平成二十六年十一月二十九日・三十日                     もどる
 
紀貫之・友則公両公千百年忌追善連歌
   於 高岩寺


 初表
 発句    冬霧や紀氏あがむ奥丹波(全光)
 脇       素足に下駄で落葉掃く朝(建夫)
 第三    あまたなる人ひむかしに手を打ちて(修三)
 四句      越すに越されぬ生駒山なり(貴代美)
 五句    大向こう新口村に松島屋(建)
 六句      小屋を出ずれば夏の月かな(佳弘)
 初裏
 初句    涼しさは恋知り初めし海女が眉(貴)
 二句      あなたと歩こう白い砂浜(平)
 三句    千年の恨みを捨てて今日の宵(修)
 四句      嘆きの壁に集う民草(佳)
 五句    君知るや大和心の清き水(平)
 六句      修学院の庭に萩咲く(哲哉)
 七句    月待ちの用意整う緋毛氈(貴)
 八句      格別うまし初手の思慕里(平)
 九句    猪鍋に岩津ねぎ添う山の宿(文男)
 十句      それにつけても気になる選挙(和子)
 十一句   AKB花の命は短くて(貴)
 十二句    卒業式は涙を競う(智子)
 名残表
 初句    子供らの声なき里のさくらかな(文)
 二句      太り気味なる玉大あくび(春雄)
 三句    三味の音とぎれがちにて四畳半(貴)
 四句      稽古半ばに手を重ねおり(清實)
 五句    ゆうらりと近づきたまう歓喜天(由紀江)
 六句      帯解くひまも与えぬ真昼(こん)
 七句    伽羅の香を閉じ込めている夏障子(貴)
 八句      四人姉妹の遺産相続(順子)
 九句    質入れの母の指輪は何としょう(佳)
 十句      珊瑚はグラムで十九万円(貴)
 十一句   宗俊が吐き出す珠を月照らす(建)
 十二句    おはづきいちょう色づき始む(利枝)
 名残裏
 初句    コオロギの透き通る声ひびく寺(るみ子)
 二句      崩れし垣に入相の鐘(文)
 三句    我が道は遍照金剛空の道(春)
 四句      すみわたる青あぶらな畠(祐光)
 五句    恩義ある花の宴をあとにして(智憲)
 挙句      光のどけき鴨内の村(満里子)

句上  佐野全光(客・1) 村上建夫(世話人・3) 高城修三(宗匠・2) 城貴代美(7) 豊澤佳弘(3) 石平(3) 田中哲哉(1) 奥村文男(3) 友永和子(1) 石井智子(1) 廣瀬春雄(2) 今枝清實(1) 小堀由紀江(1) 今野和代(こん・1) 山田順子(1) 上羽利枝(1) 中川るみ子(1) 山本祐光(1) 伴智憲(1) 奥山満里子(執筆・1) 家村豊次 岡部千代 坂井敏彦 茂木幸子 

冬の気配が濃くなる奥丹波の高岩寺(佐野全光住職)において、常瀧寺伴智憲住職・高山寺山本祐光住職、当地の紀氏にゆかりのある細見家、芦田家、宮垣家の皆さまの御列席をいただいて紀貫之・友則両公の追善供養を行なった後、本堂にて29日・30日の二日にわたり、両公千百年忌追善連歌を張行いたしました。連衆は今年山本七平賞を受賞された評論家の石平氏をはじめ四国高松や関西各地から多彩な方々が集まり、29日夜には黒川温泉にて猪鍋をいただくなど、奥丹波と歌聖の追善連歌を堪能いたしました。