2012年採用句
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2011年採用句
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2010採用句
2010年9月22日満尾 「ものをみな」の巻 |
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初表 発句 ものをみな天地に溶かし梅雨かな・・・・・・・・・・弓月 脇 心預ける冷酒のグラス・・・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 第三 歌麿のぽっぺん鳴らす人ありて・・・・・・・・・・・・夢幻 四句 路地の床几に燐寸の匂い・・・・・・・・・・・・・・・bird 五句 上海の租界にのぼる赤い月・・・・・・・・・・・・・・ふく女 六句 霧笛を後に当て所なき旅・・・・・・・・・・・・・・.甘露 初裏 初句 踊り子の噂もとだえ秋つばめ・・・・・・・・・・・・・・・bird 二句 温泉街のポスター褪せて・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 三句 スクランブルエッグみたいな恋してる・・・・・・・・・はる 四句 あしたのデートちょっと塩味・・・・・・・・・・・・・西風 五句 黒貂の毛皮が似合う未亡人・・・・・・・・・・・・・貴代姫 六句 いかさま勝負夜は更けゆく・・・・・・・・・・・・・・西風 七句 月浴びて船べりたたく波の音・・・・・・・・・・・・・・・bird 八句 秋風通るベネチアの街・・・・・・・・・・・・・・・・・ばば 九句 カクテルにオリーブの実を沈ませて・・・・・・・・ぽぽな 十句 為替ディーラーの深き溜息・・・・・・・・・・・・・・花子 十一句 衣桁には花嫁衣装のひとそろい・・・・・・・・・・ふく女 十二句 鎮座在す老いた三毛猫・・・・・・・・・・・・・・・・・東風 名残表 初句 占いの館に薔薇の香り満ち・・・・・・・・・・・・・・黒歌鳥 二句 立ちはだかるはスペードのエース・・・・・・・つるこ 三句 無防備に青菜を茹でる日曜日・・・・・・・・・・・・・Alice 四句 抱かれた後のだるき春昼・・・・・・・・・・・・・貴代姫 五句 新妻の物干す肩に蝶とまる・・・・・・・・・・・・・・・・竹生 六句 戦地の夫の無事を祈れり・・・・・・・・・・・透菜の婆 七句 ひっそりと地蔵を照らす片身月・・・・・・・・・・・黒歌鳥 八句 木犀の香も仕舞うこの秋・・・・・・・・・・・・・・・うさこ 九句 鈴虫の籠遠ざける二浪の子・・・・・・・・・・・・透菜の婆 十句 雲上の峰見え隠れして・・・・・・・・・・・・・・・・・花心 十一句 さればここに文殊が獅子の踊り出で・・・・・・・・たぬき 十二句 篝火のなか乱序(らんじょ)は響き・・・・・・・黒歌鳥 名残裏 初句 黒々と影を落とせる杉木立・・・・・・・・・・・・・・・・西風 二句 見えぬ宮様つら伏せて待つ・・・・・・・・・・・・・・bird 三句 高坏に饅頭高く盛られたり・・・・・・・・・・・・・・・貴代姫 四句 葺替え決める村の寄り合い・・・・・・・・・・・・・・bird 五句 深山にも季は巡り来て花見時・・・・・・・・・・・・・つるこ 挙句 ややの笑顔に春の煌き・・・・・・・・・・・・・・・・ばば
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2010年5月9日満尾 「春の海」の巻 |
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初表 発句 春の海左右に分かち豊島かな・・・・・・・・・・・・弓月 脇 旅発つ吾子にオリーブの苗・・・・・・・・・・・・・綸子 第三 赤風船白壁の街飛び行きて・・・・・・・・・・・・・・・・歩 四句 あくびの猫に見覚えのあり・・・・・・・・・・・ゆめ比乎 五句 すり切れた口笛吹いて昼の月・・・・・・・・・・・・Alice 六句 キネマ通りに名残の簾・・・・・・・・・・・・・・・・・・bird 初裏 初句 闇買いの新米リュックにバスを待つ・・・・・・・・・竹生 二句 首の黒子が妖し人妻・・・・・・・・・・・・・・・・・貴代姫 三句 誰がために丁か半かで身を崩し・・・・・・・・・・・・はる 四句 堤の向こうにただ日は沈む・・・・・・・・・・・・・ふく女 五句 金色に浮かび出でたる阿弥陀堂・・・・・・・・・・・甘露 六句 マルコポーロの夢の一片・・・・・・・・・・・えどだわら 七句 潮騒の寄せては返す月涼し・・・・・・・・・・・・・ぽぽな 八句 忘れたままの砂の人形・・・・・・・・・・・・・・・・・・bird 九句 現し身の痛み知り初む春の宵・・・・・・・・・・・・・呆呆 十句 笊のぜんまい疑問符ばかり・・・・・・・・・・・・・井蛙 十一句 えいままよキャンティ持って花の宴・・・・・・・・・・綸子 十二句 招待状で折った飛行機・・・・・・・・・・・・・えどだわら 名残表 初句 爪を噛むひとりぽっちの日曜日・・・・・・・・・・・・はる 二句 時無し雨にメトロ止まりて・・・・・・・・・・・・・・呆呆 三句 行きずりの恋は青蔦からむ窓・・・・・・・・・・・貴代姫 四句 南部なまりに何故かほだされ・・・・・・・・・・・呆呆 五句 少年はミシシッピーを流れゆく・・・・・・・・・・・黒歌鳥 六句 高みを目指すかもめが一羽・・・・・・・・・・・・謡拙 七句 無駄の無き姿は時に哀しくて・・・・・・・・・・・・・呆呆 八句 雪見障子に寄り添える母・・・・・・・・・・・・貴代姫 九句 卓袱台の離婚届の判の朱・・・・・・・・・・・・・・たぬき 十句 木の実落つ音夜を深めゆく・・・・・・・・・・・貴代姫 十一句 継ぎ琵琶の意匠をめでて山の月・・・・・・・・・・ふく女 十二句 欣求浄土の思いもまさり・・・・・・・・・・・・・黒歌鳥 名残裏 初句 寄せ返す波に戯れはしゃぐ子ら・・・・・・・・・・・ばば 二句 遠くかすかにウミネコの声・・・・・・・・・・・・うさこ 三句 キャンバスに自画像残し部屋を出で・・・・・・黒歌鳥 四句 陽炎のなか我も揺れたり・・・・・・・・・・・・・ふく女 五句 墨堤の喧騒脇に花見船・・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 挙句 交わす盃なべて麗らか・・・・・・・・・・・・・・・うさこ
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2009年採用句
2009年12月30日満尾 「秋分や」の巻 |
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初表 発句 秋分や我が影しるき坂の道・・・・・・・・・・・・・・・弓月 脇 光琳垣に揺れる紅萩・・・・・・・・・・・・・・・・・・榧子 第三 舞扇ひとさし所望月満ちて・・・・・・・・・・・・・・・ふく女 四句 褒美の杯を受ける細指・・・・・・・・・・・・・・・・・鷹風 五句 くの一の頭巾が隠す里心・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声 六句 はっしと打たれてわれに返りぬ・・・・・・・・・・栴檀 初裏 初句 幾年を大河静かに流れたり・・・・・・・・・・・・・・・はる 二句 ポップコーンの弾けゆく街・・・・・・・・・・・・貴代姫 三句 ぎこちない恋の始まり冬木立・・・・・・・・・・・・ふく女 四句 指切したる指の火照りて・・・・・・・・・・・・・・・ばば 五句 路地の奥駆けて小さき黄八丈・・・・・・・・・・・・・竹生 六句 天使突抜に秋風が吹く・・・・・・・・・・・・・・黒歌鳥 七句 月を背にパントマイムのチャップリン・・・・・・・・井蛙 八句 成就せぬもの総ていとおし・・・・・・・・・・・・・呆呆 九句 香水と薔薇を毎日取り替える・・・・・・・・・・・・貴代姫 十句 1DKに猫と暮らして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うら 十一句 子ら遊ぶ花一匁が響きおり・・・・・・・・・・・・・・黒歌鳥 十二句 飢えし記憶の春の黄昏・・・・・・・・・・・・・・貴代姫 名残表 初句 鎮魂の想いを乗せて雛流す・・・・・・・・・・・・・・呆呆 二句 ただ降り続くやわらかき雨・・・・・・・・・・・・・うさこ 三句 爪掛けの駒下駄と行く蛇の目傘・・・・・・・・・・・春海 四句 白き脛見せつたう飛び石・・・・・・・・・・・・・・甘露 五句 豆満江命の狭間凍て初める・・・・・・・・・・・・・・呆呆 六句 時計の針も砕け散る夜・・・・・・・・・・・・・・・・東風 七句 ダリの砂記憶の粒子埋めてゆく ・・・・・・・・・・・はる 八句 濃き珈琲の立ち籠める部屋・・・・・・・・・・貴代姫 九句 窓一面銀杏黄葉の神懸かり・・・・・・・・・・・・・・呆呆 十句 柿を一切れ闘病の母・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声 十一句 露芝に月の意匠の筺をあけ・・・・・・・・・・・・・・ふく女 十二句 絵筆取り出す巴里の屋根裏・・・・・・・・・・・・竹生 名残裏 初句 聞き慣れぬサイレンよぎり遠ざかる・・・・・・・・ふく女 二句 黒雲ひとつ雨の気配か・・・・・・・・・・・・・・・・西風 三句 手酌にて独り呑んでる縄のれん・・・・・・・・・・・ばば 四句 陸(おか)に上って初めての春・・・・・・・・・・Alice 五句 敷島の大和はなべて花の雲・・・・・・・・・・・・・・謡拙 挙句 生まれ来る子の胎動強く・・・・・・・・・・・・・・綸子
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2009年8月20日満尾 「あれこれと」の巻 |
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初表 発句 あれこれと捨てにし朝の若葉かな・・・・・・・・・・・弓月 脇 老舗の暖簾揺らす薫風・・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 第三 伊太利亜の嫁の立ち居も身について・・・・・・・・・bird 四句 半歩下がりに秋の夕暮れ・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 五句 道ならぬ恋をとがめる利鎌月・・・・・・・・・・・・・・謡拙 六句 君待つ宿に木犀悲し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 初裏 初句 雨はなおあたり静かに降り続く・・・・・・・・・・・・・うさこ 二句 紅絹の前掛け六地蔵尊・・・・・・・・・・・・・・・ふく女 三句 ご開帳祖母は白髪を黒く染め・・・・・・・・・・・・・・東風 四句 凧が飛び交う深川の空・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 五句 庵にもあさり売る声渡りきて・・・・・・・・・・・・透菜の婆 六句 はしご酒した朝の悔恨・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声 七句 窓ごしに有明のぞく通勤車・・・・・・・・・・・・・・・・甘露 八句 組み居し足に草の実ひとつ・・・・・・・・・・・・・井蛙 九句 秋の野の密事をば誰か知る・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 十句 兄の形見を持ちて嫁ぐ日・・・・・・・・・・・・・・・鷹風 十一句 黒髪のはらりほどけて花の舞・・・・・・・・・・・・・・・ばば 十二句 二条邸にて曲水の宴・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女 名残表 初句 帰る雁大空高く影映し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西風 二句 日雇い仕事今朝もあぶれる・・・・・・・・・・・・ふく女 三句 公園の蟻の行列終わりなく・・・・・・・・・・・・・おだまき 四句 ジェラートぽたり溶けゆく盛夏・・・・・・・・・・・ふく女 五句 オードリー・ヘップバーンに憧れて・・・・・・・・・ぽぽな 六句 白き木槿のごとく老いたし・・・・・・・・・・透菜の婆 七句 蝋燭の明かりが揺れる盆提灯・・・・・・・・・・・・・東風 八句 夢はまことか妻の呼ぶ声・・・・・・・・・・・・おだまき 九句 楽焼に残る唇赤々と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東風 十句 受ける両手に散るは一ひら・・・・・・・・・・・・・甘露 十一句 不仕合せしあわせ春の月を浴び・・・・・・・・・貴代姫 十二句 雛菊千切るギブスの少年・・・・・・・・・・・・・・・bird 名残裏 初句 紙芝居すこし離れて耳すまし・・・・・・・・・・・・・ふく女 二句 鼈甲飴が冬日に透けて・・・・・・・・・・・・・・貴代姫 三句 母の編む毛糸の玉の転がれり・・・・・・・・・・・・・ばば 四句 紙切れ一枚兵士の帰還・・・・・・・・・・・・・・・東風 五句 咲く花も散る花もみな命あり・・・・・・・・・・・・・・・西風 挙句 大和は永久に風光る国・・・・・・・・・・・・・・ぽぽな
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2009年3月24日満尾 「帰る家の」の巻 |
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初表 発句 帰る家のあるが悲しや初時雨・・・・・・・・・・・・・・弓月 脇 父が残した赤いマフラー・・・・・・・・・・・・・・・・竹生 第三 満州の落日並ぶ影染めて・・・・・・・・・・・・・・・・・甘露 四句 美しい嘘に心揺れた日・・・・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 五句 月も無き夜に白檀の香り立つ・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 六句 萩のこぼるる声を聞きおり・・・・・・・・・・・・・・・はる 初裏 初句 蹲り来し方惜しむキリギリス・・・・・・・・・・・・・・・・竹生 二句 逃げられて知る過ぎた女房・・・・・・・・・・・・・・謡拙 三句 糊つよき浴衣並びし閨の内・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 四句 睦言とぎれ擦り半鐘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふく女 五句 駆け抜ける娘の素足寒厳し・・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 六句 満願近きお百度参り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 七句 携帯に安否の鳴りて望の月・・・・・・・・・・・・・・・・・bird 八句 薄の穂波風に沸き立つ・・・・・・・・・・・・・・・・・ばば 九句 見上げれば諾とのたもう秋の富士・・・・・・・・・ともろう 十句 故郷を捨てて三日目の朝・・・・・・・・・・・・・・・鶯声 十一句 花万朶つかの間の夢見ていたり・・・・・・・・・・・・ばば 十二句 沈黙の春読みさしたまま・・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 名残表 初句 ぶらんこを庭に造りし子煩悩・・・・・・・・・・・・・貴代姫 二句 三回忌には悋気も失せて・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 三句 ハイヒール濃い目の香水風を切る・・・・・・・・・うさこ 四句 ひとりひとりの影の短さ・・・・・・・・・・・・・・・ともろう 五句 終戦の玉音聞きて立ちつくす・・・・・・・・・・・・・・甘露 六句 確かなものは不条理の中・・・・・・・・・・・・・・・はる 七句 緋に染まるブイヤベースの車海老・・・・・・・・・ふく女 八句 海と空とが青競う町・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西風 九句 戯れに口づけをした夜もあり・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 十句 惑いは言わず細き指文字・・・・・・・・・・・・・・・・bird 十一句 軒先に月をあおいで七つ立ち・・・・・・・・・・・・・ふく女 十二句 目覚め初めしか萩けむる里・・・・・・・・・・・・・春海 名残裏 初句 洗面の手押しポンプに宿る露・・・・・・・・・・・・・・・竹生 二句 母の口ぐせ耳底にあり・・・・・・・・・・・・・・・・ぽぽな 三句 同じこと子に言っているわれがいて・・・・・・・・・・はる 四句 残り香満つる雛納めの夜・・・・・・・・・・・・・・・甘露 五句 嫁ぐ日の満開願う花暦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鷹風 挙句 路地の奥にも春風の吹く・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声
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2008年採用句
2008年10月22日満尾 「杏かな」の巻 |
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初表 発句 あじさいの哀しみ熟らし杏(あんず)かな・・・・・弓月 脇 断然と湧く岬の夏雲・・・・・・・・・・・・・・・・貴代姫 第三 舫(もや)い解く漁師の肌の輝きて・・・・・・・・・ばば 四句 僕の前行く連れの黒猫・・・・・・・・・・・・・・・Alice 五句 珈琲の香りににじむ蒼き月・・・・・・・・・・・・・・・甘露 六句 栗羊羹を一切れ残す・・・・・・・・・・・・・・・ぽぽな 初裏 初句 婆様は去年の秋に身罷りぬ・・・・・・・・・・・・・・竹生 二句 思い定めてルージュ引く朝・・・・・・・・・・・・・甘露 三句 恋衣かこみ取材の記者の意地悪・・・・・・・・・ふく女 四句 握り拳に降り懸かる雪・・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 五句 暮れ六つの鐘もいつしか鳴りやみて・・・・・・・うさこ 六句 心急かれる山の辺の道・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 七句 幼子の指差す先に望の月・・・・・・・・・・・・・・・撫子 八句 妻の初盆送り火消えて・・・・・・・・・・・・・・・竹生 九句 ぽつねんと打ち置かれたる薩摩芋・・・・・・・・・謡拙 十句 芸術なのかそうでないのか・・・・・・・・・・・・ぐみ 十一句 花吹雪路上ライブの肩に降る・・・・・・・・・・・・・ばば 十二句 春の空には赤い風船・・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎 名残表 初句 海辺往く遍路姿の老夫婦・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 二句 セピアの写真の隅の浜木綿・・・・・・・・ゆめ比乎 三句 サイダーの泡の弾ける音かすか・・・・・・・・・ぽぽな 四句 殺意はやさし胸の縞蛇・・・・・・・・・・・・・・たぬき 五句 もどかしく恋の知恵の輪とけぬまま・・・・・・・・・甘露 六句 肩に残しぬ甘噛みのあと・・・・・・・・・・・・・・榧子 七句 澱むごと嘘の重さの朝の床・・・・・・・・・・・・・・・春海 八句 金木犀が咲いたのを知る・・・・・・・・・・・・・・鷹風 九句 白い杖暫しとどめて秋つ風・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎 十句 古き軒端の忘れ風鈴・・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声 十一句 月の夜にあやかしどもも誘われて・・・・・・・・・・呆呆 十二句 ふうわりと酔う甘きどぶろく・・・・・・・・・・・・・ばば 名残裏 初句 幸せの湯気立ち昇る卵焼き・・・・・・・・・・・・・・鷹風 二句 窓を開ければ竹林が見え・・・・・・・・・・・貴代姫 三句 金創に膏薬のばし伏す二日・・・・・・・・・・・・・ふく女 四句 国盗る夢は春のまぼろし・・・・・・・・・・・・貴代姫 五句 我は我足下に置く花の雲・・・・・・・・・・・・透菜の婆 挙句 泊瀬の宮に風光る午後・・・・・・・・・・・・・・・ぐみ
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2008年6月5日満尾 「千木高し」の巻 |
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初表 発句 橿原の光も春に千木高し・・・・・・・・・・・・弓月 脇 受け伝えゆく麗けき御世・・・・・・・・・・うさこ 第三 すみれ摘む園児の歌声聞こえきて・・・・・竹生 四句 無職となりし朝のぬるま湯・・・・・・・・・・ぐみ 五句 身上をつぶすもよしと腹を据え・・・・・・・・・甘露 六句 磐梯山に掛かる繊月・・・・・・・・・・・・・ばば 初裏 初句 蔵のなか林檎の香り閉じこめて・・・・・・・・Alice 二句 骨きしむまで禁断の恋・・・・・・・・・・・未生草 三句 きぬぎぬの別れの尼か脛白く・・・・・・・・・甘露 四句 閨の廂に不如帰鳴く・・・・・・・・・・・・・・竹生 五句 お馴染みの鬱の季節をまた迎え・・・・ゆめ比乎 六句 クリームパスタに胡椒利かせる・・・・・ふく女 七句 大仕事終えてカポネはご満悦・・・・・・・・・謡拙 八句 横顔照らす青き月影・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 九句 鞭打ちの刑を受けたり芒原・・・・・・・・・貴代姫 十句 しわがれ声で通りゃんせの歌・・・ゆめ比乎 十一句 朝日射す靖国参道花揺れて・・・・・・・・貴代姫 十二句 朧に帰る征きし児の影・・・・・・・・・・・・・甘露 名残表 初句 深酒の終わりはいつも同じ夢・・・・・・・・ぽぽな 二句 抱かれぬままの恋の苛立ち・・・・・・・・綸子 三句 口紅でガラスに好きと書いてみる・・・・・貴代姫 四句 鎖骨を見せるサテンのドレス・・・・・・・・呆呆 五句 シャンソンもフロアのしみも物憂き夜・・・・・甘露 六句 薔薇よりも濃き罪の香りよ・・・・・・・・ぽぽな 七句 旅立ちの搭乗券を胸に抱き・・・・・・・・・・・撫子 八句 白い帽子を置いてゆく町・・・・・・・・ゆめ比乎 九句 灯りなき月下ひときわ虫の声・・・・・・・・・ふく女 十句 破れ芭蕉がリズムを刻む・・・・・・・・・・・鶯声 十一句 義仲寺の門開けられて秋の雨・・・・・・貴代姫 十二句 一期は夢と思い知らされ・・・・・・・・・・謡拙 名残裏 初句 秀吉の勘に触れたる雪駄履き・・・・・・・・・東風 二句 水琴窟の音に聞き入る・・・・・・・・・・・・撫子 三句 ふんわりと香り気高き闇の梅・・・・・・・・・・謡拙 四句 迷いて踏むな明日摘む若菜・・・・・・・・一止 五句 花嫁を背にしずしずと春の駒・・・・・・・・・・・ぐみ 挙句 とこしえにあれ爛漫の笑み・・・・・・・・・うさこ
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2007年採用句
2007年12月24日満尾 「最高に」の巻 |
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初表 発句 最高に暑き日の夜に餃子かな・・・・・・・・・・弓月 脇 思い出話は玉音放送・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎 第三 裏山の父植えたまう木の伸びて・・・・・・・・・ばば 四句 おおたかという鳥が棲むなり・・・・・・・・・・竹生 五句 雪の底砦に籠もる老侍・・・・・・・・・・・・・ゆめ比乎 六句 髪黒々と薄化粧して・・・・・・・・・・・・・・・・鶯声 初裏 初句 無事を祈り文したためる須磨の浦・・・・・・・・月兔 二句 男波女波のからみ合う午後・・・・・・・・貴代姫 三句 連弾きに熱き思いが背に伝う・・・・・・・・・・・悟空 四句 ぎこちなささえあなたらしくて・・・・・・・・・・ぐみ 五句 湿り気を含みし風の吹く歩道・・・・・・・・・・・・ばば 六句 丹色の僧衣連なりて行く・・・・・・・・・・・・呆呆 七句 澄み切った瞳に憂い昼の月・・・・・・・・・・貴代姫 八句 檸檬転がす独りのテラス・・・・・・・・・・・・ばば 九句 装飾をすべて捨てよと天の声・・・・・・・・・・・呆呆 十句 淡雪うつす志野のぐい呑み・・・・・・・・・・甘露 十一句 病む友と花まだ固き宴なり・・・・・・・・・・・・・・ぐみ 十二句 雲雀の声に会話途切れて・・・・・・・・・・・謡拙 名残表 初句 青春の始まりの日とは知りもせず・・・・ゆめ比乎 二句 『赤毛のアン』と揺れるつり革・・・・・・・・Alice 三句 好き嫌いやっぱり好きと言い聞かせ・・・・・西風 四句 君の鼓動を聞いている夏・・・・・・・・・・・ぐみ 五句 羊水という不確かな海の中・・・・・・・・・・貴代姫 六句 何悟りしや強情の性・・・・・・・・・・・・・・・呆呆 七句 北斎は歯の無い顎でタコを噛む・・・・・ゆめ比乎 八句 破れ障子を抜ける秋風・・・・・・・・・・・・・謡拙 九句 久々の小判と月の六畳間・・・・・・・・・ゆめ比乎 十句 猫を相手に酌む温め酒・・・・・・・・・・・・・ぐみ 十一句 片膝を立ててオモ二は国を恋う・・・・・・貴代姫 十二句 お守り袋に一つの小石・・・・・・・・ゆめ比乎 名残裏 初句 しあわせはラピスラズリの青い色・・・・・・貴代姫 二句 雲うかぶ空鳴りわたる鐘・・・・・・・・・・・うさこ 三句 長崎の街を見守る天主堂・・・・・・・・・・・・・謡拙 四句 うららかなれば母をぞ念う・・・・・・・・・・・ぐみ 五句 千年を生きし桜の花盛り・・・・・・・・・・・・・・ばば 挙句 来し方春の夢にて候・・・・・・・・・・・・・貴代姫
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2007年7月22日満尾 「鶯や」の巻 |
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初表 発句 鶯や異常気象も彼岸まで・・・・・・・・・・・弓月 脇 乙女の襟に春のスカーフ・・・・・・・・・ばば 第三 うららかな町を海風駆け抜けて・・・・・・・西風 四句 漂泊の念憑きて離れず・・・・・・・・・・呆呆 五句 月影を映してゆれる隅田川・・・・・・・・・・ぐみ 六句 梅若塚に鳴く鉦叩・・・・・・・・・・・・・・謡拙 初裏 初句 昼寝する孫の手元に虫の籠・・・・・・・・・竹生 二句 壁に貼られた大世界地図・・・・・・・・・ばば 三句 マント着て信長なにを想うらん・・・・・・・・謡拙 四句 雪夜に浮かぶ白き横顔・・・・・・・・・・・花子 五句 色褪せし文また見れば断ち切れず・・・・・甘露 六句 こころに任せかきならす琵琶・・・・・・うさこ 七句 方丈の破れ庇に洩るる月・・・・・・・・・・・増花 八句 選集の沙汰この秋もなし・・・・・・・・・・苦楽 九句 野ぶどうを口に含みし崖の上・・・・・・・・・増花 十句 茜に染まるドーバー海峡・・・・・・・・・・ばば 十一句 花の頃横浜出でし船の旅・・・・・・・・・・・・竹生 十二句 昔男の粋な夏帽・・・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 名残表 初句 不整脈気がかりながらもタップ踏む・・・渡る風 二句 フルーツサンドが甘すぎる昼・・・・・・Alice 三句 内深く君の温みの残りいて・・・・・・・・・・ぐみ 四句 打たれるままに後朝の雨・・・・・・・・・呆呆 五句 にごり江を流るうたかた消え結び・・・・・・甘露 六句 不意に鳶のさらうものかげ・・・・・・・・・増花 七句 空高し明日のことはまた明日・・・・・・・・・呆呆 八句 鬼の捨て子に風のゆりかご・・・・・・・・花子 九句 トゲトゲの心に注ぐ青い月・・・・・・・・・・・・まり 十句 ジントニックとジャズの調べと・・・・・ぽぽな 十一句 歌姫はへプバーンのような顔をして・・・・・Alice 十二句 赤い大地に慈雨降り注ぐ・・・・・・・・・・・謡拙 名残裏 初句 遠き日が記憶を語る羊歯の森・・・・・・・・呆呆 二句 方位磁石は静かに震え・・・・・・・・・ぽぽな 三句 期待する親の気持ちの重きこと・・・・・・・ぐみ 四句 シャボン玉など吹いてみる午後・・・ぽぽな 五句 薄紅の花びらひらり舞いおちて・・・・・・うさこ 挙句 のどかな景色ひろがれる国・・・・・・・西風
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2007年2月25日満尾 「天心に」の巻 |
初表 発句 天心にこれみよかしと比叡の月・・・・・・・弓月 脇 酒をぬくめて誰を待つ秋・・・・・・・・ゆめ比乎 第三 猪脅し二つ三つとこだまして・・・・・・・・・・鶯声 四句 小さき悔やみ苛み止まず・・・・・・・・・・・呆呆 五句 力込め紙ヒコーキを飛ばす原・・・・・・・・・ばば 六句 果てなく見える東シナ海・・・・・・・・・・ふ〜 初裏 初句 地図の上沈みし戦艦(ふね)の跡たどる・ひろこ 二句 恋人の名で我を呼ぶ母・・・・・・・・・・・・呆呆 三句 手鏡で紅きべにさす白き顔 ・・・・・・・・・・・ふ〜 四句 セーラー服にはちきれる胸・・・・・・・・・竹生 五句 太陽を掴むがごとくポプラ伸ぶ・・・・・・・・・ばば 六句 軽い眩暈に立ち止まる午後・・・・・・・・・呆呆 七句 身の内に欠けては満ちる月ありて・・・・ぽぽな 八句 蘆火の炎映す川浪・・・・・・・・・・・・・・・花子 九句 秋風に置いてきた子が気にかかり・・・・・月子 十句 昔留めぬ大連の街・・・・・・・・・・・・・・・謡拙 十一句 花吹雪戦の傷の癒えぬまま・・・・・・・・・・・ばば 十二句 ショパンのピアノ聴いている春・・・・・・ぽぽな 名残表 初句 くちづけに君への思い募らせて・・・・・・・うさこ 二句 歳の離れた妻のあるひと・・・・・・・・・・・・ぐみ 三句 ルミナリエ恋う人の背に老いの影・・・・・・甘露 四句 粉雪小雪すべてを隠し・・・・・・・・・・・・・呆呆 五句 蝋梅のかおり導く瞽女の列・・・・・・・・ゆめ比乎 六句 海鳥の声ちちははに似て・・・・・・・・・・・増花 七句 忘れんとせし事もまた我が身なり・・・・・・・孤筑 八句 夕日にたたずむショウペンハウエル・ゆめ比乎 九句 地の底で息を潜ませ居待月・・・・・・・・・・・ぐみ 十句 連歌会所の井戸水澄みし・・・・・・・・・・・増花 十一句 宗匠は秋空ばかりを気にしおり・・・・・・・・・ふ〜 十二句 袱紗に包む殿への賂・・・・・・・・・・・・・・・竹生 名残裏 初句 どことなく身に反り合わぬ色衣・・・・・・・・・・呆呆 二句 大股で行く街の雑踏・・・・・・・・・・・・・・・・ばば 三句 将軍に召されし象の長き旅・・・・・・・・・・・・謡拙 四句 春の長日に霞む富士の嶺・・・・・・・・ゆめ比乎 五句 天駆ける裳裾のごとく花舞いて・・・・・・・・・西風 挙句 諸手かざして微笑む童女・・・・・・・・・・・・花子 |