高野山開創千二百年法楽連歌              戻る

平成二十七年七月二十九日・三十日
   於 別格本山蓮華定院

初表
発句   蝉しぐれ杖ちびりけり結願所(隆昭)
脇      暑気さえ払う高野のお山(建夫)
第三   空の青父母のこと想わせて(修三)
四句     離島赴任も三年過ぎぬ(清實)
五句   観る月はところかわらず輝やけり(布水呼)
六句     継琵琶鳴らす方丈の秋(貴代美)
初裏
初句   福原に都とられて薄原(建夫)
二句     帝はいずこにおわしますかな(政俊)
三句   黒髪の乱れかまわず泣きぬれる(幸一)
四句     捨てた女をなぜ想いだす(修三)
五句   竹林に木枯らしが吹く日暮れ前(貴代美)
六句     酒一升に羊羹ひとつ(隆昭)
七句   婿つれて里帰りする月の宴(建夫)
八句     言葉通じぬ長夜もどかし(利枝)
九句   やや寒の老いたる猫が膝の上(貴代美)
十句     明日晴れれば遠出をしよう(順子)
十一句  鬱と躁替わり番この花の頃(修三)
十二句   船医になりて春の大海(建夫)
名残表
初句   マンボウはのらりくらりと浮ね旅(哲哉)
二句     カモメのジョナサン愚痴ばかりなり(修三)
三句   今日もまた吉原通いの旦那衆(貴代美)
四句     泣かせてみたいまなじりの紅(由紀江)
五句   行く末は惚れた張れたの銭勘定(修三)
六句     六文銭をきっちり残し(利枝)
七句   この夏は明治生まれの祖母が逝き(貴代美)
八句     彼岸の手向け野の曼珠沙華(清實)
九句   ほの白き大和国中昼の月(貴代美)
十句     角斬る鹿の甲高き声(清實)
十一句  濡れ縁でお茶をいただく老夫婦(貴代美)
十二句    咎赦されて三十七年(建夫)
名残裏
初句   京阪の自動改札とまどいて(順子)
二句     民情視察トンガの王子(建夫)
三句   近頃はなるひともなし相撲取り(修三)
四句     大坂場所はどうなることやら(政俊)
五句   さはあれど今年も花は咲きぬらん(和子)
挙句     春のどかなり筑波の道よ(満里子)

句上  添田隆昭(客・2) 村上建夫(世話人・6) 高城修三(宗匠・6) 今枝清實(3) 
小島布水呼(1) 城貴代美(7) 村上政俊(2) 森幸一(1) 上羽利枝(2) 山田順子(2)
田中哲哉(1) 小堀由紀江(1) 友永和子(1) 奥山満里子(執筆・1) 廣瀬春雄 佐野全光

猛暑の頃にもかかわらず冷気漂う高野山別格本山蓮華定院にて、添田隆昭高野山宗務総長
より発句ばかりか「酒一升に羊羹ひとつ」の好句をいただき、高野山開創千二百年にあわせて
連歌復興祈願連歌を無事奉納することができました。私どもの無理なお願いに応えてくださった
添田宗務総長をはじめ蓮華定院のみなさま、また大変な御足労をおかけした世話役の村上建
夫氏以下多くの連衆のみなさまに深く感謝いたします。