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瓜生山連歌




2001年7月19日
半歌仙連歌 「この暑さ」の巻
於 銀閣寺「中東」


この暑さ爆発せよと蝉の声(修)
見舞い客なき療養所(朋)
新盆に胡瓜の馬の迎え来て(愛)
籤を待つ子ら声はずませる(万)
後ろからそっと肩寄す人がいて(修)
紅の如く染まる首筋(朋)
リビングにかかった電話背を向けて(美)
三回ばかり待たせてみよう(愛)
月の夜に仏の根も尽き果てて(修)
ラーメンすする部下の顔見る(朋)
うずたかき返品の山見上げつつ(万)
芥川賞取りし日想う(修)
寝言にも彼の名前をつぶやきて(朋)
すまぬと思い子らにくちづけ(万)
約束は十月四日瓜生山(修)
手紙書く手にマニキュア光る(薫)
窓辺にはひまわりの花咲き乱れ(修)
ジャズの流れる昼下がり(美)

句上
高城修三(六) 名和野朋子(四) 岡本万貴子(三)
高橋美智子(二) 大河原愛(二) 陣内薫子(一)





  一九九八年六月
歌仙連歌 鳴りやまぬの巻
       於 京都造形芸術大学


鳴りやまぬトタンの上の五月雨や (平野)
猫三匹にバラの一輪 (高城)
御主人の旅立つさまを見送りて (前田)
同窓会名簿取り出してくる (高城)
満月の日に生まれた赤ちゃんパパは誰 (小玉)
寝顔と帰る一間のアパート (平野)
組違い一攫千金夢散りて (橋本)
シャム猫抱いたマリリン・モンロー (高城)
五十過ぎ母の白髪くらべつつ (平野)
再婚相手の年考える (松田)
ダイエット エアロビクスと顔パック (平野)
ため息ついて ああ宝塚 (高城)
目の前にリボンの騎士があらわれて (橋本)
夏の太陽 麦藁帽子 (平野)
甲子園ふりしぼる声かれ果てて (前田)
補欠選手まさかの一本 (平野)
金メダル凱旋パレード花吹雪 (橋本)
大迷惑の商店街 (小玉)
裏通りオウム信者の住みつきて (前田)
修業するぞ修業するぞ (高城)
しゃきしゃきのきんぴらごぼう母の味 (三上)
器にもれば私の手料理 (松田)
おままごとプラスチックのハンバーグ (三上)
小さな初恋引っ越していく (平野)
夕月の出るまで君を追いかけて (前田)
四条大橋雑踏の中 (高城)
泣き声が空の風船指さして (平野)
突如降り立つスーパーマン (前田)
背に浴びる大渋滞のクラクション (平野)
のろのろ歩むカルガモ親子 (前田)
学芸会フラッシュたいて大笑い (三上)
先生方の女装コンクール (藤中)
初めての化粧が上手とほめられる (小玉)
松田聖子の若かりしころ (前田)
インタビュー「趣味はお花」と嘘をつく (小玉)
夕暮れ時のプリンスホテル (高城)

句上げ
平野愛 九句     三上留位子 三句
前田勝栄 七句   橋本麻加 三句
高城修三 七句   松田 二句
小玉岬 四句     藤井愛子 一句