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令和三年十月二十八日満尾
田中哲哉氏追善連歌
       文音

発句   無口にて通せし背や秋の声(小堀由紀江)
脇      佐賀の男に似合う古酒(城貴代美)
第三    こちらでも又あちらでも月愛でて(高城修三)
四句    土手の紅葉に小船のあかり(村上建夫)
五句    強面の船頭さんはベリーショート(前田正子)
六句     恋女房にはいと従い(森幸一)
七句   あの世まで持ちゆく秘密は文にして(原野久仁子)
八句    清濁飲みし宮仕えなり(竹本俊平)
句   さりながらいつも日曜なおつらし(奥村文男)
十句    通い始めた独りカラオケ(府川浩)
十一句  遥かなりアカシアの雨が止むとき(今枝清實)
十二句   大和ホテルで別れしクーニャン(友永和子)
十三句  あれやこれ伝えそびれし我が思い(中川るみ子)
十四句   夜行列車に飛び乗りて冬(嶋岡純子)
十五句  どこまでも月ぴったりとついてくる(杉田繁治)
十六句   弥陀のこころを我がものにして(廣瀬春雄)
十七句  端座する後ろ姿の華やぎぬ(元幡楽径)
十八句   脇に三人の禿したがえ(山田順子)
十九句  花魁の八文字歩き艶めいて(上羽利枝)
二十句   ここは吉原柳の芽吹き(井下奈緒美)
二十一句   大空へ追いつ追われつ二蝶ゆく(井下光)
二十二句  おぼろおぼろに夢の浮橋(志村久美子)
二十三句   急流の宇治川に舞う花吹雪(春風富美子)      
挙句    人力車夫は眠たげにして(安田哲也)