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2023年採用句



 
2023年11月22日満尾 「暑き夜や」の巻

 初表
 発句   暑き夜や夢に逢瀬の天の川・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      告げえぬままに幾年の夏・・・・・・・・・・・・・花子
 第三   お父さんと呼ぶ娘子を愛しみて・・・・・・・・遊楽部
 四句    しみじみと見る夕焼けの海・・・・・・・・・ゆめ比乎
 五句   屍のごとき廃船月待てり・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 六句    二十二世紀人消えし秋・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 初裏
 初句   摩天楼虫の音ばかり残るらん・・・・・・・・・・・竹生
 二句    別れ話の後の沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 三句   タバコ吸うその指先が憎らしい・・・・・・・ゆめ比乎
 四句    遊女の形見の朱羅宇のキセル・・・・・・・・・花子
 五句   室の津の小さき墓に寒椿・・・・・・・・・・・・・・・・・・静
 六句    引きも切らずや出船入船・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 七句   昼の月湯屋のあくのを待ちかねて・・・・・・・ふく女
 八句    赤蜻蛉を追う子追わぬ子・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 九句   訳あって離檀望めり曼殊沙華・・・・・・・・・・・ふく女
 十句    高き空より鳶の鳴き声・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 十一句  半木の賀茂川堤は花万朶・・・・・・・・・・・・・・・正女
 十二句   一文無しのほおに春風・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫

 名残表
 初句   初給料本屋の借りにすべて消え・・・・・・ゆめ比乎
 二句    青春並ぶ背表紙褪せて・・・・・・・・・・・・・・・・・・静
 三句   馴れ初めを孫に問わるる妻の留守・・・・・・ふく女
 四句    嘘から始まる恋のお話・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 五句   深き草踏みて通いし九十九夜・・・・・・・・・・・・竹生
 六句    罠にかからぬしたたか狐・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 七句   白き尾は信太の森に消え行きて・・・・・・・・・白菫
 八句    風運び来る母呼ぶ声よ・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 九句   あちこちとコスモス園のかくれんぼ・・・・・・・・・静
 十句    あの日あの秋もう戻らない・・・・・・・・・・・・・花子
 十一句  混乱のガザの壁上浮かぶ月・・・・・・・・・・遊楽部
 十二句   ヒジャブの影に憂い隠して・・・・・・・・・・・・・白菫
 名残裏
 初句   コーランを唱える声の遠きより・・・・・・・・・・・・鶯声
 二句    外寝の午後にすることもなし・・・・・・・・・遊楽部
 三句   今日もまた自販機の酒買いにけり・・・・・・・・大寛
 四句    一人暮らしの春にも慣れて・・・・・・・・・ゆめ比乎
 五句   花の下もうしばらくは生きてみよう・・・・・・遊楽部
 挙句    もの皆遊ぶのどけさの中・・・・・・・・・・・・・・西風







 2023年6月2日満尾 「降る雪に」の巻



 初表
 発句   降る雪にいやしけ吉事願いけり・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      紅色深き早咲き椿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 第三   山霞む朝も外湯を巡り来て・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 四句     今年もカレイの干物値上がり・・・・・・・・ゆめ比乎
 五句   思い出す若狭の海の蒼き月・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 六句     イスタンブルの秋風ぬるし・・・・・・・・・・・・・・正女
 初裏
 初句   名も知らぬ虫の音聞こゆカフェの窓・・・・・・・・・西風
 二句     結婚指輪を外している君・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 三句   戯れに恋はすまじと思いつつ・・・・・・・・・・・・・・花子
 四句     帳場で頬杖弾く算盤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 五句   今日もまた上がり続ける卵の値段・・・・・・・・・・東雪
 六句     雪道危うし買い物帰り・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 七句   父となる覚悟はありや寒の月・・・・・・・・・・・・遊楽部
 八句     夢に未練の元革命家・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 九句   新宿西口広場日が差して・・・・・・・・・・・・・・・・・正女
 十句     若草色のフレアスカート・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句  花の下フラッシュモブが動き出す・・・・・・・・遊楽部
 十二句   子猫の耳がきりりと立って・・・・・・・・・・・・・ふく女
 名残表
 初句   奥の間に座敷わらしの気配あり・・・・・・・・・・・・竹生
 二句     転がっていくビー玉ひとつ・・・・・・・・・・・・・・花子
 三句   あと追いて赤い鼻緒に行き当たり・・・・・・・・・・鶯声
 四句     君とあいつは揃いの浴衣・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   友情か恋か我に問うなかれ・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 六句     ひたすら歩く夕焼けの街・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 七句   遠近のサイレン同時に鳴りにけり・・・・・・・・遊楽部
 八句     原爆投下の刻を知らせて・・・・・・・・・・・・・・花子
 九句   黙祷の肩に留まりし鬼ヤンマ・・・・・・・・・・・・・・白菫
 十句     飯盛山の秋草の色・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句  河内より天下見渡す昼の月・・・・・・・・・・・・・へつじ
 十二句   民の家々煙立つなり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東雪
 名残裏
 初句   駆け回り遊びたわむる子等の声・・・・・・・・・・・・・静
 二句    烏帽子太刀つけ舞う白拍子・・・・・・・・・・・・・花子
 三句   しづやしづ八幡宮に澄み渡る・・・・・・・・・・・・・・正女
 四句    空の青さの深い奥行き・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   峠道花の古木は孤高なり・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 挙句    付かず離れず鶯鳴いて・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 

  

 




2022年採用句


 2022年12月13日満尾 「何事も」の巻



 初表
 発句   何事もおこることなく秋立ちぬ・・・・・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      世を憂う身に行き合いの空・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 第三   庭先にアポロンの像月待ちて・・・・・・・・・・・・・・・・東雪
 四句     窓辺にかざす無銘の短刀・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 五句   京浜の工場地帯四畳半・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・痩身
 六句     非番の朝の目覚まし時計・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 初裏
 初句   幼子が布団の上に乗りかかり・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 二句     帰らぬ母を問うこともなく・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 三句   十余年恨みも消えて深雪晴れ・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 四句     妻敵討の本望遂げし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 五句   濡れ衣も脱ぐすべなくば恋衣・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 六句     質屋通いの夕立の道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 七句   雲間より涼しく匂う夏の月・・・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 八句     祭の笛の習いも済んで・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 九句   嫌がらずマスクつけたる令和の子・・・・・・・・・・・遊楽部
 十句     げじげじ眉は三代続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 十一句  唐様の滲む墨蹟花吹雪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 十二句   寺子屋開いて漸く二春・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 名残表
 初句   束脩にシジミ持参の浪士の子・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 二句     明日は江戸を離れると言い・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 三句   笠の緒を付け替え先ずは発句詠み・・・・・・・・・・・・花子
 四句
     箕が仲立ちの夫婦復縁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 五句   雨音に閨の藁床敷き直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 六句     一揆の廻状眠られぬ夜・・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 七句   冬ざれの川原に並ぶ我の首・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 八句     渡しの舟の六文足りず・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・縁糸
 九句   お手製のすごろく一回休みなり・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 十句    賽の目ひとつ変る人生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・縁糸
 十一句  寛大な措置をと月に祈る母・・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 十二句   エンマコオロギどこかで鳴いて・・・・・・・・・・・・・・白菫
 名残裏
 初句   行く秋のネット回線つながらず・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 二句    ワインカーヴのきざはしの下・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 三句   虚ろげに雨宿りする斑の犬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 四句    戦火の町に草萌え出でて・・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 五句   金鯱の天守の面影花いまだ・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 挙句    平らかなれと春の風吹く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫


  

 







 2022年7月7日満尾 「春雨や」の巻



 初表
 発句   春雨や黒土地帯を戦車いく・・・・・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      聖ジャべリンの潜む雪代・・・・・・・・・・・・・・・・痩身
 第三   鳥曇り八端十字は空差して・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 四句     購いし古書の愛しき重さ・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   尋ね来て糺の森に昼の月・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 六句     秋風伴に野上を出ずる・・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 初裏
 初句   恨めしき忘れ扇の表裏・・・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 二句     美しき嘘重ねし君よ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 三句   空蝉を拾えば砕く午後三時・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 四句     あの夏の日の少年野球・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 五句   廃村のポストに青き蔦絡む・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 六句     暗き森よりもののふの声・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 七句   月光のひと筋よぎる鹿ケ谷・・・・・・・・・・・・・・・・大寛
 八句     独り島守る底冷えの庵・・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 九句   つぼ焼きと熱めの燗で過ごす日々・・・・・・・・・・花子
 十句     マルクス全集処分をするか・・・・・・・・・・ゆめ比乎
 十一句  後戻りできぬ恋なり花の朝・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ
 十二句   君帰したり春泥の道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 名残表
 初句   ぶらんこを漕げば涙も乾きいて・・・・・・・・・・・・・花子
 二句    キーウ近郊砲撃の音・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・痩身
 三句   コサックの誇り新たに空見上ぐ・・・・・・・・・・・遊楽部
 四句    友はいずれの雲となりしか・・・・・・・・・・・・・・・西風
 五句   山小屋の頑固おやじが板につき・・・・・・・・・・ふく女
 六句    薪ストーブに黒ぶちの犬・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 七句   無伴奏チェロ曲冬の月欠けて・・・・・・・・・・・・・・花子
 八句    紹介されし君のフィアンセ・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 九句   失いし恋の捨て場はいずこなる・・・・・・・・・・・・西風
 十句    一点の雲なし青い空・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・正女
 十一句  南海へ知覧飛び立つ十八歳・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 十二句   遠く近くに蛍呼ぶ声・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 名残裏
 初句   睡眠薬を一つ余分に飲んだ夜・・・・・・・・・・・・・竹生
 二句    怨みつらみの走馬灯舞う・・・・・・・・・・・・・・・・遊女
 三句   あの頃はフューシャピンクが大はやり・・・・・・ふく女
 四句    うかれ浮世に畑を打ちたり・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   咲き誇る花あり散りし命あり・・・・・・・・・・・・・・・・西風
 挙句    百の祈りに朧暮れゆく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫




  

 






 2022年2月9日満尾 「月出でず」の巻



 初表
 発句   月出でず何処におわす父に母・・・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      夜長にやわらかき猫の腹・・・・・・・・・・・・・・遊楽部

 第三  サイレンの音が虫の音かき消して・・・・・・・・・・・・正女
 四句     行き先決めぬ旅の駅舎で・・・・・・・・・・・・・・・花子
 五句   眉寄せて時計を見るや鴨うち帽・・・・・・・・・・・ふく女
 六句     来ぬ待ち人に来たる初雪・・・・・・・・・・・・・・・西風
 初裏
 初句   あと一つ榧の実足りぬ夜の通い・・・・・・・・・・・・東雪

 
二句    小町針には通す穴なく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・緑糸
 三句   児の寝息仕立て仕事は捗れり・・・・・・・・・・・・・竹生
 四句    路地裏長屋拍子木響く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西風
 五句   こっそりと宿替え謀る晦日前・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 六句    ラディゲ一冊肌身離さず・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 七句   夭折はかなわず仰ぐ青い月・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 八句    場外市場でサンマあがなう・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 九句   床に伏す男のありて秋の色・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 十句     つれなき人を待つぞ苦しき・・・・・・・・・・・・・・・・西風
 十一句  御仏のかすかなる笑み花明かり・・・・・・・・・・・遊楽部
 十二句   懺悔するには咎多き春・・・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 名残表
 初句   牛も人も土耕して静かなり・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 二句     大空を行く白い綿雲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弥生
 三句   コーランがカッパドキアに鳴り響く・・・・・・・・・・・・正女
 四句    せかされて乗る小さめのバス・・・・・・・・・・・・・ふく女
 五句   格安の葬儀屋さんが流行りだし・・・・・・・・・・・・・謡拙
 六句    菊の香のみは常とかわらず・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 七句   邯鄲鳴く天誅義士のゆく道に・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 八句    釣瓶落としの大和の峠・・・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 九句   君が行く暗がり照らせ月明かり・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 十句    窓にもたれて気づく移り香・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句  深煎りのコーヒー苦き夏の朝・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 十二句   水滴つたう倉敷グラス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・正女
 名残裏
 初句   末娘三十路の暮れの親離れ・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 二句     晴れて自由の身に虎落笛・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 三句   われ一人松は昔の色のまま・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 四句     東風はつれなき限界集落・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 五句    花見とて開く重箱平家蝶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 挙句     こともなき世にしたい春なり・・・・・・・・・・・・・・・・狸吉



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2021年採用句



 2021年8月23日満尾 「優美なる」の巻



 初表
 発句   優美なる自重耐えつつ藤二尺・・・・・・・・・・・・・弓月

 脇     病む床なれば急ぐなよ春・・・・・・・・・・・・・・・・狸吉
 第三
   生きめやもサナトリウムは夏めきて・・・・・・・・・謡拙
 四句    風にはためく真白なシーツ・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   香久山の峰にあえかな昼の月・・・・・・・・・・・・・謡拙
 六句    忘れ形見の孫に秋声
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東雪
 初裏
 初句  
 柘榴ひとつ裂けて落ちたり音もなく・・・・・・・・・花子
 二句   
 今ここにある罪の贖い・・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 三句  
 埋火のごとき思いの消えぬまま・・・・・・・・・・・・花子
 四句    婚家の門をくぐる行列・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 五句   津軽にははや重き雪降り初めて・・・・・・・・・・・西風
 六句     びいどろグラス一人酒つぐ・・・・・・・・・・・・・・・縁糸
 七句
   突っ張って生きてきたけど蒼い月・・・・・・・・・・・桃子
 八句    小窓開いておはぎ差し入れ・・・・・・・・・・・・・・東雪

 
九句   再審の望みも消えて秋時雨・・・・・・・・・・・・・・・花子
 十句     閉じられた
ままの鴇色の傘・・・・・・・・・・・・・白菫
 十一句  花の夕妻の検査が長引いて・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 十二句   温めなおす蛤の碗・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 名残表
 初句   独り居の春の昼餉は気のままに・・・・・・・・・・・・桃子
 二句
     古紙回収の間延びした声・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 三句   町内の噂おまけで置いてゆき・・・・・・・・・・・・・・狸吉
 四句    妬み心の沸き起こる朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 五句   野宮で深く恥じ入る恋の果て・・・・・・・・・・・・・・・東雪
 六句    秋扇挿す帯は葡萄色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 七句   如何せん客の戻らぬ月の宴・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 八句    野分の庭を清める半東・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 九句   ゆったりと馬の行きかう屋敷前・・・・・・・・・・・・・西風
 十句    什の掟の唱和が響き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 十一句
 黒谷で香を燻らす四代目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東雪
 十二句   叶結びの錦の袋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 名残裏
 初句   
手がかりは握りしめたる守りのみ・・・・・・・・・・・・西風
 二句    籠の赤子はちゃんちゃこを着て・・・・・・・・・・・謡拙
 三句  
 後の世に天下をとると誰が知る・・・・・・・・・・・・・花子
 四句    殿様蛙の鳴き声重し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西風
 五句   荒果てた城もひと時花化粧・・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 挙句    つつむ霞は神のみ恵み・・・・・・・・・・・・・・・・・・西風




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   2021年3月27日満尾 独り酒」の巻



 初表
 発句  独り酒鹿の声きく闇深し・・・・・・・・・・・・・・弓月

 
     見えぬところで動いてる秋・・・・・・・・・・桃子
 
第三  鵙の贄なんの咎やら晒されて・・・・・・・・・みあ
 四句   声する方に月や残れる・・・・・・・・・・・・竹生
 五句  射水川舟人の唄逞しく・・・・・・・・・・・・・遊楽部

 
六句    赤玉かんざし懐にして・・・・・・・・・・・・ふく女
 
初裏
 初句
  雪催い思い告げずに果てし恋・・・・・・遊楽部
 
二句   相合傘が目の前を行く・・・・・・・・・・・・鶯声
 三句
  雑嚢を負いてたたずむ復員兵・・・・・・・・大寛
 四句   
変わらぬものは蝉しぐれのみ・・・・・・西風
 五句  
大原に夢の後先とむらいて・・・・・・・・・ふく女
 六句   
流行りのカフェの若き旅人・・・・・・・・・白菫
 七句  
擦り切れたランボオの詩集窓に月・・・・・花子
 八句  
見舞いの籠の林檎うつくし・・・・・・・・・ふく女
 九句  
今生の最後の秋は静かなり・・・・・・・・遊楽部
 十句   
ながめ暮らした双びのお山・・・・・・・・・正女
 十一句 人の世の嘆きを余所に花盛り・・・・・・・・・謡拙

 十二句 道化師来たる陽炎の中・・・・・・・・・・・・花子
 名残表
 初句  
丸鼻も卵も赤き復活祭・・・・・・・・・・・・・・大寛
 二句   過去振り捨てて生きんと思う・・・・・・・・花子

 
三句  竿さして嫁入り舟が岸離る・・・・・・・・・・ふく女
 四句   恋の終わりに八幡の堀・・・・・・・・・・・・白菫
 五句  欄干に黒くいびつな石一つ・・・・・・・・・遊楽部
 六句   
行きつ戻りつ思案気な犬・・・・・・・・・・・鶯声
 七句   空っ風に桶の転がる宿場町・・・・・・・・遊楽部
 八句    大政奉還の知らせあり・・・・・・・・・・・・・花子
 九句  盈ち欠けの何を嘆かん青き月・・・・・・・・・白菫
 十句    六条院の夏の対の屋・・・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句 生き霊となりしお方も彷徨うや・・・・・・・・・花子
 十二句 印を結ぶはいずこの僧都・・・・・・・・・・西風
 名残裏
 初句  暗闇に潜む疫病睨みつけ・・・・・・・・・・・・謡拙
 二句    ジッポーをただ点けては消して・・・・・遊楽部
 三句  須らく親の遺品は捨てるべし・・・・・・・・・・狸吉
 四句    思い出詰まった家に春風・・・・・・・・・・・謡拙
 五句  散る花をお椀に盛っておままごと・・・・・・・花子
 挙句    神も微笑むあたたかき国・・・・・・・・・・・西風
 


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2020年採用句


   2020年4月28日満尾 「年の瀬や」の巻

 初表
 発句   年の瀬やなすこともなき日の暮るる・・・・弓月
 脇      漬物大根揺れている軒・・・・・・・・・・・・弥生
 第三   待ち兼ねの少年雑誌を手に入れて・・・ふく女
 四句     胸毛が目立つ朝潮太郎・・・・・・・・・・・謡拙
 五句   小望月里で最初のテレビジョン・・・・・・遊楽部
 六句     思考停止が始まった秋・・・・・・・・・・・・狸吉
 初裏
 初     キャンヴァスに林檎の青と檸檬の黄・・遊楽部
 二句     覗き見してる十四の放課後・・・・・・・・・白菫
 三句   理科室で舌絡め合う上級生・・・・・・・・・・痩身
 四句     恋は不思議な仕掛けがありて・・・・・・・花子
 五句
   サヨナラもなかった朝に二重虹・・・・・・遊楽部
 六句     光秀死すとの知らせを受けし・・・・・・・・花子
 七句    何を泣く十日あまりの月に雲・・・・・・・・・・桃子
 八句     蔦のパティオに錆びた揺り椅子・・・・ふく女
 九句   虫かごの兄と妹迷い来て・・・・・・・・・・・・・白菫
 十句     しあわせそうな母と再会・・・・・・・・・・・狸吉
 十一句  憎しみも花かんばせに綻びぬ・・・・・・・・白菫

 十二句    陽炎の立つ椿市の辻・・・・・・・・・・・・・鶯声
 名残表
 初句    何事ぞ早馬一騎駆け抜けて・・・・・・・・・・・謡拙
 二句     側女に男児が生まれ候・・・・・・・・・・ふく女
 三句    狂おしく思うおんなの身を恨み・・・・・・遊楽部
 四句     砧打ちても松は応えず・・・・・・・・・・・・竹生
 五句    秋風に移ろうためし烏鳴く・・・・・・・・・・・・白菫
 六句     古き友より着く新走・・・・・・・・・・・・・・・西風
 七句    覚えてるか世界革命なんて夢・・・・・・遊楽部
 八句     役員室に調和の扁額・・・・・・・・・・・・ふく女
 九句    高浜の原発照らす冬の月・・・・・・・・・・遊楽部
 十句     青鈍の海もの思いして・・・・・・・・・・・・白菫
 十一句  ポケットに好みでもない缶コーヒー・・・・ふく女
 十二句   電車いくつもやり過ごす午後・・・・・・・・白菫
 名残裏
 初句    家出した妻の足跡たどりきて・・・・・・・・・桃子

 
二句      近づけどまた遠ざかる君・・・・・・・・・・・花子
 
三句    朝霞たつ学校へつづく道・・・・・・・・・・・・西風
 
四句     令和二年の不思議な春べ・・・・・・・・遊楽部
 
五句    口つぐみ距離を保ちて花の客・・・・・・・・白菫
 挙句     曇りのち晴れ糸遊燃えて・・・・・・・・・・・花子
   



                              無断転用厳禁




2019年採用句


   
2019年11月11日満尾 「虎が雨」の巻

 初折
 発句    虎が雨想い出すこと数多あり・・・・・・・・・弓月
 脇       日々深みゆく紫陽花の青・・・・・・・・・・花子
 第三    大声で大人を叱る5歳いて・・・・・・・・・・・東雪
 四句      八の字眉のお側用人・・・・・・・・・・・・ふく女
 五句    大扇で月を隠した雲を掃く・・・・・・・・・・・・鶯声
 六句      ワンレンボディコン存亡の秋・・・・・・ふく女
 初裏
 初句    夜も昼も鉦叩き鳴く地上げ跡・・・・・・・・・花子
 二句      照り降り町とかつての名前・・・・・・・ふく女
 三句    俯いて日傘男子の通りけり・・・・・・・・・・・白菫
 四句      おんなのいない国へいきたし・・・・・・狸吉
 五句    振られても振られてもまた恋をして・・・遊楽部
 六句      衣返しのまじないの夜・・・・・・・・・・・・白菫
 七句    霜降ると見紛うばかり月明かり・・・・・・・・竹生
 八句      故郷を出て七年目の暮・・・・・・・・・・・大寛
 九句    河豚鍋は分別の無い猫抱いて・・・・・・・・狸吉

 十句      後生大事の欠け伊万里碗・・・・・・・・・竹生
 十一句   受け継ぎし由緒ありやと花の客・・・・・・・白菫
 十二句    応うともなく只春の風・・・・・・・・・・・・ふく女
 
 名残表
 初句    卒業す若き悩みを抱いたまま・・・・・・・・・白菫
 二句      帳場の義母の白い横顔・・・・・・・・・・ふく女
 三句    鍵を挿すからくり箪笥奥の文・・・・・・・・・・白菫
 四句      一世一代恋の指物・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 五句    悪女めくじゃじゃ馬な木に魅せられて・・・桃子
 六句      聞きたる香 何処より来る・・・・・・・・・・へつ
 七句    教会の鐘鳴り響く中庭で・・・・・・・・・・・・・花子
 八句      神は死んだと叫んでみたし・・・・・・・・桃子
 九句    津波去り船はぽつんと屋根の上・・・・・・・西風
 十句      洗われて清しスクリューの青・・・・・遊楽部
 十一句   島々のアイアンアート照らす月・・・・・・・・鶯声
 十二句    分教場にコスモス乱れ・・・・・・・・・・・・謡拙
 名残裏
 初句    妹を背負う小学五年生・・・・・・・・・・・・・ふく女
 二句      空襲の夜の炎猛りて・・・・・・・・・・・・・・狸吉
 三句    ロンドンの葉巻くゆらす執務室・・・・・・・・痩身
 四句      時の流れに咲く用意あり・・・・・・・・・・・桃子
 五句    海防の策を抱きて花の宵・・・・・・・・・・・・遊楽部
 挙句      遠く近くに響く春雷・・・・・・・・・・・・・・・花子

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2019年5月23日満尾 「烏翔ぶ」の巻


 初表
 発句    烏翔ぶ比叡の方や雪の雲・・・・・・・・・・・・弓月
 脇       壺に一挿し紅き侘助・・・・・・・・・・・・・・痩身
 第三    孫曾孫喧噪やがて去りゆきて・・・・・・・・竹生
 四句      いつも通りのいつもの時間・・・・・・・・・正女
 五句    自転車に朝刊つめば明けの月・・・・・・・・痩身
 六句      進路に迷う高三の秋・・・・・・・・・・・・・ふく女
 初裏
 初句    銀杏散るなかトラックを駆け抜ける・・・遊楽部
 二句      忘れてしまえ禁断の恋・・・・・・・・・・・・・西風
 三句    白無垢の義姉さんにかける言葉なし・・遊楽部
 四句      駕籠はゆらゆら蝉しぐれ降る・・・・・・・・竹生
 五句    昼酒の酔いは苦しや山科へ・・・・・・・・・・・鶯声
 六句      疎水に吹ける風身にさむし・・・・・・・・・謡拙
 七句    冴え冴えと月下吟詠ながれけり・・・・・・・・浩平
 八句      少年飛翔紫電一閃・・・・・・・・・・・・・・・・痩身
 九句    扁額に墨黒々と祖父の筆・・・・・・・・・・・・鶯声
 十句      縁にひかれて大磯の春・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句   花開く鴫立庵へつづく道・・・・・・・・・・・遊楽部
 十二句    渾身の一句いまだ出会えず・・・・・・・・花子
 名残表
 初句    あなたへの想いばかりがつのる夜・・・・・弥生
 二句      染み着きたるは芥子の香の衣・・・・・・白菫
 三句    バラバラと篠突く雨が音立てて・・・・・・遊楽部
 四句      大橋あたけ群青の午後・・・・・・・・・・・・白菫
 五句    水晶を溶かしたごとき隅田川・・・・・・・・・謡拙
 六句      破魔矢たずさえ通る人々・・・・・・・・・ふく女
 七句    すれ違う皆美しき初明り・・・・・・・・・・・・・白菫
 八句      わがインバネス古きに過ぎて・・・・・・ふく女
 九句    質入れの叶わぬままに夜の街・・・・・・遊楽部
 十句      捨てる神あり拾う神あり・・・・・・・・・・・・竹生
 十一句   昼月の淡く去りゆく一の谷・・・・・・・・・・ふく女
 十二句    末枯れの野に箙の昔・・・・・・・・・・・・・・白菫
 名残裏
 初句    旅半ば色なき風の音凄し・・・・・・・・・・遊楽部
 二句      盲目なれど居合を極め・・・・・・・・・・・・浩平
 三句    これよりは入るべからず修羅の道・・・・・花子
 四句      紋白蝶はふうわり抜けて・・・・・・・・・・・白菫
 五句    天地も此岸彼岸も花盛り・・・・・・・・・・・・・大寛
 挙句      令(よ)き国大和春のめでたさ・・・・・・・・西風

  



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2018年採用句



   
2018年11月18日満尾 「幼子も」の巻


 初表
 発句   幼子も翁媼も猛暑かな・・・・・・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      涼しい場所を知っている猫・・・・・・・・・・弥生
 第三   今もなお谷中は江戸の風情にて・・・・・・・謡拙
 四句     しまい忘れた風鈴ひとつ・・・・・・・・・・・・浩平
 五句   曇りなく月満ちたるも蟄居の身・・・・・・・遊楽部
 六句     蹲に浮かぶ紅葉ひとひら・・・・・・・・・・・・花子
 初裏
 初句   行く秋のジャズの流れる町家カフェ・・・・遊楽部
 二句     土曜はお見合いなのとつぶやく・・・・・ふく女
 三句   週末は過ごせぬ人へ当てつけに・・・・・・・白菫
 四句     素描の帯で京都をふらり・・・・・・・・・・・・謡拙
 五句   帰り道肩に舞い降り小米雪・・・・・・・・・・・・・松風
 六句     底抜けだった遺影の笑顔・・・・・・・・・・・・鶯声
 七句   月皓々高度成長のど真ん中・・・・・・・・・・・浩平
 八句     不知火海に秋風吹いて・・・・・・・・・・・・・花子
 九句   立身を夢見て励む十五歳・・・・・・・・・・・・ふく女
 十句     スティーブジョブスを師と仰ぎ見て・・・・・花子
 十一句  花さそう風のわたれる禅の庭・・・・・・・・・ふく女
 十二句   紋白蝶は砂紋に紛れ・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 名残表
 初句   懇ろに姉妹の海女を弔いて・・・・・・・・・・・・松風
 二句     細くたなびく藻塩の煙・・・・・・・・・・・・・・・白菫
 三句   恋という行方定めぬ道に入る・・・・・・・・・・・謡拙
 四句     真紅のルージュ差した瞬間・・・・・・・・・・・白菫
 五句   なぜかふとLove is over 口に出て・・・・・・・・浩平
 六句     大聖堂にかかる夏雲・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 七句   過ぎし冬身罷りし犬の面影・・・・・・・・・・・・・鶯声
 八句     隣家のオウム鳴きまね上手・・・・・・・・・・竹生
 九句   町内にいさかいの声絶えにけり・・・・・・・・ふく女
 十句     半襟掛ける木犀の午後・・・・・・・・・・・・・・白菫
 十一句  かにかくに祭終わりて昼の月・・・・・・・・・・・東雪
 十二句   紅葉せかるる祇園白川」・・・・・・・・・・・・ふく女
名残裏
 初句   行き交うは浅葱の段だら二三人・・・・・・・遊楽部
 二句     聞き取り難し方言訛り・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 三句   囲炉裏端遠野語りは果てしなく・・・・・・・・・・謡拙
 四句    座敷わらしも居眠りをして・・・・・・・・・・・・・・花子
 五句   現し世は一期一会の花盛り・・・・・・・・・・・・・大寛
 挙句    名残の御代はおぼろ暮れ行く・・・・・・・・・・白菫



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2018年6月22日満尾 「三輪山や」の巻

 初表
 発句   三輪山や御綱祭りも大らかに・・・・・・・・・・弓月
 脇      八つ並んだ春の酒樽・・・・・・・・・・・・・・東雪
 第三   浪花場所三賞力士どっとでて・・・・・・・・・謡拙
 四句     土佐堀川に吹く風光る・・・・・・・・・・・・・浩平
 五句   金魚売る声ゆっくりと橋を行く・・・・・・・・ふく女
 六句     頬に古傷背に昼の月・・・・・・・・・・・・・・浩平
 初裏
 初句   そぞろ寒楊枝くわえて流れ旅・・・・・・・・遊楽部
 二句     右も左も彼岸花咲き・・・・・・・・・・・・・・・西風
 三句   秘めたわが恋はいつしかみな知れり・・いるか
 四句     髪の残り香洗い流す朝・・・・・・・・・・・・・白菫
 五句   新世界よりの着信音が鳴る・・・・・・・・・遊楽部
 六句     ビリケンさんはマフラー巻いて・・・・・・・・白菫
 七句   立呑の小銭も乏し寒の月・・・・・・・・・・・・・謡拙
 八句     すり寄って来る白い野良猫・・・・・・・・・・弥生
 九句   蝸牛雨後にこわごわ角を出し・・・・・・・・遊楽部
 十句     声変わりした少年ひとり・・・・・・・・・・・・・弥生
 十一句  花の奥亡き妹の影を見て・・・・・・・・・・・・遊楽部
 十二句   イーハトーブに春灯揺れ・・・・・・・・・・・・白菫
 名残表
 初句   めざすのは銀河の果てか帰る雁・・・・・・・西風
 二句     気がつけば友みな先に逝き・・・・・・・遊楽部
 三句   百歳となってめでたいこともなし・・・・・・・・西風
 四句     波収まりし英仏海峡・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 五句   提督の思い出語るハミルトン・・・・・・・・・・東雪
 六句     刹那刹那に恋の真実・・・・・・・・・・・・・いるか
 七句   背を向けてかろき妬みで帰したり・・・・・・・白菫
 八句     驟雨ふりしく夕闇の中・・・・・・・・・・・・・・痩身
 九句   このあたり夕顔町と云われけり・・・・・・・・・浩平
 十句    着物姿の若人の声・・・・・・・・・・・・・・・・いるか
 一一句  連を組み踊る阿呆に月は笑み・・・・・・・・・・謡拙
 十二句   軒の提灯揺らす秋風・・・・・・・・・・・・・・・・弥生
 名残裏
 初句   急告げる中山道に柿たわわ・・・・・・・・・・・・謡拙
 二句    天下分け目にあゝ間に合わず・・・・・・・・・浩平
 三句   太平をしきりに嘆く伊達男・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 四句    都大路に春時雨降る・・・・・・・・・・・・・・・・弥生
 五句   蓑笠を掛けてやりたや花万朶・・・・・・・・・・・鶯声
 挙句    杖に鈴つけ子連れの巡礼・・・・・・・・・・・遊楽部


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2018年1月14日満尾 「孫の靴」の巻


 初表
 発句   孫の靴なくほどぬらす白露かな・・・・・・・弓月
 脇      色付くを待つ山里の柿・・・・・・・・・・貴代姫
 第三   月の下在宅介護を決意して・・・・・・・・遊楽部
 四句     紅茶の好きな叔母と姪なり・・・・・・・貴代姫
 五句   薔薇園の手入れを終えた午後三時・・・・竹生
 六句    風吹きまわす夕立間近・・・・・・・・・・・ふく女
 初裏
 初句   大橋を急ぐ娘の白き脛・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 二句     叶わぬ恋故身を焼き尽くす・・・・・・・・・弥生
 三句   生霊は糸毛の車枕元・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 四句     館を包む虫の音深し・・・・・・・・・・・・ぽぽな
 五句   舞踏果て文明開化の秋更けり・・・・・・・・浩平
 六句     書生のマント照らす月影・・・・・・・・・・ふく女
 七句   団子坂のぼれば風の身にしみて・・・・・・西風
 八句    道に転がる二銭の銅貨・・・・・・・・・・いるか
 九句   野良犬も小走りになる年の暮・・・・・・・遊楽部
 十句    盛りか掛けかと互い譲らず・・・・・・・・ふく女
 十一句  花見酒酔えば無邪気な絡みぐせ・・・・・・竹生
 十二句   優しく落つるひとひらの春・・・・・・・・・・・・文
 名残表
 初句   居もしない息子の話をする老婆・・・・・・・・浩平
 二句     羅城門にて夜を明かしつつ・・・・・・いるか
 三句   琵琶の音の闇震わせて聞こえくる・・夕あかり
 四句     甘く危うい茘枝の香り・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   面影を義母に重ねて募る恋・・・・・・・・・・謡拙
 六句     白きうなじに黒子が二つ・・・・・・・・遊楽部
 七句   屠蘇散にむせてこらえる初笑い・・・・・・ふく女
 八句     調子はずれの鶯の声・・・・・・・・・・・・・・西風
 九句   天満宮朧の空に溶ける月・・・・・・・・・・・・鶯声
 十句     緋袴ふたり回廊をゆく・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句  夏の朝Jアラートが鳴り響き・・・・・・・・遊楽部
 十二句   厨で噴いてる鍋の味噌汁・・・・・・・夕あかり
 名残裏
 初句   しんしんと信州はただ雪の中・・・・・・・・・浩平
 二句    お地蔵様に蓑をかけましょ・・・・・・・・・・東雪
 三句   読み聞かす母のはなしに夢うつつ・・・・・・謡拙
 四句    することもなき避難所の午後・・・・・・遊楽部
 五句   しみじみと命はこの世の花なりき・・・・・ふく女
 挙句    鞠つく子らと遊ぶ春の日・・・・・・・・・・遊楽部

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2017年の採用句



   
2017年7月31日満尾 「屋島背に」の巻


 初表
 発句   屋島背に同行二人の遍路かな・・・・・・・・・・弓月
 脇      東風に聞こゆる古の鬨・・・・・・・・・・・・遊楽部
 第三   行く春に時の流れを重ね見て・・・・・・・・・・・西風
 四句     消える昭和をカメラに収め・・・・・・・・・・・浩平
 五句   月光が銀波に染める瓦屋根・・・・・・・・・・・・弥生
 六句     秋風の吹く麗江古城・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 初裏
 初句   新走り下げ懐かしき友来る・・・・・・・・・・・・・弥生
 二句     伴う新妻褐色の肌・・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 三句   いくつもの恋が行きかう大空港・・・・・・・・・・浩平
 四句     苦みの強いコーヒーを飲む・・・・・・・・・遊楽部
 五句   己が才限界見えた凍てし夜・・・・・・・・・・・・・・うら

 六句     白き月冴ゆ生玉の森・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 七句   好色も不埒も柏手そっと打ち・・・・・・・・・・・・・浩平
 八句     身請けと聞かば祈るしあわせ・・・・・・・・ふく女
 九句   羅の裾を端折ってにわか雨・・・・・・・・・・・・・・弥生
 十句     谷中暮らしもようよう慣れて・・・・・・・・・・・浩平
 十一句 花朧あの世この世の入り交じる・・・・・・・・夕あかり
 十二句   胡蝶の夢の心地よき午後・・・・・・・・・・・・いるか
 名残表
 初句   地下鉄の緊急停止を告ぐラジオ・・・・・・・・・ふく女
 二句     レジスタンスが走る靴音・・・・・・・・・・・・・・浩平
 三句   雪かきの若い夫婦が首をふる・・・・・・・・・・・ふく女
 四句     実家を継いで恋の宿守・・・・・・・・・・・・・・・へい
 五句   さいわいは近頃話題のハート岩・・・・・・・・・ふく女
 六句     切り裂くように指笛響く・・・・・・・・・・・・夕あかり
 七句   闇深く刃の如き三日の月・・・・・・・・・・・・・・・・弥生
 八句     馬上更に過ぐ独眼の秋・・・・・・・・・・・・夕あかり
 九句   草の露情けを知らぬわけもなし・・・・・・・・・・ふく女
 十句     どくろの中に鳴き音の満ちる・・・・・・・・・・・東雪

 十一句  ありありと心に風の伊賀上野・・・・・・・・・夕あかり
 十二句    二両繋ぎの野中の電車・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 名残裏
 初句    スケッチの兄の帽子に蝉しぐれ・・・・・・・・・・・竹生
 二句     テオのみぞ知るゴッホの天才・・・・・・・・・・東雪
 三句   遍在の命のパルス渦巻いて・・・・・・・・・・・夕あかり
 四句     ええじゃないかと踊りに踊れ・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   腰掛けて初めて気づく花疲れ・・・・・・・・・・夕あかり
 挙句     春の日浴びて光る富士山・・・・・・・・・・・・・・謡拙

 

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2017年2月23日満尾 「天高し」の巻


 初表
 発句   天高し浪速墨之江茅渟の海・・・・・・・・・・弓月
 脇      帆をはらますは新酒番船・・・・・・・・・・・西風
 第三   気の早い月が行く手に待ちいでて・・・・・ふく女
 四句     炭坑節に急ぐ踊り手・・・・・・・・・・・・みどりこ
 五句   桐の下駄萩の浴衣も新しく・・・・・・・・・・・・浩平
 六句    再起を期する老舗の旅籠・・・・・・・・・みどりこ
 初裏
 初句   金髪で長躯碧眼若女将・・・・・・・・・・・・・・竹生
 二句     なれそめ聞けどうまく逸らされ・・・・・・ふく女
 三句   柳散る水郷の中新娶り・・・・・・・・・・・・・ぶんご
 四句     佐原囃子を運ぶ秋風・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 五句   トランプの札が切られた午後の月・・・・・・痩身
 六句     ふと銃口を近くに感じ・・・・・・・・・・・・・ふく女
 七句   よみがえるベトナムの森静かな夜・・・・遊楽部
 八句     泥の大河は今日も流れる・・・・・・・・・・・西風
 九句   行く末の不安こもごも家二軒・・・・・・・・・・浩平
 十句     ハーモニカ吹く少年ひとり・・・・・・・・・・・弥生
 十一句  城跡を埋め尽くさんと花は散る・・・・・・・・謡拙
 十二句   胡蝶が舞は夢かまことか・・・・・・・・・・うさこ
 名残表
 初句   まどろめば捨てた故郷の春祭・・・・・・・・・春海
 二句     赤線地帯の二階の一間・・・・・・・・・・ふく女
 三句   ランボーを読んでる女給からかって・・・・・痩身
 四句     汚れちまった人恋う心・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   終着駅レールに小雪ふりかかる・・・・・・・・痩身
 六句     待合室のストーブ温し・・・・・・・・・・・・・謡拙
 七句   小走りに過ぎる看護婦二三人・・・・・・・遊楽部
 八句     仮装もせずにハロウィンの夜・・・・・・・紹二
 九句   六本木スクランブルに望の月・・・・・・・・・・正女
 十句     ただ群衆に紛れる安堵・・・・・・・・・・・・春海
 十一句  刻々と実行の時迫り来る・・・・・・・・・・・・・浩平
 十二句    神籤は二回凶と出たれど・・・・・・・・・・西風
 名残裏
 初句    今日もまた冷やしうどんの美味きこと・・・浩平
 二句     驟雨通りぬ関東平野・・・・・・・・・・・・・・弥生
 三句    新皇は阿修羅の如く疾駆せり・・・・・・・・・謡拙
 四句     塚を詣でて栄転の礼・・・・・・・・・・・・みどりこ
 五句    縫い紋も三紋となる花の下・・・・・・・・・・ふく女
 挙句     母と娘の差す春日傘・・・・・・・・・・・・・・弥生

 

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2016年の採用句



   
2016年8月30日満尾 「朝とみに」の巻


 初表
 発句   朝とみに白き艶ます躑躅かな・・・・・・・・・・弓月
 脇      一枝手折りて春の設い・・・・・・・・・・・・・・なつ
 第三   しじみ売り貧乏公家に目もくれず・・・・・・・ふく女
 四句     密書の先は薩摩屋敷か・・・・・・・・・・・・・西風
 五句   夜回りのだんだら羽織に後の月・・・・・・・・大寛
 六句     鉢金光る露寒の道・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 初裏
 初句   粋がって苅田を護る案山子翁・・・・・・・・・・謡拙
 二句     夫着古しの褪せた藍染・・・・・・・・・・・・・春海
 三句   さりげなく下駄の鼻緒に恋証・・・・・・・・・・・東雪
 四句    化粧整え命日の朝・・・・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   待ち設くカメラマンにも雪しきり・・・・・・・・ふく女
 六句     羽を広げる金の鳳凰・・・・・・・・・・・・・・・東雪
 七句   美を妬む心もありて月の影・・・・・・・・・・・・浩平
 八句     秋袷着て覗く鏡台・・・・・・・・・・・・・・・みどりこ
 九句   残り香に去年の秋を想い出し・・・・・・・・・・・浩平
 十句    俊成卿は西を仰げり・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 十一句  善し悪しもあわれおかしも花浄土・・・・・・・浩平
 十二句   五百羅漢を刻む三春・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 名残表
 初句   黒あげは古刹の庭をひらひらと・・・・・・・・・謡拙
 二句     怪しの森に美少年立ち・・・・・・・・・・・・・なつ
 三句   逆落とし胆力鍛えた鞍馬山・・・・・・・・・・・・鶯声
 四句     サイレサイリョウの声が轟・・・・・・・・・・・浩平
 五句   うそ寒の二階の窓に影二つ・・・・・・・・・・遊楽部
 六句     睦言止める秋の村雨・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 七句   残されたワイングラスの紅のあと・・・・・・・・弥生
 八句     タイタニック号海の藻屑に・・・・・・・・・・・竹生
 九句   真相を闇に包んで朧月・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 十句     自由奔放三月生まれ・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 十一句  ブランコに揺れて老舗の若女将・・・・・・・・浩平
 十二句   島風恋しと口には出さず・・・・・・・・・・・ふく女
 名残裏
 初句   寄せ返す波の音だけする真昼・・・・・・・・・弥生
 二句     生まれる前の遠い思い出・・・・・・・・・・謡拙
 三句   冬の堂輪廻転生説く庵主・・・・・・・・・・・・・鶯声
 四句     日だまり眠る猫が三匹・・・・・・・・・・・・・浩平
 五句   尾道の坂にひらひら花は散り・・・・・・・・・・謡拙
 挙句     時をかけゆく佐保姫の影・・・・・・・・・・・西風 

 

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2016年3月22日満尾 「行く秋や」の巻


 初表
 発句    行く秋や琳派琳派の人の波・・・・・・・・・弓月
 脇       太閤塀を飾るもみじ葉・・・・・・・・・・・・謡拙
 第三    天高くジェット機二つ雲ひいて・・・・・・遊楽部
 四句      領域紛争知らぬ昼月・・・・・・・・・・・・・大寛
 五句    睫毛濃き少女目を伏せレース編む・・・ふく女
 六句      間近になりし姉の嫁ぐ日・・・・・・・・・・春海
 初裏
 初句    運ばれしピアノの跡の壁白し・・・・・・・・・みあ
 二句      分教場の春は終わりぬ・・・・・・・・・・・・竹生
 三句    若葉萌え世はおしなべて事も無し・・・・・浩平
 四句      貴妃の凝脂がはじく玉水・・・・・・・・・ふく女
 五句    モンローはシャネル5番で肌包む・・・・・・鶯声
 六句      映画終われば街は黄昏・・・・・・・・・・・・みあ
 七句    なんとなく肩をいからせ月の路地・・・・・・浩平
 八句     付け馬つれて露に濡れつつ・・・・・・・・ふく女
 九句    朝寒の隠居部屋から咳払い・・・・・・・・・・みあ
 十句     下手な謡いが始まる気配・・・・・・・・・・・謡拙
 十一句   咲く花の散り時知るや天下人・・・・・・・遊楽部
 十二句    あまたの春も夢のまた夢・・・・・・・・・・・浩平
 名残表
 初句    まだらボケ進むわが身に八重霞・・・・・・謡拙
 二句      諳んじている枕草子・・・・・・・・・・・・みどりこ
 三句    カーテンを開ければ白き雪の朝・・・・・遊楽部
 四句     あなたのガウン素肌に纏う・・・・・・・・・弥生
 五句    恋ゆらぐ二重スパイの胸の内・・・・・・・・ふく女
 六句      赤が哀しき梅擬きの実・・・・・・・・・・・・・みあ
 七句    白萩が行く手を覆う老いの径・・・・・・・・・春海
 八句      おばすて山の秋に抱かれ・・・・・・・・遊楽部
 九句    謙信の塩の荷車照らす月・・・・・・・・・・・・ふく女
 十句      辻に佇む馬頭観音・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 十一句   目鼻立ち風雪耐えて美男なり・・・・・・・・・・鶯声
 十二句    ホウロウ看板ハイアース・・・・・・・・・・・ふく女
 名残裏
 初句    バス停で陽だまりがただ欠伸する・・・・・・・はる
 二句      祖国の村はまだありますか・・・・・・・・・浩平
 三句    マニ車右手に少女つぶやけり・・・・・・・・・・みあ
 四句      もの問いたげに絡む初蝶・・・・・・・・・・・謡拙
 五句    四阿に夢より覚める花の昼・・・・・・・・・・・・みあ
 挙句      まこと極楽うららかなとき・・・・・・・・・・・・西風 



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2015年採用句



   
2015年10月23日満尾 「梅雨晴や」の巻

 初表
 発句   梅雨晴や半世紀ぶりの友の顔・・・・・・・・・・・弓月
 脇      日傘たためば変わりなき笑み・・・・・・・・・うさこ
 第三   白南風が坂道の町吹き抜けて・・・・・・・・・・・西風
 四句    号外配る鈴の音聞こゆ・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
 五句   軍神の母ふりあおぐ冬の月・・・・・・・・・・・・ふく女
 六句
    父は静かに煙草くゆらし・・・・・・・・・・・・遊楽部
 初裏
 初句   浮名をば流し尽くして好々爺・・・・・・・・・・・・謡拙
 二句
    愛怨坂を登って下って・・・・・・・・・・・・・・・浩平
 三句   履きかえる紐も真っ赤なスニーカー・・・・みどりこ
 四句     皇居の空になびく白雲・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 五句   炎天下額づきてより七十年・・・・・・・・・・・・・春海
 六句     灯籠流しに曾孫ともない・・・・・・・・・・・・ふく女
 七句   綿菓子を月とくらべる小さな手・・・・・・・・・・・bird
 八句     秋風やさし大阪ことば・・・・・・・・・・・・・・・浩平
 九句   気がつけば世辞にくるんで丸められ・・・・・春海
 十句     借りるどころか金貸すはめに・・・・・・・・・謡拙
 十一句  吾子二人はしゃぎて居りぬ花吹雪・・・・・・・弥生
 十二句   行く春の日に再嫁思いし・・・・・・・・・・・遊楽部
 名残表
 初句   陽炎にのせて昔の文を焼く・・・・・・・・・・・・・西風
 二句     哀れ忠度詠み人知らず・・・・・・・・・・・・・・春海
 三句   選歌の手休め聴き入る鐘の声・・・・・・・みどりこ
 四句    
四辺静めて初雪降れり・・・・・・・・・・・・遊楽部
 五句   塾帰り少女の赤い毛糸帽・・・・・・・・・・・・・・弥生
 六句     ガラスに映る自分に見とれ・・・・・・・・・・・謡拙
 七句   一人乗る寝台特急出雲行き・・・・・・・・・みどりこ

 八句
    発車のベルの鳴りやむなかれ・・・・・・・・うさこ
 九句   バンザイに送られ涙の白い月・・・・・・・・・・・弥生
 十句     能登の棚田に曼珠沙華咲く・・・・・・・・・・・謡拙
 十一句  潮待ちの北前船に秋の蝶・・・・・・・・・・・・みどりこ
 十二句   丁半の声漏れ来る苫屋・・・・・・・・・・・・・・甘露
 名残裏
 初句   呼びに来る長女が女房生き写し・・・・・・・・ふく女
 二句     細き襟足匂う侘しさ・・・・・・・・・・・・・・・・・春海
 三句   毛並みよき黒猫胸に抱きたる・・・・・・・・・・・うさこ
 四句     アレルギーにもいろいろの春・・・・・・・・・・ふく女
 五句   くしゃみしてどこか恥ずかし花の前・・・・・・遊楽部
 挙句     入学式は白のスニーカー・・・・・・・・・・・・・・竹生


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2015年5月6日満尾 「孫たちに」の巻

 初表
 発句   孫たちに拍手教え初日かな・・・・・・・・・・・弓月
 脇      淑気充ち来て川面かがやく・・・・・・・みどりこ
 第三   御門召す魚の片身を放つなり…・・・・・・・・竹生
 四句    いずこともなく白鷺の群れ・・・・・・・・・・・うさこ
 五句   月出でてスケッチブックを閉じる頃・・・・・・ふく女
 六句
   春日野からの鹿の鳴き声・・・・・・・・・ひたち野
 初裏
 初句   秋暮れて茶粥食べたし連れはなし・・・・・・・浩平
 二句
    もの言いたげな後家の長し目・・・・・・・・春海
 三句   使い捨てカイロのような恋をして・・・・・・・・・りえ
 四句     雪しんしんと降る港町・・・・・・・・・・・・・・・うさこ
 五句   朝まだきガンガン寺の鐘の音・・・・・・・・・遊楽部
 六句     戦止みたる報せにぎやか・・・・・・・・・・みどりこ
 七句   兵役をのがれし男月見上ぐ・・・・・・・・・・・遊楽部
 八句    妻と柿食む結核病棟・・・・・・・・・・・・・・・・・bird
 九句   いまごろの嵯峨野あたりはいいだろね・・・・浩平
 十句     和みて集う石仏たち・・・・・・・・・・・・・・・・春海
 十一句  小島から都会へゆく子よ花しぐれ・・・・・・・・孝平
 十二句   金の卵と囃すはるかぜ・・・・・・・・・・・・・・bird
 名残表
 初句   永き日の徳利下げし大狸・・・・・・・・・・・・・貴代姫
 二句     店を見つめる刑事の目光り・・・・・・・・・・遊楽部
 三句   空高く鳶が輪をかく漁師町・・・・・・・・・・・・・・甘露
 四句    
ドローンの下に第五艦隊・・・・・・・・・・・・・東雪
 五句   ハイテクも胸の熱きは写せまい・・・・・・・・・・うさこ
 六句     浮かれ女と呼ぶ人もあるらし・・・・・・・・・貴代姫
 七句   歌わばや出雲の国をしのびつつ・・・・・・・・・ふく女

 八句
    追われ逃れて諏訪湖の紅葉・・・・・・・・・・東雪
 九句   何処とて住めば都と濁酒・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 十句     巽のはずれ方丈の庵・・・・・・・・・・・・・・・・うさこ
 十一句  陰もなく暑き蝉の音ふりそそぎ・・・・・・・・・遊楽部
 十二句   汗か涙か敗戦勅語・・・・・・・・・・・・・・・・・・春海
 名残裏
 初句   ホッとした途端にやたら腹が鳴り・・・・・・・・・・謡拙
 二句     初めて務めた葬儀委員長・・・・・・・・・・・・・竹生
 三句   白き雲ただ悠然とうかびいて・・・・・・・・・・・・・西風
 四句     遍路の道は丁度半ばに・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 五句   猫の目の蠱惑的なり花の陰・・・・・・・・・・・・貴代姫
 挙句     春時雨降る西行の墓・・・・・・・・・・・・・・・・・弥生


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2014年採用句



   
2014年11月12日満尾 「静けさや」の巻


 初表
 発句   静けさや祇園囃子の鉦の中・・・・・・・・・・弓月
 脇      壁にはりつく真白なヤモリ・・・・・・・・遊楽部
 第三   その夜なり大空襲に焼け落ちて・・・・・・・鶯声
 四句
    胸に抱いた缶入りドロップ・・・・・・・みどりこ
 五句   しとしとと雨の降る日のお留守番・・・・・・浩平
 六句     明日の月見へ多忙なる母・・・・・・・・貴代姫
 初裏
 初句
   おみなえし根津の妾に届けやる・・・・・・ふく女
 二句    上るも下るも恋のS坂・・・・・・・・・・・・遊楽部

 三句   初乗りの絶叫マシーン空は青・・・・・・みどりこ
 四句    罪も未練も限りなく翔べ・・・・・・・・・・・・うさこ
 五句   
雪ぞ降るすべてを包むかのごとく・・・・・・西風
 六句    
八甲田山はただ沈黙し・・・・・・・・・・・・・謡拙
 七句   踏破して月に酒汲む山ガール・・・・・・みどりこ
 八句   
 缶チューハイの秋のCМ・・・・・・・・・・遊楽部
 九句   残り蚊に心の隙間刺されおり・・・・・・・・貴代姫
 十句   
 記憶の隅に若き日の罪・・・・・・・・・・・・・甘露
 十一句 この道を登りて右に花の寺・・・・・・・・・・・・うさこ
 十二句  遍路の笠とすれ違いつつ・・・・・・・・・・・・西風
 名残表
 初句 
  救急車サイレン鳴らして春日裂く・・・・・遊楽部
 二句     スカイツリーを見上げる街で・・・・・・・・うさこ
 三句   男名は辰巳芸者の意気地なり・・・・・・・・ふく女
 四句     四郎命と彫って操立て…・・・・・・・・・・・東雪
 五句   廃校の扉に残る苦き科・・・・・・・・・・・・みどりこ
 六句     無患子の樹の大いなる影・・・・・・・・貴代姫
 七句   秋彼岸しみじみ思う親の愛・・・・・・・・・・・・謡拙
 八句     真如の月は隈なく照らす・・・・・・・・・・・うさこ
 九句   御嶽に初冠雪の日も近し・・・・・・・・・・・・・鶯声
 十句     入洛夢見る朝日将軍・・・・・・・・・・・・遊楽部
 十一句  大根がやたら見え切る村芝居・・・・・・・・・春海
 十二句    おでんの鍋のふつふつと沸く・・・・・・・・弥生
 名残裏
 初句   願掛けたお不動さんの帰り道・・・・・・・・・・浩平
 二句    
 片方のみのピアス光らせ・・・・・・・・・貴代姫
 三句  
 春の風足場にのぼる十七歳・・・・・・・・・・ふく女
 四句     雲雀啼く空まだまだ高く・・・・・・・・・・・・・
bird
 五句   狩りもせで親王にすすめる花の酒・・・・・・ふく女
 挙句     東の方に鹿島立ちせん…・・・・・・・・・・・東雪



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2014年6月19日満尾 「何となし」の巻


 初表
 発句   何となし霞にいとう夕べかな・・・・・・・・・・・・弓月
 脇      犬は無邪気に蓮華咲く道・・・・・・・・・・みかん
 第三   揚げひばり休作たんぼは荒れ果てて・・・・・春海
 四句     捨て置かれたるニ引両旗・・・・・・・・・・・西風

 五句   乳呑児の寝顔に淡き月の影・・・・・・・・・・・・ぐみ
 六句     後悔ばかり胸を刺す秋・・・・・・・・・・・・・・はる
 初裏
 初句   白無垢の褄とり注連の下くぐる・・・・・・・・ふく女
 二句     過疎の山里新妻に沸く・・・・・・・・・・・・・・bird
 三句   ひっそりと軒伝いゆく蛇の午後・・・・・・・・貴代姫
 四句     虚実のあわいでふくらむ殺意・・・・・・・・・浩平
 五句   召し上がれ焦がしバターのパンケーキ・・貴代姫
 六句     鹿鳴館の宴果てしなく・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 七句   月はただ素知らぬがごと照らすのみ・・・・・うさこ
 八句    
 蕎麦の畑に群れる猪・・・・・・・・・・・・みどりこ
 九句  
 朱の色の渋柿ばかり初瀬村・・・・・・・・・・貴代姫
 十句     十一面像何見ておわす・・・・・・・・・・・・・・浩平
 十一句 
見納めの命もあらむ花吹雪・・・・・・・・・・・・・春海
 十二句   知覧の空は麗らかなれど・・・・・・・・・・・・うさこ

 名残表
 初句   蜂飼いの少年一家旅立つ日・・・・・・・・・・・・・bird
 二句     父と後妻と異母妹ふたり・・・・・・・・・・・・・浩平
 三句   蛍放つ相続放棄のサインして・・・・・・・・・・・ 花子
 四句     明日は網戸をざっと洗おう・・・・・・・・・・・ふく女
 五句   ハイウェイ飛ばしてルート66・・・・・・・・・・・・はる
 六句     首に巻きたる赤いバンダナ・・・・・・・・・・・弥生
 七句   護憲派とつとに知られし教授なり・・・・・・・・・浩平
 八句     いまは恐ろし不倫の代価・・・・・・・・・・・貴代姫
 九句   携帯に受胎告知のメールあり・・・・・・・・・・・竹生
 十句     谷間に響く教会の鐘・・・・・・・・・・・・・・・・・弥生
 十一句  黄に燃えるゴッホの月は渦を巻き・・・・・・・ふく女
 十二句   ある筈のなき耳が冷たし・・・・・・・・・・・貴代姫
 名残裏
 初句   怨霊と知らずに語る平家琵琶・・・・・・・・・・・春海
 二句    無邪気に笑う幼子一人・・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 三句   水底に沈む定めの村の朝・・・・・・・・・・・・・・小市
 四句    おたまじゃくしは孵ったばかり・・・・・・・・・・弥生
 五句   いのちあるものいつくしめ花の雨・・・・・・・・立立
 挙句    鋤き終えられし御田のうるおい・・・・・・・・・西風


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   2014年1月15日満尾 「さまざまの」の巻



 初表
 発句   さまざまの思い起こせり虫の夜・・・・・・・・・弓月
 脇      大ない過ぎて三めぐりの秋・・・・・・・・・・甘露
 第三    お月見の薄を採りに子等連れて・・・・・・・・山桃
 四句     山の向こうに沈まぬ太陽・・・・・・・・・・・浩平
 五句   蒼々と水湛えたる黒部ダム・・・・・・・・・・貴代姫
 六句     水面をのぞく少年ひとり…・・・・・・・・・・小市
 初裏
 初句   岩躑躅寵愛されて隠れ咲き・・・・・・・・・・貴代姫
 二句     裏も表も見せて散る恋・・・・・・・・・・・・・老虎
 三句   今日もまた辰巳稲荷の響く鈴・・・・・・・・貴代姫
 四句     明日は安井でトンネルくぐる・・・・・・・・東雪
 五句   雑念が落ちて真白になる私・・・・・・・・・・・・はる
 六句     秋水一閃強豪を倒す・・・・・・・・・・・・・・甘露
 七句   月清し萬朝報が暴く闇・・・・・・・・・・・・・・・・bird
 八句     柿剥く指のインクの匂い・・・・・・・・・・・・鶯声
 九句   男手で娘育てる難しさ・・・・・・・・・・・・・・・・山桃
 十句     煤けた顔のフランス人形・・・・・・・・・・・謡拙
 十一句  ほろほろと記憶剥がれる花の庭・・・・・・・ふく女
 十二句   四阿で酌む蕗味噌苦し・・・・・・・・・・・貴代姫
 名残表
 初句   ゆったりとたなびく雲は茜色・・・・・・・・・・・はる
 二句     吉原目指し急ぐ猪牙舟・・・・・・・・・・・・謡拙
 三句   裏かえす今日こそ共寝の首尾の松・・・・ふく女
 四句     雪ひたすらに降りしきりたり・・・・・・・貴代姫
 五句   囲炉裏端遠野語りは果てしなく・・・・・・・・・謡拙
 六句     蒸れてギブスの内の痒さよ・・・・・・・・ふく女
 七句   天性の詐欺師に似合うサングラス・・・・貴代姫
 八句     フレンチブルは首をかしげて・・・・・・・・山桃
 九句   交合の蟋蟀の背照らす月・・・・・・・・・・・・・竹生
 十句     閻魔がゆする秋の風鈴・・・・・・・・・・・・老虎
 十一句  無患子を握る小さき手の逝きて・・・・・・・・・bird
 十二句    押絵羽子板ただぽつねんと・・・・・・・・・謡拙
 名残裏

 初句   出戻りの姉密やかに初鏡・・・・・・・・・透菜の婆
 二句     女は恋の数で磨かれ・・・・・・・・・・・・・・謡拙
 三句   レモンティーと猫と手紙と揺り椅子と・・・・・浩平
 四句     レコード針のノイズの彼方・・・・・・・・・・・はる
 五句   叫ぶ声散るこそ花と四十年・・・・・・・・・・・・東雪
 挙句     大和まほろば武士の意気・・・・・・・・・・うさこ


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2013年採用句



   2013年8月13日満尾 「例年よりも」の巻



初表
発句    例年(つね)よりも日のもと眩しき若葉かな・・・・弓月
脇       植樹の御手に光るそよ風・・・・・・・・・・・・・・・はる
第三    屈託はいつしか雲散霧消して・・・・・・・・・・・・ふく女
四句     舞台の上に演じる私・・・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
五句    オランジュの古代劇場照らす月・・・・・・・・・・・・ばば
六句     右ポケットに焼き栗ふたつ・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ
初裏
初句    そぞろ寒忘れた恋を想い出し・・・・・・・・・・・・・浩平
二句      約束を消すように降る雪・・・・・・・・・・・・・・・はる
三句    来る来ない赤い傘さし悲田院・・・・・・・・・・・・ふく女
四句      痩せた子猫がうなだれて鳴く・・・・・・・・ゆめ比乎
五句    思いきり不条理などを一っ飛び・・・・・・・・・・果鈴糖
六句      アナーキストの華麗な棺・・・・・・・・・・・・・・・・bird
七句    在るものを隈なく照らす望の月・・・・・・・・・・・・うさこ
八句     丸齧りする梨の甘さよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・大寛
九句    秋時雨行き先決めぬ旅に出て・・・・・・・・・・・・・花子
十句     袈裟懸けで行く三味線重し・・・・・・・・・・・・貴代姫
十一句  子別れの唄が胸打つ越の花・・・・・・・・・・・・・・東雪
十二句    神栖む山に光る残雪・・・・・・・・・・・・・・・・みどりこ
名残表
初句    ひそやかに凍りついたる豹の夢・・・・・・・・・・・山桃
二句      シーラカンスが隣で笑う・・・・・・・・・・・・・・・・はる
三句    音もなくマリンスノーが降り積もる・・・・・・・・・・小市
四句      記憶の底に眠る彼の人・・・・・・・・・・・・・・・・ばば
五句    亡き母の日記に挟むラブレター・・・・・・・・・・・・竹生
六句      古今集より恋歌ひきて・・・・・・・・・・・・・・・・・花子
七句    吟声は廓がえりの二本差・・・・・・・・・・・・・・・ふく女
八句      かわら版には黒船来たる・・・・・・・・・・・・・・浩平
九句    江戸っ子は物見遊山の旅姿・・・・・・・・・・・・・・謡拙
十句      神々しくも伊勢の宮前・・・・・・・・・・・・・・・・うさこ
十一句   千年後千年前も月高し・・・・・・・・・・・・・・・・・・西風
十二句     ただ雁がねの残すひと声・・・・・・・・・・・・・うさこ
名残裏
初句    秋しぐれすねて離郷の三度笠・・・・・・・・・・・・・浩平
二句      東か西か賽の目しだい・・・・・・・・・・・・・・ふく女
三句    バーボンの色に昏れゆく地平線・・・・・・・・・ぽぽな
四句      来しかたは皆夢のようなり・・・・・・・・・・・・・はる
五句    これからはわが身ひとつの花の宴・・・・・・・・・大寛
挙句      こころ麗らに付け句三昧・・・・・・・・・・・・・・うさこ



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   2013年3月10日満尾 「イザナギが」の巻



 初表   イザナギが隠るる島や紅葉燃ゆ・・・・・・・・・・・弓月
 発句     雲も旅なるうず潮の秋・・・・・・・・・・・・・・・・うさこ
 第三   切なさは昨夜の月の名残にて・・・・・・・・・・・・・ぐみ
 四句     御所の庭には人影もなし・・・・・・・・・・・・・・西風
 五句   禁足のお達し下る雪化粧・・・・・・・・・・・・・・・・山桃
 六句     銀の食器を磨くま昼間・・・・・・・・・・・・・・・・花子
 初裏
 初句   罪多き者にも神の許しあり・・・・・・・・・・・・・・・西風
 二句     額に触れた柔きくちびる・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ
 三句   夏山の風吹き揺れる恋衣・・・・・・・・・・・・・・ふく女
 四句     清滝川の高き水音・・・・・・・・・・・・・・・・・貴代姫
 五句   紅葉散る京へ三里の歌碑の辺に・・・・・・・・・花子
 六句     誰が住まうか茅葺の庵・・・・・・・・・・・・・・・うさこ
 七句   盲目の俳人が詠む月明かり・・・・・・・・・・・・・はる
 八句     浴びるひかりは虫の音に似て・・・・・・・・・ bird
 九句   秋の野にただぽつねんと髑髏・・・・・・・・・・・・謡拙
 十句     眼窩濡らして降り続く雨・・・・・・・・・・・・みどりこ
 十一句  足元に花散り積もる石仏・・・・・・・・・・・・・・・・竹生
 十二句   来し方はみな春の夢なり・・・・・・・・・・・・貴代姫
 名残表
 初句   ぶらんこに揺れて都会の午前二時・・・・・・・・・ぐみ
 二句     天使のように淡雪が降る・・・・・・・・・・・・・浩平
 三句   待つ人はクレタ島よりメールきて・・・・・・・・・・花子
 四句     ジャストマリッド笑顔の写真・・・・・・・・・・・・ぐみ
 五句   
黒枠に収まりかねる若さかな・・・・・・・・・・・・東雪
 六句     ただ矢車が回る曇天・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ
 七句   ガタゴトと村にはじめてバス通る・・・・・・・・・・山桃
 八句     最終便に見知らぬ男・・・・・・・・・・・・・・みどりこ
 九句   償いをつとめ終わせて後の月・・・・・・・・・・・・甘露
 十句     砧うつ音の止むこともなく・・・・・・・・・・・・・うさこ
 十一句  新藁の匂い満つ屋に子の寝顔・・・・・・・・・・・・bird
 十二句   旅人あわれと詠まれし太子・・・・・・・・・・・・甘露
 名残裏
 初句   日の本のゆるぐことなき心柱・・・・・・・・・・・・・謡拙
 二句     お木曳きの声杜に谺し・・・・・・・・・・・・・・・甘露
 三句   二十年想えば夢の如くなり・・・・・・・・・・・・・・浩平
 四句     湖(うみ)見下ろせる城ぞわが物・・・・・・・・・西風
 五句   人け無き夜艶やかに花の舞う・・・・・・・・・・・・ぐみ
 挙句     明日の連歌へ調いし春・・・・・・・・・・・・・貴代姫


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2007年〜2012年 採用句

2002年〜2006年 採用句