染田天神社奉納連歌           戻る


 令和元年十月十四日
 第七回染田天神社奉納連歌「いにしえに」の巻
   於 染田連歌堂

 初表
 発句   いにしえに薄手まねく染田かな(元壬)
 脇      東山内国人の秋(清實)
 第三   月仰ぐ北か南か決めかねて(修三)
 四句    裏街道に馬のいななき(貴代美)
 五句   軒先に二束三文かかげたり(山田順子)
 六句    天水桶が映す青空(哲哉)
 初裏
 初句   背伸びして童がのぞく真昼時(和子)
 二句    姉さまの閨あやし物音(飛田久子)
 三句   キッチンで妬む心を切り刻み(弘子)
 四句    何を言おうと堺包丁(俊平)
 五句   いざ研がん身は野ざらしの旅をして(青隴)
 六句    道なき道で百足に刺され(久仁子)
 七句   薬売り涙こらえて夏の月(るみ子)
 八句    闇の中よりほととぎす鳴く(隆彦)
 九句   いじめられ疎まれて後ひばり山(與四朗)
 十句    春陽の沈む彼方に阿弥陀(康洋)
 十一句 花吹雪あふれんばかり命かな(正重)
 十二句  蝶々二匹とんでいくなり(森岡久子)
 名残表
 初句   渦潮の鳴門海峡前にして(一彦)
 二句    バンダナを巻き自転車野郎(貴代美)
 三句   スマホ手にSNSで恋メール(元壬)
 四句    すぐに逢いたいいつものとこで(清實)
 五句   寄する波稲村ガ崎富士を見て(元壬)
 六句    静御前は泪にくれる(修三)
 七句   雪はただ無言のままに降りしきり(貴代美)
 八句    竹割るる音里にひびきて(隆彦)
 九句   じじばばが孫の子守をする夕べ(修三)
 十句    濡縁で跳ぶえんまこおろぎ(貴代美)
 十一句 眠たげに雲のあわいの昼の月(るみ子)
 十二句  石榴は赤き口を開きて(貴代美)
 名残裏
 初句   これ食えと釈迦に諭され鬼子母神(哲哉)
 二句    三井寺の夏千団子祭(修三)
 三句   悲しみは見世物小屋のにぎわいて(和子)
 四句    昭和も母もおぼろなるかな(貴代美)
 五句   令和まつ京の都の花語り(修三)
 挙句    ものみな全てうららかなりて(順子)

句上 堀井元壬(客・3) 今枝清實(世話人・2) 高城修三(宗匠・5) 城貴代美(6) 山田順子(執筆・2) 田中哲哉(2) 友永和子(2) 飛田久子(1) 松田弘子(1) 竹本俊平(1) 廣青隴(奉納朗詠・1) 廣久仁子(1) 中川るみ子(2) 吉岡隆彦(世話人・2) 多田與四朗(1) 堀切康洋(1) 森岡正重(1) 森岡久子(1) 上田一彦(1) 

台風19号の来襲のため予定を一日延期しましたが奉納連歌は無事満尾することができました。今回は急な変更のため廣青隴氏による奉納朗詠のみが行われました。



 平成三十年十月十四日
 第六回染田天神社奉納連歌「新米を」の巻
    於 染田連歌堂

 初表
 発句   豊作や祝いの宴多田の城(省次)
 脇      諸人に告る秋の千句会(清實)
 第三   有明の月仰ぎつつ関越えて(修三)
 四句     旅の衣は鈴懸兜巾(貴代美)
 五句   親王は王政復古内に秘め(哲也)
 六句    薩摩長州腹さぐりあう(建夫)
 初裏   
 初句   薬湯に玉を隠して大笑い(保)
 二句    深山かなたに日の沈みゆく(和子)
 三句   老いらくの恋の炎が燃え盛る(幸雄)
 四句    水仙の香に身もだえする僧(純子)
 五句   映りたる己が面にみとれおり(順子)
 六句    ながめせしまに世をふりにける(哲哉)
 七句   煙立つ真葛が原に昼の月(利枝)
 八句    何処めざすや雁鳴きわたる(由美子)
 九句   我がおる地終の棲家と定めたり(幸一)
 十句    山笑う里心地よきかな(正重)
 十一句  なかなかに花の奥こそ悲しけれ(康洋)
 十二句   春雨の中供養塔あり(隆彦)
 名残面
 初句   竹林にひとりの女性佇みて(るみ子)
 二句    たちきれぬ恋ひぐらしの声(育夫)
 三句   ふところに文のひとひら秋袷(貴代美)
 四句    夢かうつつかあの夜のことは(清實)
 五句   邯鄲の枕元には黄粱の鍋(文男)
 六句    七つの孫は今日も居眠り(修三)
 七句   めざましはそっと差し出す砂糖水(隆彦)
 八句    切子ガラスに麦藁ストロー(りく子)
 九句   大宇陀にインスタ映えの町家カフェ(與四朗)
 十句    ポスター誘うかぎろひの丘(和子)
 十一句  振り向いて傾く寒の月見たし(純子)
 十二句   李白静夜詩吟じては飲む(青隴)
 名残裏
 初句   百年の年輪加わゆ吉田寮(修三)
 二句    黒へル赤へルすでに老いたり(貴代美)
 三句   黄ヘルにて童導くボランティア(建夫)
 四句    入学生のはじける笑顔(省次)
 五句   この国は万朶の花の見事さよ(貴代美)
 挙句    言うこともなし春の日だまり(純子)

 句上 高見省次(客・2) 今枝清實(世話人・2) 高城修三(宗匠・3) 城貴代美(4) 安田哲也(1) 村上建夫(2) 河内保(1) 友永和子(2) 鈴木幸雄(1) 嶋岡純子(3) 山田順子(執筆・1) 田中哲哉(1) 上羽利枝(1) 田中由美子(1) 森幸一(1) 森岡正重(1) 堀切康洋(1) 吉岡隆彦(世話人・2) 中川るみ子(1) 坂育夫(1) 奥村文男(1) 松浦りく子(1) 多田與四朗(1) 廣青隴(朗詠・1) 井上貞雄 上田一彦 郷司英治 鈴木忠彰 廣久仁子 堀井元壬 森岡久子 森口としこ 

今回は近鉄大坂線の事故のため大幅に遅れての開始となりましたが、世話人や地元のボランティアの方々の尽力により無事奉納となりました。客には宇陀市長の高見省次氏をお迎えし、朗詠は例年のごとく廣青隴氏にお願いいたしました。

 平成二十九年十月二十二日
 第五回染田天神社奉納連歌「新米を」の巻
    於 染田連歌堂

 初表
 発句   新米を供えて清し里の朝(靖眞)
 脇      花野を来る客人の群れ(清實)
 第三   姥捨の田毎の月を待ちわびて(修三)
 四句     利休鼠の宗匠帽子(貴代美)
 五句   メルカリで二千円にて落札す(山田順子)
 六句     安物買いで銭を失ない(利枝)
 初裏
 初句   ロリータはネオンの街の茶髪っ子(千代)
 二句     お帰りなさいませ旦那様(千佳)
 三句   土佐を発ち海道はるばる閨の御簾(建夫)
 四句     恨みつのりてあらぬこと言う(和子)
 五句   秋の宵緑のたぬき大勝負(與四朗)
 六句     リボンの騎士にハロウィンお化け(康洋)
 七句   渋谷スクランブル祭りの後の望の月(省次)
 八句     事件のごとき悲鳴の聞こゆ(隆彦)
 九句   ジャンボくじ百の位の数違い(俊平)
 十句     足にまつわる子猫いじらし(春雄)
 十一句 ひとひらの花散りかかるせなの上(哲哉)
 十二句   ゆく春風にはては白雲(文男)
 名残表
 初句   酒飲みて朧心のひと眠り(青隴)
 二句     オーストラリアからの婿殿(修三)
 三句   日の本で初めて見るは雪景色(建夫)
 四句     猿の親子で温泉つかり(久仁子)
 五句   駅貼りの破れポスター風に鳴る(俊平)
 六句     雷みみず恋いて顔出す(由美子)
 七句   秋霖で収穫できぬひのひかり(隆彦)
 八句     たまった録画長夜たのしむ(博司)
 九句   寅さんは今日も振られて旅に出る(幸一)
 十句     最後の女は浅丘ルリ子(美佐子)
 十一句 長まつげ濡れた唇夏の月(千佳)
 十二句   オープンカーに湘南の海(俊平)
 名残裏
 初句   知らぬごと浜辺を歩く黒い犬(千代)
 二句    津波に町が飲み込まれし日(清實)
 三句   いつまでもあっかんべぇを続けたり(修三)
 四句    春を重ねて咲かぬ紅梅(康洋)
 五句   天神を讃えて花の盛りなり(修三)
 挙句    鳥見の山に霞たなびく(良子)

 句上 田中靖眞(客・1) 今枝清實(世話人・2) 高城修三(宗匠・4) 城貴代美(1) 山田順子(執筆・1)
 上羽利枝(1) 岡部千代(2) 松岡千佳(2) 村上建夫(2) 友永和子(1) 多田與四朗(1) 堀切康洋(2) 高見省次(1) 吉岡隆彦(世話人・2) 竹本俊平(3) 廣瀬春雄(1) 田中哲哉(1) 奥村文男(1) 廣青隴(朗詠・1) 廣久仁子(1) 田中由美子(1) 松塚博司(1) 森幸一(1) 八ツ尾美佐子(1) 平井良子(1) 堀井元壬 松本正義 

今回は不意の総選挙と巨大台風二十一号の襲来が重なり、奉納連歌会が興行できるか否か心配しましたが、地元の方々や連衆の皆様の熱意で何とか歌仙を巻き終えました。

 

 平成二十八年十一月一日
 第四回染田天神社奉納連歌「天神の」の巻
    於 染田連歌堂

 初表
 発句   天神の声聞こえけり秋の暮れ(裕光)
 脇      草紅葉踏み集う里人(清實)
 第三   腹空かす犬と月とが後追いて(修三)
 四句     トックリセーター口ずさむジャズ(貴代美)
 五句   書を捨てて町に出ようと寒い朝(利枝)
 六句     すり寄る猫に心残して(順子)
 初裏
 初句   柴又の帝釈堂のそば近く(純子)
 二句     白髪まじりの男と女(和子)
 三句   手を取りて顔見合わせる露天風呂(繁治)
 四句    がらくた市の破れポスター(俊平)
 五句   夏の陽を浴びてポンヌフ渡りけり(水澄子)
 六句    ヒジャブの頭巾黒々として(文男)
 七句   慈愛すら偽善と紛う望の月(建夫)
 八句    冷ややかな風ただ吹くばかり(智子)
 九句   秋祭り終わりし後のやるせなさ(隆彦)
 十句    日の張る山はいにしえのまま(康洋)
 十一句  苔むした嘉藤太の墓花吹雪(昇次)
 十二句   味一番のたけのこ探す(與四朗)
 名残表
 初句   ふと見ればもつれつ川をのぼる蝶(青隴)
 二句    我が初恋は遠くなりけり(春雄)
 三句   ダーリンは子だくさんにて太り肉(俊平)
 四句    雪しんしんとみちのくの宿(貴代美)
 五句   外つ国の言葉飛び交う囲炉裏端(文男)
 六句    盲の僧の物語せよ(水澄子)
 七句   西の京唐招提寺に今おわす(順子)
 八句    柿の向こうに若草の山(裕光)
 九句   飛行機雲秋の季語かと山頭火(水澄子)
 十句    この世のことはみな肌寒し(貴代美)
 十一句 月待ちて喜界ヶ島の独り酒(俊平)
 十二句  まな裏にまた妙齢のひと(貴代美)
 名残裏
 初句   あちこちで恋の噂がくすぶって(修三)
 二句    七里ヶ浜をさまよえる夜(清實)
 三句   気がつけば大仏様に手を合わせ(幸一)
 四句    ひたすら願う孫の合格(千面鬼)
 五句   万歳と声を上げたし花の下(建夫)
 挙句    染田の山はかすみたなびく(順子)

 句上  福田裕光(客・2) 今枝清實(世話人・2) 高城修三(宗匠・2) 城貴代美(4) 上羽利枝(1) 山田順子(執筆・3) 嶋岡純子(1) 友永和子(1) 杉田繁治(1) 竹本俊平(3) 岩佐水澄子(3) 奥村文男(2) 村上建夫(2) 石井智子(1) 吉岡隆彦(世話人・1) 堀切康洋(1) 高見省次(1) 多田與四朗(1) 廣青隴(朗詠・1) 廣瀬春雄(1) 森幸一(1) 高橋千面鬼(1) 家村豊次 楠田民子 郷司英治 佐藤典昭 廣久仁子 松浦りく子 松本正憲 
 
 今年は宇陀市教育員会の後援を受け地元の方々も数多く参加していただき例年にもました賑やかな連歌会となりました。初心の人が多かったこともありやや時間をとりましたが、無事、歌仙の奉納を終えることが出来ました。満尾のあと廣氏の朗詠奉納、社務所にて直会と楽しい時間を過ごしました。          

  成二十七年十一月一日 
 
第三回染田連歌堂奉納連歌「赤とんぼ」の巻
             於 染田連歌堂

 初表  
 発句   赤とんぼ一句詠みたし連歌堂(正憲)
 脇      稲穂黄金の染田の夕照(清實)
 
第三   秋さ中東海道を上り来て(修三)
 四句    キセルを叩く仕舞屋の角(貴代美)
 五句   うなぎ焼く匂いに顔出す夏の月(清数)
 六句    ねじりはちまき明石の入道(久子)
 初裏
 初句   麗しく琵琶弾く娘ありと聞く(朝子)
 二句    つのる思いをいかにとやせん(智子)
 三句   小夜ふけて泣けば涙の袖重し(隴)
 四句    八つ口わけて乳房まさぐる(建夫)
 五句   捨てし子の三つの冬のはるかなり(順子)
 六句    雨がみぞれの松原通(由紀江)
 七句   雲間より知らぬふりして望の月(哲哉)
 八句    聞いてくれよとコオロギの声(利枝)
 九句   情けなや閻魔お亀と呼ばれしは(文男)
 十句    あした吹く風また違う風(繁治)
 十一句 花の下佇む人のいさぎよし(平)
 十二句  暁似合う又兵衛桜(隆彦)
 名残表
 初句   春されば秋まちどおし宇陀の里(平)
 二句    無人販売道のあちこち(節子)
 三句   とつ国の人もおどろくうまし国(文男)
 四句    紙漉き学ぶ碧眼の夏(真理子)
 五句   たまゆらのきらめき走る大夕立(美代子)
 六句    富士を見据えて急ぐ駕籠かき(貴代美)
 七句   刃傷の家の大事の赤穂行き(建夫)
 八句    ことの始めは塩のことなり(修三)
 九句   出て行くと言い張る妻を引き止めず(順子)
 十句    結婚五年目恋のかけひき(修三)
 十一句 月清し三段壁に立ち尽くす(和子)
 十二句  秋風つよく波うちくだけ(智子)
 名残裏
 初句   そぞろ寒杖にすがりて山頭火(貴代美)
 二句    終わりなき旅我が身の定め(與四郎)
 三句   武器売りてアデンアラビアエチオピア(順子)
 四句    一息つくは故郷の山河(與四郎)
 五句   なつかしき学び舎の跡花霞(政俊)
 挙句    おぼろおぼろに今日も暮れゆく(利枝)

 句上 

松本正憲(客・1)    今枝清實(世話人・1)   高城修三(宗匠・3) 城貴代美(3)河田清数(1) 飛田久子(1) 後藤朝子(1)石井智子(2)廣 青隴(朗詠・1)村上建夫(2)山田順子(執筆・3)小堀由紀江(1) 田中哲哉(1) 上羽利枝(2)   奥村文男(2)  杉田繁治(1) 石 平 (2)吉岡隆彦(世話人・1) 谷澤節子(1) 藤本真理子(1)竹山美代子(1)友永和子(1)多田輿四朗(2)   村上政俊(1)  奥村善司  栗山章代  高見省次  廣久仁子 藤田和弘
 
今年は連歌堂の連歌関連資料が国の重要文化財になったこともあり、多くの人の関心を集めました。地元染田の方々の心のこもった接待に加え、連衆として参加していただいた方以外にも地元から数多くの見学者もあり、盛大な連歌会となりました。満尾のあと廣氏の朗詠奉納、社務所にて直会と楽しい時間を過ごしました。

平成二十六年十一月三日
第二回・染田天神社奉納連歌「後の月」の巻
   於 連歌堂

初表
発句    後の月ひとりじめして連歌堂(隆平)
脇       微かに聞こゆ砧打つ音(清實)
第三    盲目の花野に立つは誰やらん(修三)
四句      群書類従わが仕事なり(満里子)
五句    かび臭き書庫にようやく光さし(順子)
六句      躁と鬱とが交差する朝(貴代美)
初裏
初句    別れよう思った妻に惚れ直す(哲哉)
二句      とみこうみして金婚の式(由紀江)
三句    けもの道よくぞここまで来たものだ(智子)
四句      冬立騒ぐ熊野灘見ゆ(清数)
五句    夢にでし島はいずこかうつぼ舟(真理子)
六句      生きても地獄死にても地獄(繁治)
七句    照る月は諸行無常と語りかけ(司枝)
八句      吉野の庵にすすき一叢(紹二)
九句    芭蕉翁鼻緒すげおる秋のくれ(和子)
十句      行く人もなき道を求めて(隆彦)
十一句  いにしえの石碑かくす花吹雪(孝恵)
十二句    春のうららの詞ほのかに(正憲)
名表
初句    羽衣はのどかに歌を歌いたり(隆志)
二句      富士に欠かせぬ三保の松原(章代)
三句    それぞれにおち方急ぐ夕しぐれ(貴)
四句      サイクリングの若者もいて(清)
五句    宇陀野路は史跡めぐりの町おこし(隆彦)
六句      歌聖をしのぶかぎろいの丘(與四郎)
七句    人妻の髪ゆったりと隠す耳(貴)
八句      枕の下の水音ゆかし(繁治)
九句    ベネチアの遥かな恋のよみがえり(真)
十句      仮面の君の悲しき口笛(清)
十一句  夏の月今宵楽屋に赤い薔薇(満)
十二句    黒猫までも知らぬ顔して(修)
名裏
初句    苦労してひねり出したるこの一句(哲)
二句      手漉きの和紙ににじむ文字ずり(真)
三句    千年の歴史に残る内曇(司)
四句      紫雲たなびく清明の節(由)
五句    咲き誇る花の命をいとおしむ(隆志)
挙句      染田の里に春の夕暮れ(順)

句上 松村隆平(客・1) 今枝清實(世話人・3) 高城修三(宗匠・2) 奥山満里子(2) 山田順子(執筆・2) 城貴代美(3) 田中哲哉(2) 小堀由紀江(2) 石井智子(1) 河田清数(1) 藤本真理子(3) 杉田繁治(2) 高橋司枝(2) 由佐紹二(1) 友永和子(1) 吉岡隆彦(世話人・2) 加納孝恵(1) 松本正憲(1) 岡沼隆志(2) 栗山章代(1) 多田與四郎(1)

文化の日の秋晴れの中、染田天神社連歌堂において、地元染田の松村隆文自治会長さんを客にお迎えして昨年に続き二回目の奉納連歌を興行いたしました。地元の皆さまの多大なご支援をいただいての連歌会興行でしたが、今回は地元のかたがたの句も少なからずいただき、染田が連歌の里として復活する気運を感じさせる日となりました。高城修三連歌会の面々も今後一層の精進を積みたいと存じます。


平成二十五年十一月十七日
第一回・染田天神社奉納連歌「連歌堂」の巻
   於 連歌堂

初表
発句     行く秋の染田の夢や連歌堂(幹郎)
脇     紅葉かざすは知将順実(清實)
第三   如何せん今宵の月は利鎌にて(修三)
四句    猫を相手に呑む濁り酒(利枝)
五句   幸せはとかく不都合つれてくる(順子)
六句    絵筆片手に糸杉の前(貴代美)
初裏   
初句   原色の溢れ出したる夏の午後(哲哉)
二句    ビキニの胸に光る水玉(俊平)
三句   年老いてなおよみがえる恋し人(智子)
四句    智恵子の手紙にぎりしめつつ(純子)
五句   安達太良の空に大きく鳶の鳴く(満里子)
六句    芒の原は銀色の波(和子)
七句   金色の満月添えて窯に入れ(建夫)
八句    ロの字が底に鈴虫の声(光一)
九句   無言歌の流れる御堂人のなき(真理子)
十句    杉の大木光さえぎり(繁治)
十一句  花粉症忘れて花に見とれいる(久子)
十二句   嵯峨野を春の時は過ぎ行き(由美子)
名残表
初句   幾山をこえゆく雲と旅に出る(青隴)
二句    辻に地蔵の何気なき笑み(善帆)
三句   饅頭をちょっと失敬白狐(晴之)
四句    信太の杜に飢えた子ぎつね(由美子)
五句   爆撃の音も止まった十五日(建夫)
六句    君の帰りを指折り数え(純子)
七句   雪はただ熱きうなじに降りしきる(貴代美)
八句    十とせをしのぶ道ならぬ恋(由美子)
九句   仏壇の灯明消えて真の闇(俊平)
十句    山の庵に伽羅の香残る(満里子)
十一句  梓弓音が鳴るよな月昇る(建夫)
十二句   秋野を走る伊賀者の影(貴代美)
名残裏  
初句   そぞろ寒二両欲しさに請負いて(善帆)
二句    賽銭箱に蒔絵ほどこし(修三)
三句   赤青黄極楽鳥が飛び交いぬ(貴代美)
四句    ひさかたぶりの色弱検査(建夫)
五句   はればれと満開の花めでていく(朝子)
挙句    念願成就山里の春(晴之)

句上  竹内幹郎(客・1) 今枝清實(世話人・1) 高城修三(宗匠・2) 上羽利枝(1) 山田順子(執筆・1) 城貴代美(4) 田中哲哉(1) 竹本俊平(2) 石井智子(1) 嶋岡純子(2) 奥山満里子(2) 友永和子(1) 村上建夫(4) 大味光一(1) 藤本真理子(1) 杉田繁治(1) 飛田久子(1) 田中由美子(3) 廣青隴(朗詠・1) 小林善帆(2) 中條晴之(2) 後藤朝子(1) 家村豊次 澤田治子 飛田正雄 吉岡隆彦(世話人) 松本正憲 石増次郎 郷司英治 廣久仁子



秋晴れの宇陀市染田の天神社連歌堂において、竹内幹郎宇陀市長をはじめ連歌堂を六百年以上にわたって守り続けてこられた地元染田の皆様の御尽力をいただいて、今年春に行われた連歌堂落慶を祝する奉納連歌を興行いたしました。初折は兼日廻し一巡、名残折は連歌堂の座にて出勝ちにより付句する。巻き終わった後、廣青隴氏の朗詠奉納があり、そのあと社務所で地元の方々と直会の楽しい時間を過ごしました。高城修三連歌会においても、画期的な連歌会になりました。また、今後は地元染田での連歌復興に尽力できればうれしい限りです。

廣氏朗詠