花笑庵連歌会                                     戻る

平成二十年八月二日
半歌仙連歌「信楽」の巻
   於 花笑庵



発句   信楽の山里深し蝉の声(正雄)

脇      狸もへそだすこのごろの夏(修三)

第三   エコグリーンどこまでやれるか気を入れて(綾乃)

四句     我が女房はやや太めなり(修三)

五句   振り向けば影も見返る望の月(雪子)

六句     ほろよい気分円山の秋(正雄)


初句   立ち止まり虫の声聞く石畳(重彦)

二句     人恋う心ひたと満ちくる(雅子)

三句   アルバムに初恋の女探し出し(省三)

四句     ワイングラスに口づけをする(綾乃)

五句   蝋燭の炎のゆれに思いゆれ(重彦)

六句     茅葺屋根に雪の降りつむ(雅子)

七句   月明かり白銀世界を目にまぶし(重彦)

八句     老いたりといえ吾は鷹匠(修三)

九句   杖をつき一歩のあゆみ土堤に春(重彦)

十句     つくしたんぽぽ雲雀鳴くなり(義昭)

十一句  ふらふらと花の吹雪に誘われて(美恵子)

挙句     水面に映る天平瓦(博土)

句上
本郷重彦(4) 高城修三(宗匠・3) 吉岡正雄(2) 岩下雅子(2) 近江綾乃(2) 武藤雪子(執筆・1) 中島省三(1) 清水義昭(1) 奥田博土(亭主・1) 奥田美恵子(亭主・1) 

暑さの盛りとはいえ、標高四百メートル余の信楽高原の風が心地よい花笑庵にて半歌仙一巻を得ました。奥田夫妻が信楽高原・田代に構える三楽窯にて、五年ほど前から連歌会をとねがっていましたが、このたび、ニューヨーク・京都・大津などから彫刻家・写真家・陶芸家などさまざまなジャンルで活躍される方々がつどっての連歌会でした。宗匠・執筆以外は初めての方々でしたが、芭蕉の「他の芸に達したる人早く俳諧に入る」の言葉どおり、すばらしい一巻となりました。最後の花の定座と挙句を詠まれた奥田夫妻の呼吸も見事でした。

                    花笑庵のラベンダー

 三楽窯の庭に立つ奥田博土氏の作品

                   花笑庵での会席風景