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令和二年一二月十日
半歌仙連歌「冬晴れの」の巻
 於 ニ蝶


発句   冬晴れの讃岐に刻む門出かな(壊殻)
脇      目にもうれしき山茶花の色(紹二)
第三   さっそくに友に送ろうラインにて(雅子)
四句     デジタル改革今盛りなり(二郎)
五句   なおされど月見ることは我が命(修三)
六句     かぐや姫また夜露にぬれて(紹二)

初句   どこからか確かに聞こゆ虫の声(映子)
二句     マスクのままで向き合う二人(英毅)
三句   五年ぶり恨みつらみも忘れはて(修三)
四句     新しき恋語り合いたし(朝子)
五句   真青な空どこまでも続きおり(修三)
六句     十人乗りのスーパークルーザー(二郎)
七句   夏の月波につくりし金の道(みつゆき)
八句     ミッション推敲ジェームスボンド(晴之)
九句   浜美恵は知らん振りして立ち去りぬ(清数)
十句     二頭の蝶が追いつ追われつ(孝明)
十一句  関越えて磐木の里花万朶(達代)
挙句     今日も今日とてのどかなりけり(朝子)

句上  豊澤壊殻(客・1) 由佐紹二(2) 井上雅子(1) 平井二郎(2) 高城修三(宗匠・3)  川上映子(1) 上原英毅(1) 後藤朝子(執筆・2) 佐藤みつゆき(1) 中條晴之(1) 河田清数(1) 徳永孝明(1) 多田達代(1)




令和元年十二月十二日
半歌仙連歌「歳末や」の巻
 於 残月亭


発句   歳末やイノベーションに恋焦がれ(平井二郎)
脇      小春日和の消費増税(修三)
第三   品定めジングルベルに誘われて(晴之)
四句    街ゆく人の皆美しき(紹二)
五句   屋島より朧な月も覗きたり(映子)
六句    連絡船が行く春の夜の海(朝子)

初句   ひさびさの船尾のうどん懐かしく(典子)
二句    十八歳の失恋の夏(修三)
三句   あの人の心変わりが切なくて(映子)
四句    ただ沛然と雨の降りたる(修三)
五句   秋の田の穂中に立てる鴇一羽(紹二)
六句    へのへの案山子向かい合いたり(修三)
七句   知らぬげに月は東に日は西に(二郎)
八句    友を訪ねて京都下京(修三)
九句   伊藤若冲お披露目す(朝子)
十句    今日の日永を何にたとえん(修三)
十一句 うれしきは金比羅さんの花吹雪(晴之)
挙句    外つ国人も舞踊りけり(二郎)

句上  平井二郎(客・3) 高城修三(宗匠・6) 中條晴之(亭主・2) 由佐紹二(2) 川上映子(2) 後藤朝子(執筆・2) 中村典子(1) 



平成三十年十二月十七日
半歌仙連歌「よみがえれ」の巻
 於 二蝶


発句   よみがえれ歌を連ねて冬の空(みつゆき)
脇      八咫烏舞う木枯しの中(朝子)
第三   少年がおしくらまんじゅ声上げて(修三)
四句    じっと見ている桜島山(紹二)
五句   準備よし月に輝く特攻機(晴之)
六句    浴衣が似合う我が母いかに(二郎)

初句   目の尻に刻まれしし皺二つ三つ(多香)
二句     十八のとき恋の虜に(修三)
三句   格違い涙に暮れる父の声(みつゆき)
四句     カーストよりも私の思い(朝子)
五句   激しくも芭蕉の葉打つ雨の宵(修三)
六句     夕餉の知らせ寝転びて待つ(多香)
七句   大き月東山よりのっと出て(修三)
八句     松虫こおろぎ不意に鳴きだし(朝子)
九句   気づけとて我の袖にも露しげき(修三)
十句     屋島の里に春の夕暮れ(二郎)
十一句  見あぐれば万朶の花の盛りなり(修三)
挙句     風に任せておぼろなる君(朝子)

句上 佐藤みつゆき(客・2) 後藤朝子(執筆・4) 高城修三(宗匠・6) 由佐紹二(1) 中條晴之(1) 平井二郎(2) 中澤多香(2) 



平成二十九年十二月二十日
半歌仙連歌「藤森の」の巻
 於 高松「結城」


発句   藤森の社の前や師走会(修三)
脇      寒さ忘るる銘酒国重(二郎)
第三   綾菊は我が故郷のの誇りにて(朝子)
四句    舞は祇園に並ぶ者なし(紹二)
五句   恋のごと扇の上に月を乗せ(修三)
六句    秋めぐりきて夜毎うつくし(和代)

初句   君を待つ心を知るや萩の道(紹二)
二句    ああ財田川夏物語(修三)
三句   深き闇いのち燃やして蛍飛ぶ(純子)
四句    六十年前昭和の時代(修三)
五句   だっこちゃん腕にぶら下げフラフープ(紹二)
六句    川原で踊るドドンパ娘(修三)
七句   のっそりと上野の山に月のぼる(晴之)
八句    西郷眉に秋の風ふく(修三)
九句   朝鮮を今日もにらんで仁王立ち(光広)
十句    ソメイヨシノの起源はいずこ(修三)
十一句 そんなこと知らぬとばかり花万朶(久子)
挙句    霞の中に光見つけて(雅子)

句上 高城修三(宗匠・7) 平井二郎(1) 後藤朝子(執筆・1) 由佐紹二(3) 山内和代(1) 松岡純子(1) 中條晴之(世話人・1) 真鍋光広(1) 飛田久子(1) 井上雅子(1) 上村良介 野崎幸三


平成二十九年九月三日
半歌仙連歌「オリーブの」の巻
 於 女木島文化村


発句   オリーブのそよぎに落つる白露かな(修三)
脇      朝焼けの秋女木の別邸(朝子)
第三   仰ぎ見る有明の月母連れて(清数)
四句    肩に涙の金比羅参り(二郎)
五句   猫に似た虎を見たさの大書院(晴之)
六句    市場の裏で絵描き道楽(修三)

初句   今日は晴れモンマルトルにもう二年(朝子)
二句    恨む心はまだ消えぬなり(修三)
三句   一晩を袖ぬらしおり磐之媛(清数)
四句    好色なるは徳ある天皇(修三)
五句   うらやましああうらやましうらやまし(晴之)
六句    ロト宝くじ七億余ドル(朝子)
七句   今宵の月昨夜の月と違いけり(修三)
八句    俄かに騒ぐ秋の虫たち(晴之)
九句   西陣の機の音不意にしずまりて(修三)
十句    在庫の山にうれう春の夜(朝子)
十一句  知らぬげに花爛漫に咲きにけり(二郎)
挙句     玉藻の浦にかすみたなびく(清数)

句上 高城修三(宗匠・6) 後藤朝子(執筆・4) 河田清数(3) 平井二郎(2) 中條晴之(世話人・3) 



平成二十八年十二月二十一日
半歌仙連歌「内海の」の巻
 於 晴松亭


発句   内海の小春日和はさぬきかな(満里子)
脇      松の緑に落つ冬紅葉(紹二)
第三   五つなる孫の泣く声聞こえきて(修三)
四句     トランプ遊びに大人は熱中(紀美子)
五句   アメリカの大統領選様変わり(二郎)
六句     ロッキー山脈月皓皓(友利)

初句   新走り下げてツアーに参加せり(紀美子)
二句     さしつさされつ君を酔わせて(朝子)
三句   我二十歳京都蹴上の恋の宿(修三)
四句     夢中夢中で寝食忘れ(晴之)
五句   三吉は通天閣の真下なり(修三)
六句     汗をぬぐっていざ王手飛車(季詮)
七句   AIも見上げても見よ夏の月(紹二)
八句     日本一だと高松高専(久子)
九句   めでたさは後方にかすむ紫雲山(清数)
十句     米寿の春につどう友垣(映子)
十一句  満開の花の下なる笑い声(隆広)
挙句     今日は今日なり明日は明日なり(達代)

句上 奥山満里子(客・1) 由佐紹二(2) 高城修三(宗匠・3) 木脇紀美子(2) 平井二郎(1) 岡市友利(1) 後藤朝子(執筆・1) 中條晴之(亭主・1) 石田季詮(1) 飛田久子(1) 河田清数(1)  川上英子(1) 山崎隆広(1) 多田達代(1)




平成二十八年八月六日・七日
半世吉連歌「山百合の」の巻
 於 女木島文化村


発句   山百合の咲き誇りたる廃墟かな(修三)
脇      あつしあつしとかざすパラソル(朝子)
第三   バーベキューたこいかかつお笊盛りて(満里子)
四句    炭は備長刃物は堺(俊平)
五句   暖簾出て高麗橋に月のぼる(満里子)
六句    女将のすその薄がゆれて(久子)
七句   秋深く明治の元勲お召しあり(清實)
八句    セピア色した恋の想い出(俊平)

初句   突然の長患いを生き延びる(博)
二句    孫に連れられ金毘羅詣で(清数)
三句   展望台空海も見た瀬戸の海(平)
四句    夕日のことは誰に語らん(修三)
五句   ゼロ戦で出撃前の十七歳(清實)
六句    出せぬ手紙に思いのすべて(平)
七句   凍てる月ただ皓皓と照るばかり(和子)
八句    赤鬼青鬼洞窟の宴(満里子)
九句   頃はよし犬雉猿が飛び込みぬ(俊平)
十句    讃岐と吉備は持ちつ持たれつ(修三)
十一句  愛覚めて死ぬまで続く夫婦仲(平)
十二句   破れかぶれの恋の顛末(修三)
十三句  山家集残しし我は花の下(俊平)
挙句    うたかたの夢春の夕暮れ(晴之)

句上 高城修三(宗匠・4) 後藤朝子(執筆・1) 奥山満里子(3) 飛田久子(1) 竹本俊平(4) 今枝清實(2) 石田博(1) 河田清数(1) 石平(3) 友永和子(1) 中条晴之(世話人・1) 山口聡子 

今回の女木島連歌会は瀬戸内国際芸術祭の行われている犬島に双胴船ヨットで訪問し瀬戸の夏と犬島を堪能し海の上で表の五句を詠んだうえ翌日女木島の鬼の洞窟や芸術祭参加の作品群を鑑賞した後に文化村で半世吉連歌を完成させました。石平氏をはじめ関西から駆け付けた七名にとって瀬戸の夏と食べ物を満喫する素晴らしい連歌会となりました。


平成二十七年十二月十六日
半世吉連歌「讃岐路や」の巻
 於 二蝶

発句   讃岐路や海を渡れば冬の梅(満里子)
脇      春待ちながら招く喜び(孝明)
第三   末娘ボーイフレンド連れてきて(二郎)
四句     秋のしぐれのフォルクスワーゲン(修三)
五句   月待ちぬ燃費の悪さ嘆きつつ(佳弘)
六句     赤ちょうちんが夜寒を照らす(晴之)
七句   九度山の村のはずれの地蔵堂(満里子)
八句     所化が手を引く子守のねえや(佳弘)
裏  
初句   雪の中嫌よ嫌よも好きのうち(修三)
二句     恋の手管の初めなりけり(二郎)
三句   夕顔を扇に乗せて送りたる(佳弘)
四句     源氏国名裏三句なり(修三)
五句   赤松の枯れたるのちも歌の宴(紹二)
六句     昔の恨み水に流して(晴之)
七句   同窓の古稀の祝いの望の月(修三)
八句     菊を浮かべてさしつさされつ(紀美子)
九句   秋晴れにパートナー届け提出す(佳弘)
十句     笑う顔あり顰め面あり(英毅)
十一句  安の字で心が揺らぐ年の暮れ(和子)
十二句   辺野古の海は波静かなり(紀美子)
十三句 本土にていつものの花見いかがせん(修三)
挙句    風光る日は迷い捨つべし(朝子)

句上 奥山満里子(客・2) 徳永孝明(亭主・1) 平井二郎(2) 高城修三(宗匠・5) 豊澤佳弘(4) 中條晴之(世話人・2) 由佐紹二(1) 木脇紀美子(2) 上原英毅(1) 友永和子(1) 後藤朝子(執筆・1) 池田弘子 井上雅子 河田清数 多田達代 松井隆子




平成二十七年八月三十日
半歌仙連歌「夏海や」の巻
 於 女木島「海の家」


発句   夏海や屋島直島小豆島(修三)
脇      秋の隣の行合の空(佳弘)
第三   雲の上今宵望月鬼まちて(満里子)
四句     紅葉の庭でかくれんぼする(久子)
五句   追われつつどんぐり拾う小さき手(佳弘)
六句     安達太良山のリス大慌て(紹二)

初句   女子なる奇怪な声の響きおり(修三)
二句     愛しき人は剣道五段(紹二)
三句   居酒屋で笑い上戸の恋上手(糸枝)
四句     すねて甘えて胸に泣き伏す(晴之)
五句   しんしんと百間町に雪やまず(修三)
六句     山頭火呼ぶ犬の遠吠え(佳弘)
七句   雲水が行くよ背中の夏の月(こん)
八句     たのしみはただ酒ばかりなり(満里子)
九句   きな臭い夢捨てにけりすみれ草(こん)
十句     タカラジェンヌの十七歳の春(和子)
十一句 時は今花の盛りは短くて(修三)
挙句     ひたすら生きよ風のささやき(朝子)

句上  高城修三(宗匠・4) 豊澤佳弘(3) 奥山満里子(2) 飛田久子(1) 由佐紹二(2) 関口糸枝(1) 中條晴之(亭主・1) 今野和代(2) 友永和子(1) 後藤朝子(執筆・1)


平成二十六年十二月十七日
半歌仙連歌「霜踏んで」の巻
  於 結城


発句   霜踏んで観音寺よりもうでけり(睦徳)
脇      冬空に舞える大鷹(佳弘)
第三   日の丸を負いたる翼とびたちて(紹二)
四句     生きて戻れり防人の窓(睦)
五句   瀬戸内の波のまにまに月の影(雅子)
六句     韓を目指して船出する秋(佳)

初句   君知るや袖振る山の女郎花(修三)
二句     裏返して見る恋文字の跡(達代)
三句   居酒屋ののれん降ろして独り酒(紹)
四句     軒打つ雨の涼しかりけり(清数)
五句   師の受賞祝っておりし鮎の宿(久子)
六句     鄙にも及ぶ光革命(佳)
七句   青色の夜にも輝く月明かり(二郎)
八句     すすきの穂にも怯えて歩く(晴之)
九句   芭蕉にもあなめあなめと聞こえきて(司枝)
十句     うそかまことか真か嘘か(修三)
十一句  花の下アベノミクスに浮かれける(英毅)
挙句     明日はままよと春宵に酔い(朝子)

句上  高嶋睦徳(客・2) 豊澤佳弘(3) 由佐紹二(2) 井上雅子(1) 高城修三(宗匠・2) 多田達代(1) 河田清数(1) 飛田久子(1) 平井二郎(1) 中條晴之(世話人・1) 高橋司枝(1) 上原英毅(1) 後藤朝子(執筆・1) 


平成二十六年八月三十一日
半歌仙連歌「瀬戸内の」の巻
  於 女木島文化村海の家


発句   瀬戸内の行く夏惜しむ屋島かな(修三)
脇      鬼の洞から吹く風すずし(佳弘)
第三   頼光の手挟む太刀の鞘鳴りて(修三)
四句    折からの雨激しさ増しぬ(映子)
五句   芋そなえ思い出しおり去年の月(佳弘)
六句    都会の秋はさびしかりけり(紹二)

初句   除染なく故郷出でて早三年(紀美子)
二句    けれど私はあなたと逢えた(朝子)
三句   雪の降る恋の長崎思案橋(修三)
四句    袖も濡れるや唐行の船(佳弘)
五句   国護る秘法を得んと決意秘め(紹二)
六句    杖にまたがるハリーポッター(久子)
七句   夢乗せてスコットランドの月赤し(司枝)
八句    旅の夜長にシングルモルト(博)
九句   面影を映すグラスに虫すだく(達代)
十句    美空ひばりの悲しき歌よ(繁治)
十一句  花筏メロディのせて流れ行き(和子)
挙句    そっと見上げる春の夕暮れ(晴之)

句上 高城修三(宗匠・3) 豊澤佳弘(3) 川上映子(1) 由佐紹二(2) 木脇紀美子(1) 後藤朝子(執筆・1) 飛田久子(1) 石田博(1) 多田達代(1) 杉田繁治(1) 友永和子(1) 中條晴之(世話人・1) 高橋司枝 平井二郎 河田清数


平成二十五年十二月十九日
半歌仙連歌「ふる雪や」の巻
  於 晴松亭


発句   降る雪や浄めて白き遍路道(友利)
脇      洞の中より見る空と海(晴之)
第三   東では知らぬ存ぜぬふりをして(修三)
四句    親切な人から五千両(糸枝)
五句   雲霧が走る甍に昇る月(アンリ)
六句    すすきの蔭に団子泥棒(光広)

初句   紅葉の手何に似たるか手際よし(糸枝)
二句    川の字なれど宵まだ浅き(修三)
三句   ゆるゆると』足からませてピロトーク(朝子)
四句    恋の伊呂波のお軽勘平(友利)
五句   瀬戸内の農村歌舞伎昼日中(修三)
六句    幕間弁当二蝶特製(久子)
七句   雁に月切った張ったの足洗い(紀美子)
八句    務めを終えた秋の夕暮れ(英毅)
九句   はやばやとサンタの衣装でおもてなし(糸枝)
十句    デイサービスにケーキもついて(久子)
十一句 新しき仲間と迎えた花の宴(詠子)
挙句    春の日差し心ほころび(紹二)

句上  岡市友利(客・2) 中條晴之(世話人・1) 高城修三(宗匠・3) 関口糸枝(3) アンリ(1) 真鍋光広(1) 飛田久子(2) 木脇紀美子(1) 上原英毅(1) 大西詠子(1) 由佐紹二(1) 川上映子 後藤朝子(執筆) 多田達代 平井二郎 八十川睦夫 


平成二十五年八月十八日
半歌仙連歌「風の夏」の巻
  於 女木島ビーチアパート


発句   風の夏女木島めざし漕ぎいでな(博)
脇      浜に降りたつビキニの少女(友利)
第三   あのころの細きウェストはどこやらん(映子)
四句     同窓会に行く秋の宵(修三)
五句   二十年ゆっくり戻る月明かり(紹二)
六句     困惑せしは赤きほうずき(修三)

初句   雑踏の市に初めて手を握り(英毅)
二句     二にも三にもあなたが好きよ(博)
三句   四の五のと言わずに恋の道行ぞ(修三)
四句     農村歌舞伎は拍手万雷(友利)
五句   マフラーの色とりどりに席は満つ(紹二)
六句     杯交わす男らの声(友利)
七句   月影はただ荒城を照らすのみ(修三)
八句     会津魂すずむしの鳴く(英毅)
九句   すすきの穂供えて行かん墓参り(映子)
十句     男二人に女が一人(修三)
十一句 今はもう心穏やか花の坂(朝子)
挙句     鬼の洞窟霞の向こう(晴之)

句上 石田博(2) 岡市友利(3) 川上映子(2) 高城修三(宗匠・5) 由佐紹二(2) 上原英毅(2) 後藤朝子(執筆・1) 中條晴之(世話人・1)

酷暑の続く中、瀬戸の心地よい夏風を浴びながら、たのしい海の連歌となりました。



平成二十五年三月二十日
半歌仙連歌「千早ぶる」の巻
  於 高松男木島「円」


発句   千早ぶる神代おもわす春日かな(二郎)
脇      大潮に乗り向かう男木島(朝子)
第三   うららかにドジな二人が残されて(修三)
四句     ワイン片手にドゴール空港(晴之)
五句   大振りなグラスに映る望の月(久子)
六句     薄を活けて宴始まる(雅子)

初句   袖をひき袖ひき合うて席を立つ(友利)
二句     かぎろいの野に忍びあう恋(紀美子)
三句   黒髪のセーラー服に白い息(朝子)
四句     四百走のタイムを計る(晴之)
五句   東京にオリンピックを承知せん(紹三)
六句     尖閣諸島もおれが買い取る(修三)
七句   人の世のみにくさ照らす夏の月(正雄)
八句     七難八苦我に与えよ(友利)
九句   新しくバチカン背負うフランシスコ(久子)
十句     祝福の声世界をめぐる(アンリ)
十一句  大和では花爛漫になりにけり(映子)
挙句     孫の手を取り入学式へ(正治郎)

句上  平井二郎(客・1) 後藤朝子(執筆・2) 高城修三(宗匠・2) 中條晴之(世話人・2) 飛田久子(2) 井上雅子(1) 岡市友利(2) 木脇紀美子(1) 由佐紹三(1) 飛田正雄(1) アンリ(1) 川上映子(1) 百々路正治郎(1) 藤井和子 藤井牧子

春分の日に男木島の豊玉姫神社から真西の大槌島に落ちる夕照を見るという連歌会でしたが、当日は現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2013」開幕の日であり、男木島でも大漁旗を掲げた漁船に歓迎されての入港となりました。大槌島が真正面に見える民宿「円」の座敷にて連歌会がはじまりました。雨模様の天気のため夕照は眺められませんでしたが、無事満尾のあと、豊玉姫神社と加茂神社神社をめぐり島の春を満喫しました。



平成二十四年十二月十九日
真鍋克子氏追善連歌
  於 晴松亭


発句   黄泉からの助っ人頼まんふゆ連歌(光広)
脇      マリア微笑むクリスマスの夜(糸枝)
第三   幼子の三町ドームに歌ひびき(雅子)
四句     あらわれ出でたるアンパンマン(紹二)
五句   時間ですテレビを消して月の宿(久子)
六句     障子開ければこおろぎの声(友利)

初句   君がなき秋の夜長をいかにせん(修三)
二句     一人しのびて胸ときめかす(美千代)
三句   赤ワイン白ワインよりこれが好き(光広)
四句    ムーランルージュでまた夜がふけて(二郎)
五句   くたびれたスパンコールのハイヒール(みどり)
六句    ふちどり黒き手紙を抱いて(英毅)
七句   南極へともに行こうよ月を見に(輝子)
八句    すすき野のなかジローの墓あり(修三)
九句   庵治石の細目造りを奮発し(孝明)
十句    十年ローンの返済計画(みどり)
十一句 日本海太平洋まで花の道(二郎)
挙句    夢のまにまに克子うららか(三香穂)

句上  真鍋光広(客・2) 関口糸枝(1) 井上雅子(1) 由佐紹二(1) 飛田久子(1) 岡市友利(1) 高城修三(宗匠・2) 岡野三千代(1) 平井二郎(2) 栗生みどり(2) 上原英毅(1) 森輝子(1) 徳永孝明(1) 三好三香穂(1) 大西詠子 川上映子 飛田正雄 中條晴之(世話人) 後藤朝子(執筆) 

晴松亭連歌会の中心的な連衆で、昨年急逝された真鍋克子氏を追善する連歌会となりました。脇に詠まれた「マリア」は克子氏のクリスチャンネームです。それぞれの方がそれぞれの想いを秘めながら故人をあつくしのんだ連歌会となりました。


平成二十四年四月十五日
半歌仙「彩雲」の巻
  於 女木島ビーチアパート


発句   花吹雪彩雲の下舞にけり(友利)
脇      春のうららの瀬戸の内海(修三)
第三   島野点明日卒業の友かこみ(みどり)
四句     第二ボタンをそっと手渡し(朝子)
五句   琴問いの橋によりそい月今宵(英毅)
六句     秋のスマホで再会誓う(紹二)

初句   食パンが焦げたと四男駆け寄りて(みどり)
二句     ソファーの猫は大あくび(英毅)
三句   美しき母の思い出よみがえる(孝明)
四句     阿倍野の里に消える笛の笛(紹二)
五句   夏椿ぽったりと白ひそと白(佳代子)
六句     敦盛の墓香華流るる(友利)
七句   月天心源氏と平家照らしけり(正雄)
八句     怨念の秋いまは悲しき(正治郎)
九句   底なしの世界恐慌落ち葉舞う(晴之)
十句     どこ吹く風のマダムのランチ(詠子)
十一句 満開もどこかまばらの姥桜(久子)
挙句     むかししのびつ春をうたわん(雅子)

句上 
岡市友利(客・2) 高城修三(宗匠・1) 栗生みどり(2) 後藤朝子(執筆・1) 上原英毅(2) 由佐紹二(2) 徳永孝明(1) 岡田佳代子(1) 飛田正雄(1) 百々路正治郎(1) 中條晴之(1) 大西詠子(1) 飛田久子(1) 井上雅子(亭主・1) 阿部公二郎 阿部明子 平井二郎 三田慶子 

春の瀬戸内海を目の当たりにした女木島の井上別邸ビーチアパートにて興行しました。女木島に渡る間、空にあざやかな彩雲が現れており、岡市先生が発句に詠みこみました。初めての方もおられましたが、春の海あり、酒あり、珍味あり、和気藹々たのしい連歌会になりました。



平成二十三年十二月二十一日
半歌仙「冬なれや」の巻
 於 泛花亭


発句   冬なれや松のみどりも泛花亭(修三)
脇      玻璃ごしに見ゆ水脈を曳く鴨(英毅)
第三   旅立ちの男の言葉は冷たくて(達代)
四句     坂口安吾髪をかきあぐ(朝子)
五句   堕落せよ呟いて観る望の月(修三)
六句    まだまだ甘いすだく鈴虫(正治郎)

初句   長き夜に縫い釘みがく船大工(みどり)
二句    二人で拾うた恋忘れ貝(友利)
三句   ためらいてでもやっぱりと君の言う(朝子)
四句    はずした指輪はエメラルド色(みどり)
五句   だれもいぬ高層ビルの夏の朝(雅子)
六句    スカイツリーは今日も晴れやか(伸雄)
七句   ひそやかに深川照らす昼の月(修三)
八句    破れ芭蕉にも郷愁のあり(友利)
九句   老い人は三里の灸を脚にすえ(達代)
十句    明日を夢見てマラソン走る(二郎)
十一句 花吹雪声援うけてゴールイン(映子)
挙句    讃岐山脈春にかすみて(慶子)

句上 高城修三(宗匠・3) 上原英毅(1) 2多田達代(2) 後藤朝子(執筆・2) 百々路正治郎(1) 栗生みどり() 井上雅子(1) 後藤 伸雄(1) 岡市友利(2) 平井二郎(1) 川上映子(1) 三田慶子(1) 大西詠子 水本隆信 中條晴之(世話人)

華麗な松の緑で名高い栗林公園内の茶室泛花亭にて半歌仙を巻きました。満尾のあとは同所にて晴松亭連歌会の忘年会を兼ねた楽しい宴となりました。

平成二十二年八月十九日
半歌仙連歌「風涼し」の巻
   於 豊島片山邸


発句  風涼し一直線に船のみお(由紀江)

脇     島の間に間に立つ峰の雲(順子)

第三  たらちねの母を伴ない旅に出て(修三)

四句    雪降る道の楢山節考(万貴子)

五句  月見して飲んで騒いだ日もありし(清實)

六句    森繁久弥と秋の思い出(修三)


初句  鰯雲知床半島人いきれ(英毅)

二句    ひそかに探る柔らかき指(克子)

三句  相傘の闇によりそう蛍の夜(英毅)

四句    しらぬ顔して芥川まで(由紀江)

五句  姫君のおまるを運ぶ女の童(清實)

六句    渡り廊下に萩のこぼれて(修三)

七句  ひっそりと乱菊模様の肩に月(克子)

八句    片袖脱いでなめちゃいかんぜよ(英毅)

九句  ありし日の夏目雅子の決め台詞(万貴子)

十句    ひとみの奥に瀬戸の青海(みどり)

十一句 鬼の島ピンクに染まる花の坂(晴之)

挙句    春ひとり来てこころやすらか(朝子)

句上 小堀由紀江(2) 山田順子(1) 高城修三(宗匠・3) 岡本万貴子(2) 今枝清實(2) 上原英毅(3) 真鍋克子(2) 栗生みどり(世話人・1) 中條晴之(1) 後藤朝子(執筆・1) 森輝子

今回の晴松亭連歌会は、瀬戸内海のオリーブの島「豊島」で、江戸時代から明治にかけて栄えた材木商片山氏の邸宅をお借りして興行しました。みごとなソテツの庭をながめながら、かつて高松藩主をお迎えしたという書院にての連歌会となりました。


平成二十二年四月二十一日満尾
半歌仙連歌「ビーグルが」の巻
   於 晴松亭


発句  ビーグルが香り鳴きして谷深し(秀人)

脇     雪の降る中我はただ耳(朝子)

第三  空中に止まりしリフトまた揺れる(晴之)

四句    足下にあじさい四国三郎(英毅)

五句  弘法の丹を求めて幾星霜(二郎)

六句    月光さんさん骨を照らして(良介)


初句  秋祭り鉦も太鼓もはなやいで(克子)

二句    背中が似ている初恋の人(輝子)

三句  あざやかな唐獅子牡丹にキスをして(克子)

四句    冷たき川面の友禅流し(雅子)

五句  長の子は父の髭づら引継ぎぬ(達代)

六句    木犀薫る婚礼の庭(輝子)

七句  月取れと幼き声に座が笑みて(雅子)

八句    もらって来たる籠の鈴虫(輝子)

九句  皇帝の坐りし椅子の背の後ろ(みどり)

十句    水波雲龍細工のかぎり(朝子)

十一句 花吹雪払いつめでる煎茶棚(みどり)

挙句    うぐいす鳴いて熊野の社(みつゆき)

句上  大倉秀人(1) 後藤朝子(執筆・2) 中條晴之(1) 上原英毅(1) 平井二郎(1) 上村良介(1) 真鍋克子(2) 森輝子(3) 井上雅子(2) 多田達代(1) 栗生みどり(世話人・2) 佐藤みつゆき(1) 高城修三(宗匠)


平成二十二年三月十七日
半歌仙連歌「春浅き」の巻
   於 玉藻城内披雲閣


発句  春浅き披雲閣にて連歌かな(二郎)

脇     天主跡より聞ゆる初音(友利)

第三  桜追い親しき友を訪ね来て(修三)

四句    越の誉を二くち三くち(孝明)

五句  月光の湯煙照らす露天風呂(晴之)

六句    どんぐり落ちてきりぎりす止む(克子)


初句  初めてのテントで泊まる秋合宿(みどり)

二句    私のことを夢で見てよね(克子)

三句  しとねにて幼き妻のつぶやけり(修三)

四句    その唇の桜桃に似る(克子)

五句  忘れじな津軽平野の夏の朝(修三)

六句    走り去り行くボンネットバス(友利)

七句  乗り遅れしゃがんで見ている望の月(みどり)

八句    長い睫毛に萩のこぼれて(克子)

九句  撮影の合間に食らうふかし芋(みどり)

十句    そなたはもしや椿三十郎(修三)

十一句 風なくて鴨の河原の花吹雪(友利)

挙句    霞の向こうの比叡山系(輝子)

句上  平井二郎(1) 岡市友利(3) 高城修三(宗匠・4) 徳永孝明(1) 中條晴之(1) 真鍋克子(4) 栗生みどり(世話人・2) 森輝子(1) 後藤朝子(執筆) アンリ  多田達代


平成二十一年十二月十六日
半歌仙連歌「病院へ」の巻
   於 晴松亭


発句  病院へ母の手を引く師走かな(孝明)

脇     クリスマスツリー赤青緑(克子)

第三  上海の夜空に聖歌流れ来て(みどり)

四句    今日は明日の昨日ならずや(久子)

五句  金の靴社交ダンスにトライする(隆子)

六句    時計の針を見るおぼろ月(達代)


初句  春風の駅の待合混み合って(輝子)

二句    黄砂にかすむ鈴鹿山脈(修三)

三句  F1の轟音の中キスをする(克子)

四句    頭の隅に夫の横顔(輝子)

五句  どうするの略奪愛ねと幸さん(修三)

六句    どうせこの世は金の力よ(正雄)

七句  皓々とウォール街にも望の月(久子)

八句    ビルのあわいに秋風の吹く(輝子)

九句  焼き芋の親父の声がなつかしい(克子)

十句    主を亡くしたリヤカーの錆(みどり)

十一句 子ら遊び花吹雪舞う裏通り(朝子)

挙句    酒瓶持って春の夕暮(みつゆき)

句上
徳永孝明(1) 真鍋克子(3) 栗生みどり(世話人・2) 飛田久子(2) 松井隆子(1) 多田達代(1) 森輝子(3) 高城修三(宗匠・2) 飛田正雄(1) 後藤朝子(執筆・1) 佐藤みつゆき(1)

今年の納めとなる「病院へ」の巻を巻き上げたあと、晴松亭で「二蝶」特性の鍋にて忘年会を兼ねた竟宴となりました。

平成二十一年八月十九日
半歌仙連歌「女木島の」の巻
   於 徳永邸


発句   女木島の鬼も昼寝の会所かな(友利)

脇      海風をきらきら涼しい木の香(克子)

第三   昭和三十年思い出すこと多々ありて(修三)

四句     いつしか消えし友のいた街(良介)

五句   満月を肴にしたり独り酒(みつゆき)

六句     萩の白露恋人の影(克子)


初句   残り香を掻き消していく秋の風(朝子)

二句     ふるさとの山振り返りつつ(友利)

三句   啄木の背に容赦なく雪の舞う(英毅)

四句     釧路の駅のおぼつかなさよ(正雄)

五句   野良犬がクズ箱あさる秋の暮れ(輝子)

六句     時雨の中にガス灯ともる(みどり)

七句   一人行く花見小路は月無き夜(久子)

八句     ひらりひらりとふらりふらりと(良介)

九句   目印はひときわ目立つ向かい蝶(里美)

十句     鯛に鰆に山椒の芽(久子)

十一句  初孫の祝いにそえて花盛り(孝明)

挙句     翁媼が静かに笑う(克子)

句上 岡市友利(客・2) 真鍋克子(3) 高城修三(宗匠・1) 上村良介(2) 佐藤みつゆき(1) 後藤     朝子(執筆・1) 上原英毅(1) 飛田正雄(1) 森輝子(1) 栗生みどり(世話人・1) 飛田久子(    2) 貞廣里美(1) 徳永孝明(1) 小比賀栄作 片山明子 平井二郎 松井隆子

玉藻の浦に浮かぶ屋島を間近にながめる女木島(通称鬼ヶ島)の徳永邸をお借りしての楽しい連歌会となりました。書院造のもとになった中世の会所造を想わせるような素晴らしい部屋で、大津絵四代目高橋松山氏の天神画像をかざっての連歌会でした。

  

平成二十一年四月十五日
半歌仙連歌「茶席蔀戸」の巻
   於 晴松亭


発句   行く春や茶席蔀戸開け放つ(英毅)

脇      夏待ちかねて鳴くほととぎす(修三)

第三   赤き色敷き詰めたるは誰がために(朝子)

四句     ドタキャンされた日中会談(みどり)

五句   長城を悲しと照らす望の月(修三)

六句     いとさわがしきゴビの虫たち(正雄)


初句   ラリーカー砂をけたてて走りぬけ(晴之)

二句     恋する人は大和なでしこ(正雄)

三句   七変化相手かまわず言い寄りて(晴之)

四句     五分前なら付いて行ったよ(みどり)

五句   果てもなく夏の波寄す由比ヶ浜(修三)

六句     サザンのメロディ烏帽子岩さく(明子)

七句   月のかさ広ごりて空覆いたり(三香穂)

八句     大阪城に桐の葉の散る(修三)

九句   散れば散れされど我らは十勇士(正雄)

十句     NHKも明日につづく(みどり)

十一句  昨日今日花前線を追いかけて(修三)

挙句     吉野の山の満開の下(朝子)

句上

上原英毅(1) 高城修三(宗匠・5) 後藤朝子(執筆・2) 栗生みどり(世話人・3) 飛田正雄(3) 中條晴之(2) 川田明子(1) 三好三香穂(1) 多田達代 飛田久子 長友惠子 平井二郎 森輝子


平成二十年十二月十七日
半歌仙連歌「行き違い」の巻
   於 度々


発句   たびたびの行き違いあり師走かな(修三)

脇      お歳暮かかえ高層マンション(久子)

第三   ハイウェイの向こうの島に陽は落ちて(みどり)

四句     塩飽水軍夢のまた夢(修三)

五句   本陣の幟の先に昼の月(三香穂)

六句     篤姫さまの愁思は深し(友利)


初句   どんぐりのひしと屋根打つ音一つ(修三)

二句     君帰る日にち数える(みどり)

三句   誰がためにセーター編むや北の街(友利)

四句     オリーブグリーンに恋織り交ぜて(朝子)

五句   カップルで声援送るガイナーズ(三香穂)

六句     首位で迎えたうれしい秋よ(みゆき)

七句   乾杯のグラスに映る望の月(輝子)

八句     明日の朝には旅立つ友と(みどり)

九句   名残おし皆の笑顔に涙落つ(みゆき)

十句     光輝く卒業の春(晴之)

十一句 花が散る季節にぼくのサクラサク(秀孝)

挙句     かすみの彼方にエールフランス(輝子)

句上
高城修三(宗匠・3) 飛田久子(1) 栗生みどり(世話人・3) 三好三香穂(2) 岡市友利(2) 後藤朝子(1) 森輝子(2) 土方みゆき(執筆・2) 中條晴之(1) 真部秀孝(1)

今回の連歌会は晴松亭連歌会の執筆ならびに事務局として活躍して下さった土方みゆきさんの送別会と忘年会をかねて行なわれました。裏八句・九句にその思いが詠みこまれました。土方さんはご主人の転勤のため大分県の方に行かれますが、また機会があれば連歌会にお越しくださるとのこと、楽しみにしております。 


平成二十年八月二十日

半歌仙連歌「屋島かな」の巻

  於 春日川河畔「カレントスタイル」


発句   さわやかな風まなかいの屋島かな(英毅)

脇      春日川にも秋の水音(みつゆき)

第三   カヤックの舳先を月の照らしいて(みどり)

四句     銀のメダルをじっとみつめる(みつゆき)

五句   今日もまたあくびしている黒き猫(修三)

六句     株価低迷景気後退(克子)


初句   憎らしいサブプライムの明け雄松(二郎)

二句     国際手配の君追いかけて(みどり)

三句   衛星に二人の逢瀬見破られ(英毅)

四句     金正日は浮かぬ夏なり(修三)

五句   パリモード一度くらいは着てみたい(克子)

六句     エッフェル塔の輝ける夜(修三)

七句   侍のそぞろ歩きや街無月(久子)

八句     乙女がさしだす桔梗一輪(修三)

九句   逃れ行く義経主従秋の暮れ(二郎)

十句     春の吉野を思いこそすれ(修三)

十一句  満開の花だく山のうららなり(久子)

挙句     夢もうつつもまた蝶の夢(みどり)

句上
高城修三(宗匠・5) 栗生みどり(執筆・3) 上原英毅(2) 佐藤みつゆき(2) 真鍋克子(2) 平井二郎(2) 飛田久子(2) 飛田正雄 森輝子

屋島を間近に望む春日川河畔のテラスにての連歌会となりました。現代の世相を織り込み、将軍様の恋から幕末のパリかと思えば義経記の世界へと楽しい一巻となりました。  


平成二十年四月十六日

半歌仙連歌「山つつじ」の巻

  於 晴松亭


発句   山つつじ鉄橋越しのながめかな(みつゆき)

脇      背伸びしている新入生徒(朝子)

第三   美しき母の代わりは誰やらん(修三)

四句     寒し寒しと細き白足袋(正雄)

五句   月の降る渡り廊下をひたひたと(みどり)

六句     服部半蔵ただ今参上(みゆき)


初句   ありがたや命からがら浜松へ(英毅)

二句     酒に浮かれて踊る姫君(正雄)

三句   汝は知るや千々に乱れる胸の内(三香穂)

四句     竜宮城から離れられない(みどり)

五句   鯛ひらめ豊玉姫の美しさ(二郎)

六句     ちょっと立ち読み本屋のすみで(みゆき)

七句   振り向けばフランス窓に望の月(修三)

八句     団子もススキもそえてみようか(みつゆき)

九句   コオロギのすがしき声に誘われて(修三)

十句     アルゼンチンへ荷造りをする(みどり)

十一句 花嫁はまだ十八の乙女なり(修三)

挙句     永遠のしあわせ祈りてやまぬ(英毅)

句上
佐藤みつゆき(客・2) 後藤朝子(1) 高城修三(宗匠・4) 飛田正雄(2) 栗生みどり(世話人・3) 土方みゆき(執筆・2) 平井二郎(1) 上原英毅(2) 三好三香穂(1)  石見ナオミ 多田達代 中條晴之 飛田久子 松尾由美 三木ゆり 森輝子 

 


平成十九年十二月二十日

半歌仙連歌「星三つ」の巻

  於 晴松亭


発句   凍てついた宙(そら)に流れる星三つ(晴之)

脇      雪かげの湯に父母と我あり(みどり)

第三  明日のこと昔のことも夢にして(修三)

四句    この世の春を謳歌する蝶(みゆき)

五句  知らぬ顔おぼろにけむる夕の月(修三)

六句    遍路撞く鐘五剣にひびく(英毅)


初句  朝やけの入江にカフェで君と居る(みどり)

二句    産毛が光る頬に手をそえ(克子)

三句  永久(とわ)の愛誓う証しの錠をかけ(英毅)

四句    イスタンブールの紺碧の空(修三)

五句  初めてのクルージングはエーゲ海(みゆき)

六句    ぶどうの房もたわわに実り(みどり)

七句  幼子が見つけて示す白い月(朝子)

八句    うさぎの杵をみんなではやす(二郎)

九句  にぎやかな餅つきの音暮の街(みゆき)

十句    飲酒検問強化週間(みどり)

十一句 うちそろい犬も浮かれる花見酒(輝子)

挙句    春の山々鶯の声(なおみ)

句上

中條晴之(客・1) 栗生みどり(世話人・4) 高城修三(宗匠・3) 土方みゆき(執筆・3) 上原英毅  (2) 真鍋克子(1) 後藤朝子(1) 平井二郎(1) 森輝子(1) 石見なおみ(1)  三木ゆり 圓山泰久 多田智幸

 

 

平成十九年七月十八日

半歌仙連歌「夏祭り」の巻  

  於 晴松亭


発句  夏祭り帯あげおろせと泣く子かな(友利)

脇     額に汗する母初々し(克子)

第三  いただいた釣りし魚を開きいて(タカヱ)

四句   ネイルアートの海あふれくる(達代)

五句  赤い実を指で摘んだフォトグラフ(雅子)

六句   撮られてなるか心の闇を(克子)

初句  年下の彼を屋島に誘い来て(修三)

二句    はるかに探すエンジェルロード(友利)

三句  疾走するランボルギーニ恋の風(克子)

四句    百万本のバラまきりらし(雅子)

五句  年越しのほろ酔いコンサート終りけり(修三)

六句    明日の今はベトナムの宿(みどり)

七句  晩餐は洋上ホテル月すずし(英毅)

八句    子らが贈った世界一周(孝平)

九句  あと少し長生きしたくなりました(みどり)

十句    茶漬けのうまい春の日の朝(達代)

十一句 花衣今日はどの柄着ようかな(英毅)

挙句    晴松亭にひかりうららか(友利)


句上 

岡市友利(客・2) 真鍋克子(3) 多田達代(2) 井上雅子(2) 高城修三(宗匠・2) 栗生みどり(世話人・2) 上原英毅(2) 詫間タカヱ(1) 石見なおみ(1) 池田孝平(1) 多田智幸 中條晴之(亭主) 土方みゆき(執筆) 平井琢三 松岡久仁子 三木ゆり 八木美知枝 後藤朝子 平井二郎