七日
半歌仙連歌「祇園会や」の巻
 於 風屋杉原

表発句   祇園会やギリシャ神話の綴織(水澄子)
 脇      オランダ経由徳川の夏(修三)
 第三   蘭方は見よう見まねで腑分けして(俊平)
 四句    ふと気がつけばあかとき迎え(順子)
 五句   読み終えてザムザ悲しき明けの月(こん)
 六句    四十路の秋も引き籠もりおり(清實)
裏初句   渡り鳥それがどうしたはぐれ雲(鬼猿)
 二句    アマゾン源流日本人妻(由紀江)
 三句   黒髪を三つ編みにして夫待つ(千佳)
 四句    驟雨激しく軒端をたたく(文男)
 五句   携帯に避難命令けたたまし(純子)
 六句    俺より先に三毛が飛び出す(幸一)
 七句   寒月に路地から路地へ探しおり(久子)
 八句    新撰組の探索厳し(建夫)
 九句   木屋町に逃げの小五郎酒をくみ(貴代美)
 十句    お国訛りの飛び交いている(久子)
 十一句  就職は花の都にあこがれて(哲也)
 挙句    ここにも春のセーヌ流れぬ(俊平)

 句上 岩佐水澄子(客・1) 高城修三(宗匠・1) 竹本俊平(2) 山田順子(1) 今野和代(1) 今枝清實(1) 山上鬼猿(1) 小堀由紀江(1) 松岡千佳(1) 奥村文男(1) 嶋岡純子(世話人・1) 森幸一(1) 飛田久子(2) 村上建夫(1) 城貴代美(1) 安田哲也(1) 家村豊次 石田博 奥山満里子(執筆・1) 田中哲哉 中務友美子 春風富美子 府川浩 横山葵 杉田繁治(世話人)



平成二十九年七月十七日
半歌仙連歌「稚児の汗」の巻
 於 風屋杉原

表発句   稚児の汗ぬぐう若衆や腕まくり(政俊)
 脇      一番札のそろいの浴衣(建夫)
 第三   滝の前古稀の記念の旅をして(貴代美)
 四句    我も我もと喚ぶ声あり(修三)
 五句   知らぬげに月中天にかかりける(順子)
 六句    花野にころび秘事して(こん)
裏初句  君は今白い妖精秋の蛇(貴代美)
 二句    鐘に巻き付く嫉妬の炎(葵)
 三句   動画にて恐怖のノート晒したり(浩)
 四句    古今変わらぬ人間の性(七重)
 五句   すがるのは人押しのけて蜘蛛の糸(哲哉)
 六句    罪の光の美しきかな(修三)
 七句   今日もまた月に照らされ通いたり(政俊)
 八句    ゲバラが歩く湿原の秋(こん)
 九句   あたりには葉巻の香り馥郁と(保)
 十句    ステッキついて大磯の浜(由紀江)
 十一句  空仰ぎ日本の行方花に見る(幸一)
 挙句    御所の北辺の春の夕暮れ(満里子)

句上 村上政俊(客・2) 村上建夫(1) 城貴代美(2) 高城修三(2) 山田順子(1) 今野和代(2) 横山葵(1) 府川浩(1) 下石坂七重(1) 田中哲哉(1) 河内保(1) 小堀由紀江(1) 森幸一(1) 奥山満里子(執筆・1) 家村豊次 石田博 今枝清實 岩佐水澄子 友永和子 松岡千佳 八ツ尾美佐子 嶋岡純子(世話人) 杉田繁治(世話人)



平成二十八年七月十七日
半歌仙「鉾建てて」の巻
 於 風屋杉原

表発句   鉾建てて蘇民の裔ぞ護符走る(保)
 脇       後先あわせ夏越の祭り(建夫)
 第三   江戸の声上る下るを取り違え(修三)
 四句     日本橋より見ゆる富士山(政俊)
 五句   若隠居キセルふかして月を待つ(貴代美)
 六句     家産傾け骨董の秋(由紀江)
裏初句   窯変に言葉失う壺ありき(博)
 二句     男を捨てた三日目の朝(こん)
 三句   柔肌の百合の誓いに目覚めおり(石井順子)
 四句     修道院の祈りのうちに(清實)
 五句   ロザリオの繰り送る窓雪の舞う(純子)
 六句     天草寒しはらから悲し(政俊)
 七句   振り向けば凍月のぼる大八島(石井順子)
 八句     ボーカロイドの君が代の歌(こん)
 九句   年老いた我が家の猫があくびする(修三)
 十句     帯状疱疹痛みも知らず(繁治)
 十一句  杖ついて長谷の回廊花吹雪(保)
 挙句     ほら貝響く春の真昼間(山田順子)

句上 河内保(客・2) 村上建夫(1) 高城修三(宗匠・2) 村上政俊(2) 城貴代美(1) 小堀由紀江(1) 石田博(1) こん(2) 石井順子(2) 今枝清實(1) 嶋岡純子(世話人・1) 杉田繁治(世話人・1) 山田順子(1) 上羽利枝 奥山満里子(執筆) 下石坂七重 友永和子 中川るみ子 府川浩 前田幽泉 森幸一 


平成二十七年七月十九日
半歌仙連歌「室町に」の巻
 於 風屋杉原

表発句   室町に山鉾めぐる夕べかな(久子)
  脇      ベルギー緞通真夏の豪奢(建夫)
  第三   人知れず部屋に蛍を放ちいれ(葵)
  四句    金勘定する男が一人(純子)
  五句   上海とギリシャショックに夢破れ(浩)
  六句    流れ流れて有明の空(修三)
裏初句   見送りし特攻隊から七十年(隆三)
  二句    知覧の街に面影さがす(清實)
  三句   降りしきる雪唇を熱くして(純子)
  四句     晶子の冬は鉄幹の夏(和子)
  五句   和服着てニースの街に日傘さす(葵)
  六句     船溜まりにはカモメが騒ぐ(貴代美)
  七句   やんしゅが酒をあおりて月さやか(繁治)
  八句     ソーラン節を長夜果つまで(真理子)
  九句   仏壇の前につどいし秋彼岸(順子)
  十句     等分ならば姉妹納得(建夫)
  十一句  しゃんしゃんと手打ち式する花の宴(こん)
  挙句     朱塗りの椀をしまう春の日(由紀江)

 句上  飛田久子(客・1) 村上建夫(2) 横山葵(2) 嶋岡純子(世話人・2) 府川浩(1) 高城修三(1) 細尾隆三(1) 今枝清實(1) 友永和子(1) 城貴代美(1) 杉田繁治(世話人・1) 藤本真理子(1) 山田順子(1) 今野和代(1) 小堀由紀江(1) 家村豊次 石田博 上羽利枝 奥山満里子(執筆・1) 河内保 小島布水呼


平成二十六年七月二十日
半歌仙連歌「なつかしや」の巻
 於 風屋杉原


表発句   なつかしや祇園囃子の鉦の音(司枝)
 脇      伝甚五郎滝のぼる鯉(建夫)
 第三   見上げたる孫の瞳のきらめきて(紹二)
 四句    柿たわわなりまほろばの里(貴代美)
 五句   日も暮れて佐野の渡りに月を待ち(修三)
 六句     師と共に酌む新酒うれしき(博)
裏初句   後添いは白いエプロン似合う人(貴代美)
 二句     胸元ゆたかブラジル生まれ(純子)
 三句   初恋の特定秘密保護すべし(平)
 四句     パク・クネさんは国に恋して(修三)
 五句   深き雪とけるを待てる大和人(紹二)
 六句     歌を詠みつつ越に侘び居り(清實)
 七句   月満ちて五代の末の即位なり(建夫)
 八句     平成までも色づく紅葉(純子)
 九句   妻笑う信楽たぬき秋の顔(平)
 十句     とっくり下げて金玉ゆらゆら(繁治)
 十一句  しきしまの道を求めて花吹雪(春雄)
 挙句     墨をすりつつ行く春惜しむ(満里子)

句上 高橋司枝(1・客) 村上建夫(2) 由佐紹二(2) 城貴代美(2) 高城修三(2・宗匠) 石田博(1) 嶋岡純子(2・世話人) 石平(2) 今枝清實(1) 杉田繁治(1・世話人) 廣瀬春雄(1) 奥山満里子(1・執筆) 家村豊次 石井智子 河内保 小堀由紀江 田中哲哉 友永和子 府川浩 

昨年は祇園建仁寺での連歌となりましたが、再び鯉山町にもどっての連歌会となりました。今年から、祇園祭は先祭と後祭に分かれることになり、その間の後祭の山鉾建ての20日の興行となりました。興行の少し前に激しい夕立となり、それに刺激されてか連歌も転変激しく、これを最後に京都の梅雨が明けました。

平成二十四年室月十五日
半歌仙連歌「宵山や」の巻
  於 風屋杉原

表発句    宵山や鯉は龍ともなりぬらん(弘子)
  脇      室町通六角の夏(修三)
  第三   女子大生スマートフォンで語らいて(貴代美)
  四句     明日は志望の最終面接(浩)
  五句   見上ぐれば満月空にかがやけり(莞爾)
  六句     足元近く鈴虫の鳴く(隆三)
裏初句    いのこずち付けて君待つわら小屋へ(由紀江)
  二句    躙り口よりそっとうかがう(建夫)
  三句   蝋燭を消して夏帯ほどきいく(純子)
  四句    ちょっとだけよとかとちゃん笑い(晴之)
  五句   団欒の昭和は遠くなりにけり(清實)
  六句    ちゃぶ台返しのイベントにぎわう(順子)
  七句   よいどれて朧月夜に家のなし(和代)
  八句    アルチュール・ランボー春のためいき(朝子)
  九句   おとこ捨て人の売り買い蜃気楼(建夫)
  十句    バンドネオンの悲しき音色(晴之)
  十一句 花言葉挟んだしおり私小説(純子)
  挙句    布団の中で聞く深夜便(繁治)

句上  松田弘子(客・1) 高城修三(宗匠・1) 城喜代美(1) 府川浩(1) 黒住莞爾(1) 細尾隆三(1) 小堀由紀江(1)
     村上建夫(2) 嶋岡純子(世話人・2) 中條晴之(2) 今枝清實(1) 石井順子(1) 今野和代(1) 後藤朝子(1)
     杉田繁治(世話人・1) 石田博 上羽利枝 田中哲也 田中由美子 陳郁子 野村笑吾 飛田久子 飛田正雄 友永
     和子 廣瀬春雄 山下麗ら 山田順子(執筆)

山鉾巡行を前にした鯉山町で山や鉾を鑑賞したのち、風屋杉原にて宵山連歌会となりました。前夜の京都は豪雨で一部洪水に
見舞われたところもありましたが、当日は夏の好天となり、うだるような暑さにもかかわらず、今回は初めての宵山連歌会というこ
ともあり、長野、香川など遠くから多くの方々の参加をいただきました。