多武峯法楽連歌                                 戻る


平成二十年十月二十六日

多武峯法楽連歌

  於 談山神社総社拝殿

初折    発句    紅葉山霧澄みのぼる朝かな(千)

      脇     かしわ手聞こゆ露しげき道(み)   

第三   望月に翁も媼もたたずみて(友)

四句    一刀彫の木目あたらし(清)

五句   床の間を市松模様に金と青(修)

六句    親王さまは桂の水引き(弘)

初句   竹林に光さしこみ夏の風(朝)

二句    触れて弾けたしなやかな肌(俊)

三句   うれしかり千年の恋見つけたり(博)

四句    源氏の君の艶物語(孝)

五句   きぬぎぬの別れを告げて笠の雪(純)

六句    垣根にそえる万両赤し(七)

七句   回天の想いたぎらし月仰ぐ(春)             

八句    談い山に牡鹿鳴くなり(隆)

九句   丁石を数えて行くや秋の暮(伸)

十句    家路を急ぐ幼き姉妹(二)

十一句  しだれ咲く花の明りが笑みかける(雪)          

十二句   山ふところの春ぞねぶたき(貴)

名残折 表 初句   目覚むればみな高みゆく鳥曇り(青)

二句    得意満面安見児得しか(純)

三句   悋気する閨のとばりの闇の中(修)

四句    息ととのえて鈴虫を聞く(朝)

五句   香りよき母の形見の秋袷(貴)

六句    光悦村に菊咲き乱れ(満)

七句   耐えて今一閃はらう古刀(青)

八句    悪代官に娘はやれぬ(七)

九句   見得を切る金比羅歌舞伎吉右衛門(清)

十句    回り舞台に面明かり映ゆ(弘)

十一句  ふと思う我が道照らす冬の月(俊)            

十二句   足下寄せるリストラの波(伸)

初句   見上げればビルの林が生い茂る(俊)

       二句    鎮守の杜のたのしかりけり(み)

三句   祭りまつ太鼓踊りの稽古事(二)

四句    合わぬ調子に犬首かしぐ(博)

五句   我は我花は花なれ春の暮れ(修)             

六句    桜の下の宴果てなし(俊)

句上 

長岡千尋(宮司代・1) 佐藤みつゆき(2) 岡市友利(1) 今枝清實(2) 高城修三(宗匠・3) 松田弘子(2) 後藤朝子(2) 竹本俊平(執筆・4) 石田博(2) 池田孝平(1) 嶋岡純子(世話人・2) 下石坂七重(2) 廣瀬春雄(1) 細尾隆三(1) 後藤伸雄(2) 平井二郎(2) 武藤雪子(1) 城貴代美(2) 奥山満里子(1) 廣青隴(2)

この法楽連歌は、鎌足公の御廟である十三重塔(国重要文化財)の大改修を祝して奉納された連歌で、前回は永正十七年(1520)に一位大納言入道(中御門宣胤)・民部卿入道(冷泉為広)らを連衆として興行されました。この五百年ぶりの名誉ある法楽連歌に、きらら連歌会・さぬき連歌会の連衆が古式ゆかしく狩衣を着用して参加し、鎌足公の御神影に玉串をささげたのち、無事、歌仙を巻き上げました。満尾のあと、廣青隴氏の朗詠があり、人間国宝九代目岩野市兵衛氏作の打曇懐紙に奥山満里子氏が浄書し、神前に奉納しました。

     

            鎌足公御神影

 会席風景(総社拝殿)

                 廣氏による朗詠

 連衆の記念撮影

              落慶なった十三重塔

写真 池田賢二郎氏