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かるら連歌会
                               


一九九八年一二月二二日
半歌仙連歌 日溜りの巻
      於 澤乃家


日溜りの山懐に鷺立ちぬ 堂本
春まだ遠き広沢の池 高城
面影もほのかに残る六十路にて 今井
三歩先行く早足の癖 大城
ののしりてふくれてすねた日々もあり 堂本
ほこりかぶりし日記捨てなむ 大城
勘当と言い放ちし父はなく 堂本
志野の花入れ置きし床の間 今井
アイデアもインスピレーションも涸れ果てて 高城
黒髪洗う夜更けの湯船 大城
ガンを病む夫の病院脱け出して 五所
連歌の席の声の大きく 大城
月明かり障子の外の静かさや 今井
熱高き子の小さき手のひら 堂本
もう十時 妻の帰らぬクリスマス 大城
ポインセチアの鮮やかな赤 鶴島
この花を好む友ありフランスに 今井
エッフェル塔に初日のぼれり 五所