善通寺宸殿襖絵落慶法楽連歌
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平成二十四年十一月十六日
善通寺宸殿襖絵落慶法楽連歌
  於 善通寺

初表
発句    秋高し墨の香かおる善通寺(禅澄)
脇       そびえもみずる我拝師の山(孝平)
第三    ほおずきで遊んだ日々はいつやらん(修三)
四句     屋台を照らすカーバイドの灯(英毅)
五句    積み上げた漫画本には夏の月(朝子)
六句     白雪姫をねだる子のあり(友利)
初裏    
初句    行列にしぶしぶ並ぶ父の顔(晴之)
二句     離婚旅行の空港ロビー(糸枝)
三句    狂うほど愛した耳に光る石(みどり)
四句     クレオパトラの恋のかけひき(伸雄)
五句    人の世の運命をのせて大ナイル(弘子)
六句     青き水面に真白髪細く(真理子)
七句    能管の一声かなし月の影(満里子)
八句     般若の芝に乱る残菊(純子)
九句    見上げれば北の空には渡り鳥(利枝)
十句     手放しし子はやがて二十歳に(順子)
十一句   サックスがグラスに溶ける花の夜(由紀江)
十二句    思いふるわせ春雷の鳴る(美知枝)
名残表
初句    お遍路さん一歩一歩の涅槃にて(和代)
二句     太平洋は静かに明ける(タカヱ)
三句    マーメイドひとりぼっちで世界を渡り(二郎)
四句     昨日も今日もチキンラーメン(純子)
五句    誘拐の事件山場の刑事部屋(伸雄)
六句     ハートマークの座布団カバー(みどり)
七句    この柄がいいとあなたが言ったから(泰三)
八句     豹の仮面で会う舞踏会(真理子)
九句    ぶどう酒を持つ手ふるえる二十四時(和代)
十句     勇ましく飲みやがて悲しき(タカヱ)
十一句  放哉の流浪幾年月今宵(英毅)
十二句   オリーブ畑にこおろぎの鳴く(満里子)
名残裏
初句   ミラノまでバス待ちながら秋しぐれ(みどり)
二句    ボバリー夫人ノラとなる朝(由紀江)
三句   シャムネコは知らんぷりして眠りおり(修三)
四句    高野街道はたごやの前(順子)
五句   花あかり五臓六腑にコップ酒(三四郎)
挙句    春のこの身をだれにゆだねん(達代)

句上  樫原禅澄(客・1) 池田孝平(世話人・1) 高城修三(宗匠・2) 上原英毅(2) 後藤朝子(1) 岡市友利(1) 中條晴之(1) 関口糸枝(1) 栗生みどり(3) 後藤伸雄(2) 池田弘子(1) 藤本真理子(2) 奥山満里子(2) 嶋岡純子(2) 上羽利枝(1) 山田順子(執筆・2) 小堀由紀江(2) 八木美知枝(1) 櫻谷和代(2) 詫間タカヱ(2) 平井二郎(1) 田山泰三(1) 青山三四郎(1) 多田達代(1) 川北文雄 徳永孝明 高山桂一 

晩秋の素晴らしい好天に恵まれた善通寺にて、会席者は落慶なった東野光生先生の水墨画「天海幽明」の宸殿襖絵を鑑賞した後、その場で上原英毅氏(尺八)・詫間タカヱ氏(横笛)の奉納演奏を拝聴し、そのあといろは会館大広間にて宸殿襖絵落慶法楽連歌会を催しました。発句を樫原禅澄総本山善通寺管長にいただき、皆様の渾身の句にて無事満尾いたしました。