大覚寺義俊門跡奉賛連歌会(もどる)


令和七年九月十日
半歌仙連歌「ブラッドムーン」の巻
 於 大覚寺嵯峨寮

初表
発句   ブラッドムーン主はいずこぞ明智門(建夫)
脇      どこにも見えぬ桔梗の御門(幸一)
第三   肌寒の馬にまたがる夢を見て(貴代美)
四句    連戦連敗ハルウララ行け(雅晴)
五句   俺様は土佐の高知のいごっそう(修三)
六句    やすしきよしの喋くり漫才(浩)
初裏
初句   大家族テレビ一台囲みおり(貴代美)
二句    みんな声のむ口づけシーン(修三)
三句   念入りに口紅をさす恋敵(雅晴)
四句    宵闇せまるおかまとおやま(鬼猿)
五句   冬ざれの温泉宿の露天風呂(俊平)
六句    下駄と蛇の目の湯の川しぐれ(鬼猿)
七句   叢雲に隠れる月に吠える犬(満里子)
八句    三十日目の猛暑日の夜(修三)
九句   姉様の娘にお子ができたとさ(和子)
十句    女ばかりでかしましき春(雅晴)
十一句 今年また平安神宮花盛り(修三)
挙句    霞の向こう東山あり(満里子)

句上  村上建夫(客・1) 森幸一(1) 城貴代美(世話人・2) 榊原雅晴(3) 高城修三(宗匠・4) 府川浩(1) 山上鬼猿(2) 竹本俊平(1) 奥山満里子(執筆・2) 友永和子(1) 

令和六年九月三十日
歌仙連歌「嵯峨菊や」の巻
 於 大覚寺嵯峨寮

初表
発句   嵯峨菊や世に諍いの尽きぬなり(修三)
脇      悠然として秋の大沢(貴代美)
第三   大き月ゆるりゆるりと昇るらん(正子)
四句    大志を抱け老いたる者よ(純子)
五句   俺はまだ八十過ぎた若造だ(繁治)
六句    ぽっくり寺で掛絵馬祈願(俊平)
初裏   
初句   葛切りの暖簾が揺れる子店あり(春雄)
二句    老舗めぐりの三度目の恋(浩)
三句   闘争のさ中別れし人に似て(清實)
四句    カンパの品に添ゆ文悲し(保)
五句   街頭の群集背に夏の宵(和子)
六句    ひとりで参る神田明神(鬼猿)
七句   千年の念い封じて月青し(建夫)
八句    落人の里萩のペンション(雅晴)
九句   蕎麦刈るや祖谷の畑の急傾斜(弘子)
十句    タトゥーの腕に赤いバンダナ(るみ子)
十一句  縁側に一人たたずみ花吹雪(清子)
十二句   今年の春は好き事ばかり(哲夫)
名残表
初句   長き日や謡の声の漏れ聞こゆ(文男)
二句    京の三条仕舞屋あたり(弘子)
三句   土地めぐりマンションホテルせめぎ合い(建夫)
四句    スマホ片手に迷う外人(るみ子)
五句   大覚寺行きのバス停どこですか(清子)
六句    四条烏丸西入るところ(繁治)
七句   路地裏に熊肉を出す飲み屋あり(雅晴)
八句    年増のママは赤の薄物(貴代美)
九句   酔うたふり募る思いを歌によせ(俊平)
十句    送別会は恋の戦場(啓二朗)
十一句  勝ち負けは所詮はカネと月に吼ゆ(文男)
十二句   秋の鴨川犬走りにて(修三)
名残裏
初句   ちちろ鳴く男は過去を語るなと(鬼猿)
二句    今は説明責任が先(雅晴)
三句   駄菓子屋の窓ガラスにも値上げビラ(俊平)
四句    春の心は悲しかりけり(清子)
五句   今日もまた背割りの花は咲き誇り(修三)
挙句    燕飛び交う三川の空(貴代美)

句上  高城修三(宗匠・3) 城貴代美(執筆・3) 前田正子(1) 嶋岡純子(1) 杉田繁治(2) 竹本俊平(3) 廣瀬春雄(1) 府川浩(世話人・1) 今枝清實(1) 河内保(1) 友永和子(1) 山上鬼猿(2) 村上建夫(世話人・2) 榊原雅晴(3) 松田弘子(2) 中川るみ子(2) 柴田清子(3) 柴田哲夫(1) 奥村文男(2) 松本啓二朗(1)


令和五年八月三十一日
歌仙連歌「月待ちて」の巻
  於 大覚寺嵯峨寮

初表
発句   月待ちてそぞろ歩きや嵯峨の御所(修三)
脇      色なき風の竜頭鷁首(貴代美)
第三   紅葉持ち貴公子袖をかざすらん(建夫)
四句    まなじり涼し十八のころ(春雄)
五句   高取の牽牛子塚の夏の午後(久仁子)
六句    ほんのり白く夕顔の咲く(純子)
初裏
初句   うれいつつ横倉山を歩きいて(浩)
二句    夫ある身ゆえさらに恋しき(和子)
三句   束の間の逢瀬重ねる昼下がり(清實)
四句    窓を打つ雨衣擦れの音(幸一)
五句   逝きし人偲ぶ思いや誰か知る(文男)
六句    遠き昭和の夜学の教師(鬼猿)
七句   あの頃の情熱いずこ月に問う(奈緒美)
八句    秋風の吹く日比谷に立って(光)
九句   鳥渡るゴドーはついに現れず(こん)
十句    伝言板に白チョークなし(正子)
十一句  今年また老い木の花は盛りなり(俊平)
十二句   大宇陀めぐる春のウォーク(順子)
名残表
初句   あげ雲雀そこから伊勢は見えるかや(利枝)
二句    修復すみし金のしゃちほこ(啓二朗)
三句   なんとまあ一グラムにて一万円(全光)
四句    伽羅の香りのただよう茶室(奈緒美)
五句   困ったとひそひそ話の納屋の衆(鬼猿)
六句    信長様は天魔に候(建夫)
七句   ホトトギスいつの間にやらいなくなり(貴代美)
八句    四畳半にて恋のためいき(修三)
九句   のけぞって足も恥らう箱枕(貴代美)
十句    悪所通いは今宵がかぎり(俊平)
十一句  金も尽き縁も尽きたり望の月(文男)
十二句   長寿大国肌身に寒し(修三)
名残裏 
初句   懐の猫を相手に新酒くみ(利枝)
二句    我が宗匠に悪態をつく(こん)   
三句   早変わり上手下手を聞き違え(俊平)
四句    四国遍路の農村歌舞伎(鬼猿)
五句   子も我も太鼓鬼神も花のうず(こん)
挙句    光かがやく春は来にけり(順子)

句上  高城修三(宗匠・3) 城貴代美(世話人・3) 村上建夫(世話人・2) 廣瀬春雄(1) 原野久仁子(1) 嶋岡純子(1) 府川浩(1) 友永和子(1) 今枝清實(1) 森幸一(1) 奥村文男(2) 山上鬼猿(3) 井下奈緒美(2) 井下光(1) 今野和代(3) 前田正子(1) 竹本俊平(3) 山田順子(執筆・2) 上羽利枝(2) 松本啓二朗’(1) 佐野全光(1) 

大覚寺義俊門跡は戦国時代の連歌師で、父は関白近衛尚通。享禄二年(1529)に大覚寺門跡に就任し、天文二十四年(1555)に石山寺千句、翌年には大覚寺選句を興行した。この義俊門跡を奉賛する連歌会として大覚寺嵯峨寮にて興行されました。