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平成二十年六月八日
半歌仙連歌「御生詣」の巻
  於 下鴨泉川亭


発句  対の上御生詣の縄手かな(直人)

脇    緑深まる双葉の葵(貞人)

第三  外つ国の大統領戦長引いて(登志子)

四句   黒龍昇るガラスの天井(絢子)

五句  月のなき闇夜を照らす青火炎(安彦)

六句   すすきのもとのストーカー男(雅晴)


初句  九十九のもみぢ葉かぞえ夢の恋(真理子)

二句   にくきいとしき姿見の井よ(三香穂)

三句  後朝に真白き雪の降りしきる(雪子)

四句   あわだつ言葉とめどもなくて(真理子)

五句  うたたなる思いを歌に託すらん(修三)

六句   松山の瀬戸こぎわたる僧(二郎)

七句  鳴き砂を踏みしめ歩む月の夜(安彦)

八句   どこに埋めたか秋のおもい出(博)

九句  丹波路に榧の実探した二十八(修三)

十句   道行く人は皆年老いて(俊平)

十一句 銀の糸もつれぬ果ての花吹雪(真理子)

挙句   末広がりの美しき春(満里子)

句上

新木直人(客・1) 藤本真理子(3) 尾崎安彦(2) 高城修三(宗匠・2) 奥田貞人(1) 高木登志子(1) 中井絢子(1) 榊原雅晴(1) 三好三香穂(1) 武藤雪子(世話人・1) 平井二郎(1) 石田博(1) 竹本俊平(1) 奥山満里子(執筆・1) 安部登美子 池田孝平 市木みさ子 今枝清實 角谷梓 栗田冨貴子 後藤朝子 佐藤みつゆき 杉田繁治 高野秀夫 土方みゆき 廣青隴(吟声) 府川浩 細尾隆三 松田弘子 宮田豊子 渡部洋子 嶋岡純子(世話人)

川端康成が「古都」を執筆した書斎や「古都」冒頭に描かれた楓が残る下鴨泉川亭にて、ここで幼少期に遊んだ思い出がおありという下鴨神社の新木宮司を客にお迎えし、東京のむらさき連歌会、香川のさぬき連歌会からも多数の参加を得てのにぎにぎしい興行となりました。建築家山本良介氏によって斬新な改装をほどこされた泉川亭や庭園を堪能しながらの連歌となりました。今回は匂いの花を取り入れ、また多忙の中を急遽駆けつけてくださった廣青隴氏に吟声をいただきました。なお、発句は今年千年紀を迎える「源氏物語」藤裏葉の一節、対の上(紫の上)が源氏とともに御生詣(みあれもうで)をしたことを踏まえています。縄手は糺の森の中にあった曲がりくねった細い参道(烏縄手・からすなわて)を指しています。かつて泉川亭のあたりも、そうした烏縄手が通じていました。

      泉川亭会席風景

 

                        

      廣氏吟声


泉川亭 「古都」の楓、その向こうが会席

        泉川亭入口  (写真 高野秀雄氏)