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    熊野神社本殿修復落慶連歌

平成三十一年四月六日
熊野神社本殿修復落慶連歌
 於 熊野神社長床

  初折表
  発句    春の空社さやけき檜皮葺(みつゆき)
  脇       霞かき分け現る梵字(建夫)
  第三    さくら散る藤戸の石を前にして(修三)
  四句     五三の桐は我が袖にあり(貴代美)
  五句    順逆は月の満ち欠け待つばかり(春雄)
  六句     甲の下にこおろぎ探す(哲也)
  裏
  初句    秋を鳴く昔の名前はきりぎりす(るみ子)
  二句     彼岸までにと馬鈴薯うえる(貢)
  三句    新妻が家路を急ぐ夕間暮れ(寛)
  四句     たぶん帰らぬ憎きあのひと(順子)
  五句    笑う顔写真に向けてあかんべぇ(裕子)
  六句     真夏の夜にふっと目覚めて(福男)
  七句    開け放つフランス窓に月涼し(典子)
  八句     モンマルトルに来て一年目(二郎)
  九句    髯面の大道芸ものどかなり(朝子)
  十句     紋白蝶が猿をからかう(紹二)
  十一句  花盛り人のいぬ間の盗み酒(清實)
  十二句   満座の中で棒しばり舞う(保)
  名残折表
  初句    なべて世は上と下との知恵比べ(文男)
  二句     知らぬふりして店番の猫(由紀江)
  三句    いとはんは何度も文をかき破り(利枝)
  四句     三十路ま近で初めての恋(哲也)
  五句    年下のポルシェが好きな男前(久子)
  六句     いつまた会える熊野権現(容子)
  七句    石段を息せき切りし那智の滝(哲也)
  八句     菅笠かぶり定めなき旅(清實)
  九句    西行はかこち顔にて歌を詠み(修三)
  十句     大原の里雪はつもりぬ(文男)
  十一句   月はただ真白き御陵を照らしけり(修三)
  十二句    青垣めぐる国の最中ぞ(順子)
  裏
  初句    筑紫にてホホデミの命告りにける(修三)
  二句     その行く末が令和なるかや(貴代美)
  三句    帰化人があふれかえれる御世の春(文男)
  四句     かざしにせんと梅の一枝(貴代美)
  五句    しかれども今年の花も桜なり(利枝)
  挙句     人の集いて楽しかりける(保)

  句上  佐藤みつゆき(客・1) 村上建夫(世話人・1) 高城修三(宗匠・4) 城貴代美(3) 廣瀬春雄(1) 安田哲也(2) 中川るみ子(1)  庵谷貢(1) 三宅寛(1) 山田順子(執筆・2) 植木裕子(1) 大谷福男(1) 佐藤典子(1) 平井二郎(1) 後藤朝子(1) 由佐紹二(1)   今枝清實(2) 河内保(2) 奥村文男(3) 小堀由紀江(1) 上羽利枝(2) 田中哲哉(1) 飛田久子(1) 佐藤容子(1) 

  倉敷市の日本第一熊野十二社権現にて、昨年、国の重要文化財である本殿修復が成りましたことを奉祝する連歌会が満開の花の中で興  行されました。それに先立ち、佐藤宮司様から境内諸施設の御案内とそれに隣接する五流尊瀧院(大久保利通遺品の馬車および児島高  徳碑など)の見学が行なわれました。